保護した元飼い猫・銀二は、昨日はずっと水も飲まずエサも食べず、
ただひたすら撫でてもらいたがり足に擦り寄るばかりであった。
その姿は死なないのがおかしくないほど痩せ衰えており、下半身の負傷は化膿がひどかった。
診察時に体重を量ったら、1キロとちょっとしかなかった。
そして驚くべきことに、去勢されているとのことだった。
先生の話では、去勢するには少なくとも3キロくらいになっていないといけない、
元はそれくらいあったのだろうとのことだった。
体重が標準の三分の一しかない。
大袈裟でなく、いつ死んでもおかしくない痩せっぷりだ。
去勢されており耳カットもなし(ボランティアによる去勢の場合は、手術が済んだ証として耳をカットする)、
つまり完全に飼い猫であったであろう銀二。
人懐こくて、エサよりも人のぬくもりに飢えているこの猫が、
どうしてこんな悲惨すぎる目に遭っているのか。
遭わねばならなかったのか。
帰宅して迷い猫探しの掲示板も色々見てみたが、該当する書き込みは見つからなかった。
「飼い猫を捨てる」というのは、こういうことなのだ。
身を守る術・食べていく術を何一つ持たない無防備で無抵抗な存在を、
想像できる限りの悲惨な出来事が待った環境へ突き落とす。
それが「飼い猫を捨てる」という行為なのだ。
それでも、そんな目に遭ってもなお、銀二は人間を信じている。
ひどく飢えても、ひどく痛めつけられても、それでも一途に信じている。
人間の愛情を欲している。
いつか、飼い主が優しく迎えに来てくれるのを待っている。
それは優しく暖かい世界で生きていたからだ。
ずっとそうだったからだ。
それなのにむご過ぎる。こんな小さな体で耐えていくには過酷すぎる。
こんな現実を知って、それでもなお軽々しく命を捨てられるなら、
そいつは本当の「鬼畜」だ。そう思う。
どんな批判をされようと、私はそう思う。
獣医にて色々な注射と虫の駆除などをしてもらってあったし、
「飲み水もしくはエサに混ぜての薬の投与は明日でいい」
と指示があったこともあり、とりあえず暖かいところでたくさん眠らせるべく、
そして弥七たんとの隔離を少しでも強化すべく、トイレがある玄関に続く廊下に銀二の入ったキャリーを置いた。
傍に転倒対策機能のある電気ファンヒーターを稼動させて適温を保ち、
人がそばにいると寝ようとしないのでそのままそっとしておいた。
本当ならばひと部屋を銀二のために用意して、大き目のケージにでも入れてあげるべきなのだろうが、
残念ながら我が家に部屋の余裕はなく、また全部屋を自分の縄張りとしている弥七たんの
行動を制限するのも難しく、色々な感染のリスクを少しでも減らすにはそれしかなかったのだ。
銀二を診てくれた先生は、正直「これは長くもつまい」と判断したのであろう、
「広いスペースを用意する必要はない、キャリーに入れたままで安静にさせるように」
と重ねて言っていた。入院してもしなくても変わらないから、自宅でいいとも。
先がない保護猫よりも先住の弥七の健康状態やストレスを優先するべき、と言いたげであった。
その言葉を裏付けるように、連れ帰ったときから弥七たんは押入れから出てこなくなり、
私との接触も避けるようになってしまった。
私も、神経質なほど気を遣って手を消毒し服を着替えて銀二の世話から戻っても
何か怖くて弥七といつものようにスキンシップを取りづらい気がされた。
明けて今日。
脱水がひどい銀二のために香水などを移し変える際に使う注射器型のスポイトを買い、
出された薬を溶いたポカリスエットを銀二に何度かに分けて飲ませた。
点眼も数回。
相変わらずエサは与えても食べず。
水分を摂取するのがやっとのような様子だったので、エサはもう少し養生してから。。。
と私は考えていたのだが、旦那が断固として「メシを食わすべき」との意見だったので、
スープ状のフードをスポイトで飲ませようとしたが失敗。
スプーンで口に入れても吐き出されてしまった。
しかし、口に味が残って食欲が湧いたのか、直後にものすごい勢いでエサを食べ始めた。
それはもう、こちらが驚くぐらいの激しさだった。
どれだけ腹が減っていたのか、弥七たんが食べる一日分を一気に食べた。
あまり早食いをすると戻すのではないかと心配したが、特にそういう気配もなく、
排泄も大小ともに問題なかった。
昨日は絶望的な気持ちでいっぱいだったが、食事と排泄がうまくいったことで
「体力がついたらもしかして」
という希望が湧いてきた。
抵抗力も増してくるだろうし、怪我も治るかもしれない。
体力が回復したらワクチンも打てると医者も言っていた。
健康に近づけば入院もできるかも、完全に健康になったら里親さんも探せるかも、
と明るい気持ちも湧いてきた。
元気になったらなったで弥七たんとの兼ね合いという大きな問題が待っているのだけれど、
まずは一歩前進できて嬉しく思った私であった。
頑張っているのは銀二と弥七たんだけれど。
そして旦那。
何て優しい人だろう。
今回のことで改めて実感した。
こういうところが本当に好きで、それで一緒になったことを思い出した。
それなのに、最近の私は自分勝手でわがままで嫌な妻だったと思う。
弱いものへの優しさを持ったこの人が、どんなにか自分の子供が欲しかったことだろうと思ったとき、
諸事情を納得してこれまできたはずなのに泣けて泣けて仕方なかった。
たまらなく悲しくて、悔しくて、でもそれが何に対してなのかはよくわからなかった。
押入れにこもっている弥七たんも、必死に自身の体と戦っている銀二も、
無力な私も、優しい旦那も、皆が笑って過ごせる日がくるといいなと心から願った。
1kgなんて、もう何も言葉が出ないわ。
読みながら泣けてきたよ。
ご飯も食べずに人の温もりを求めてるなんて、本当に涙が出る。
弥七たんと仲良くなってくれたら嬉しいな。
その前にご飯食べて早く体が治りますように。
我が実家も同じ様な境遇のワンコばかりと出会ってしまい、何匹も家族となってきました。
こちらに保護されたことは銀二くんにとってこの上ない幸運だと思います。
どうか元気になりますように。
ただただお祈りさせていただきます。
おかげ様で、食欲モリ蔵に変貌したよ。
でも、私がそばにいるとエサそっちのけで甘えにくるんだ。
全然食べなくなっちゃうから、可哀想だけどあえて冷たくしているの(´;ω;`)
そばにいたら、寝ないし食べないから。。。
すごく不安だけど、みな一緒に頑張っていくよ!
なにぶんシケた内容のブログなもので、
そういうお話を聞くと挙動不審になってしまいそうです。。。
はなさんのご実家は保護ワンコが家族となっているのですね!
色々なご苦労があったことでしょう。
命を預かる・迎え入れることの大変さはいかばかりかと思います。
非力な私ではありますが、旦那と力を合わせて精一杯やってみようと思います。
暖かいお気持ち、本当にありがとうございます。