いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

1円で初段になった男~1冊1円の本~

2019-07-31 17:47:30 | 将棋


1円で将棋初段になった男がいる。
わたしの知人に、30歳にして将棋の強い男がいた。
しかし、仲間内で強いと言っても、あてにはならない。
わたしは、将棋は初級者に毛が生えたようなアマチュアである。
しかし、免状は、いいのを持っている。
そのわたしが、彼と指してみた。
アマチュア3級程度である。
どうやれば強くなれるか聞くので、
道場に行くといい、と言った。
すると、カネがないという。
ならば、いい本を読め、というと
やはりカネがない、という。
性格はいい男なので、なんとかしようと思った。
で、
本を売ることにした。
古い雑誌の付録のうち、
彼に最適なものを見つけた。
が、
ただでやるわけにはいかない。
ただほど高いものはない、
というではないか。
そこで、その、15センチ☓10センチ、
30ページほどの本を、
1円で売ることにした。
それを読んで、よく勉強したようだ。

あるとき、
「指してみよう」という話になった。
指してみた。
確かに強くなっている。
負けた。
見ていたギャラリーから、
「本気でさしたのだろうか」という疑問が出た。

なあに、強いから負けたのではない。
態度が立派で、教えを請おうとする姿勢に感心したのだ。
将棋は、アマにとっては、教育のツール、と思っている。

優れたものに尊敬を払うとか、
礼儀正しい生活を送るとか、
そういった美徳を培うツールなのだ。

1円で初段になった男は、
その美徳備えていたのである。










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