私自身は植物を育てる事はおろか、名前すら怪しいシロウトなのであるが
我が母は農家出身という出自も手伝って、かなりの園芸好きである。
しょっちゅうその手の大型店へ行っては色々な種や苗木を仕入れたり
近所の同じ趣味の人から貰ったりして、住まいであるぼろアパートの前の私道や
空き地になっている所へたくさんの花を咲かせたり野菜を育てたりするのが日々の楽しみだ。
おかげで、実家には花が絶えない。
弟夫婦もよくプレゼントしたりするし、周囲の人も弱ってしまった植物を持ち込んだりするので
いつでも植物でいっぱいだ。
愛情込めて育てるとそれに応えるのか、
母が一生懸命世話をした植物達はもうダメになったかのように見えても
時間をかけて回復し、生き生きとした葉を茂らせたり花を咲かせたりする。
私にはとんとそういう才能が無いので、本当にすごいと思う。
子猫のしつけとかなら自信あるんだけど。
さて。
そんな母が少し前に「ワイルドストロベリー」の鉢を貰ってきた。
育てきれない植物をくれて寄越す知人がよくいるので、
きっとその鉢もその手の経路で実家に来たのだろうと思われる。
一時期あんなに話題になったのでどんなモノかと見てみれば、
ショボい葉っぱがボサボサに生えた、何だかシケた鉢であった。
「ワイルドストロベリー」という横文字だと何だかすごいモノのように聞こえるが、
和名は「エゾヘビイチゴ」。
「ヘビイチゴ」なら何だか聞いた事がある。
しかも、一気に印象が所帯臭くなるから不思議だ。
さて。一時期どうしてこのヘビイチゴが騒がれたかと言えば
「実がなると願いが叶う。特に結婚に効果大」
というロマンチックなおまじないが囁かれていたからだ。
夢見る独身女性がこぞって購入し、一生懸命育てている様が
テレビなどでも放映されていたように思う。
そういうおまじないが発生するくらいであるから、
きっと実をつけるように育てるのは大変なのだろう。。。
と私は思い、母に
「宝くじの当選は母ちゃんにかかってるんだから、気合い入れて育ててよ!」
とハッパをかけた。
母はいつもの調子で「まあ頑張ってみるよ」と答えて、
ヘビイチゴを花がたくさん植わっている場所の片隅に植え替えた。
私がヘビイチゴの事などキレイさっぱり忘れていたある日、
母から「イチゴの花が咲いたよ!」という連絡を受けた。
早速見に行ってみると、確かに小さな花が咲いている。
実だけでなく花が咲くのも幸運としている説もあるので
「おおすごい!」
と私は興奮した。
しかも一つや二つではなく、サービス満点に七つも咲いている。
「ちゃんと花が咲けば実もなるよ」と母。
さすが母。
きっちり育てて、しかも七つも花を咲かせるとは。
どうやら余計な葉っぱを大胆に落とす作戦を用いたらしいが、
私には何がどう効果的なのかさっぱりチンプンカンプンだった。
そしていよいよ一昨日。
その実を収穫致しました。
母が丹精込めて育てたヘビイチゴちゃん。
大きさは小指の先程度。
野生のイチゴなので小さいです。
二つ収穫した内、一つはやや熟れ熟れの食べごろ
もう一つはやや固めでちょっと時期が早い気がしなくもない感じ。
「さっそく食べよう!」
と張り切って私が言うと、母は
「母ちゃんいいからアンタ二つ食べな」
と言うではないですか。嗚呼ありがたき親心。
しかしそれではやはりつまらないので、二人で食べる事に。
母が譲ってくれ、私は熟れ熟れの大きい方を。
まずは母が時期尚早気味のイチゴを口に入れた途端、
「うえ~、まっじぃ~!!」
とあろう事か口から噛みかけぐちゃぐちゃのイチゴを吐き出すではないか。
驚いて口半開きの私。
どうやらやはりまだ収穫には早かったようだ。
その様子にかなりビビった私ですが、願い事には代えられない。
「むにゃむにゃ。。。」
と心に願い事を念じ、えいやっと口の中へ。
すると、私の方は普通のイチゴの味でほっとひと安心。
「叶うかな~、ゲヘヘ」
等と企み笑いをする母娘であった。
そんな私が、今日この記事を書く為にヘビイチゴの事を調べていると
衝撃の事実が発覚!
な、なんだと。。。?
実を食べると願いが叶わない
だと。。。?!
そう。
ご存じの方も多いかと思うが、ヘビイチゴは花が咲く・実がなると
願いが叶うとされており、逆にその実を食べてしまうと願いは叶わない
。。。というシステムらしいのである。何だそりゃ!
ブームになった当初、全く関心の無かった私はその事を知らずに
ガフガフと喰らってしまったのであった。ショボ~ン。。。
しかも私が願ったのは「夫婦円満」。
どうやら今年後半も波乱は避けられそうにない気配の我が家である。
無知は罪ね。。。
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