Burning Pavilion Part3

日常のもろもろ

追憶の彼方に~メモリー・オールモスト・フル

2007-06-09 13:21:04 | 私的ポール・マッカートニー史
ポール・マッカートニー2年ぶりのニューアルバム、追憶の彼方に~メモリー・オールモスト・フルをついにゲット!。

昨日は出張からようやく戻ったものの退社後すぐに同僚と天ぷらを食いに行ったため、手にできなかったが、TOWER RECORD開店直後にゲットしました。



早速聴いてますが、素晴らしい出来です。予想を超えている。20年近くファンやってるが、これほどの手応えはリアルタイムで聴いた初のアルバムFlowers In The Dirt以来かもしれない。
一聴して構造がわからない曲が多く感じたのも、これからどんどん気に入っていく予兆だと思う。メロディがとにかく豊か。ヴォーカルスタイルも曲によって大きく違いバラエティに富み、格好いいシャウトも随所に出てくる。これこそ待ち望んでいたポールだ。

パッと聞いた感じでは、USでの第1弾シングルのエヴァー・プレゼント・パスト、ポールらしいメロディの綺麗なハードロックであるママ・オンリー・ノウズ、バック・トゥ・ジ・エッグに入っているアフター・ザ・ボールを連想させるグラティチュード(こっちの方がよい)、前作に入っているトゥ・マッチ・レインを発展させたようなヴィンテージ・クローズが素直に良い。ダンス・トゥナイトのわかりやすさも素敵だ。きっと一番最近作られた曲なんだろうな。

前作のように、メロディの展開がなんでこっちへ行っちゃうの?というのが少ない。
今作にはとてもストレートであり、しかしポール以外にはない意外な展開、意外でありながら納得してしまうポップさがある。


前作は傑作と言われたが、個人的にはポールらしさが半分くらい欠けた、リハビリ中のようなアルバムに響いた。久々にポールらしいプロミス・トゥ・ユー・ガールも10年くらい前ならB面に留まっていたんじゃないだろうか(そういう曲が好きなんですけどね)。
もっとさかのぼって、97年のフレイミング・パイも渋い傑作と言われたが、手癖で作ったような地味な曲も多く、なにより、制作期が多岐に渡ってる割には小粒な曲が多く、ポールらしい元気の良さに欠けるようでガッカリした覚えがあり、好きな曲も結構あるものの、アルバムとしてはこういうのは作って欲しくないという印象は変わってません。
また、両アルバムに共通するのが、シャウトがほとんどないことです。

ポールの声の衰えはアルバムごとに感じてはいたが、99年のラン・デヴィル・ランはカバー曲中心ではあるものの、シャウトボーカルが全面的に復活したのが嬉しい1枚だった。
01年のドライヴィング・レインは愛妻リンダの死後初のオリジナルアルバムのため、かなりダークな雰囲気だが、心がボロボロの状態で裸一貫の見切り発車をするポールがとても格好良かった。期待通りシャウトも入っていた。曲も荒削りだが、キラリと光るものが多く含まれていた。ファンの中でも評価が分かれ、批判が目に付くが、その後の大復活の原点であり、人間ポール・マッカートニーを感じるとても好きな1枚です。

このドライヴィング・レインはリハビリ的なものと思っていたので、インスタントな仕上げだろうが、次作は、ビートルズの再演がほとんどのワールド・ツアーを経てビートルズ的な神懸かりな曲に近いものを聴かせてくれるアルバムを、好調な喉で歌い、ツアーメンバーと共に制作するものと思っていたので、その布陣で作られた今回のアルバムは少し遅れて届いたものの期待通りのものでした。
間に発表された前作・ケイオス・アンド・クリエイション・イン・バックヤードもこの位置になって初めて異端の作品であることが浮き彫りになり、新たな魅力が芽生えてきました(マッカートニー2のような存在なのではないかと)。


曲中にいろんなアイディアの詰まったものを聴かせてくれる、アルバム中にいろんな声を聴けるのが、ポール・マッカートニーだ、と信じてここまで聞き続けてますが、今回のアルバムはまさにそれです。71年発表のRAMと同じベクトルを向いた、パワーのある作品だと思います。全盛期と言われる70年代のウイングスとしての一連の作品と並べても引けを取らないと思います。
アルバムが出るたびに、良いけど、こういうのよりもっと聴きたいのがあるんだよな~と思い続けて、15年くらい。待った甲斐があった。とても。

かなり感動しました。聴く度に良くなってます。上に挙げた曲以外も素晴らしいです。


ちなみに、買いに行ったついでにスタバを覗いてみましたが、サンバみたいのが流れていました。。。
レジにポールのCDが並んでいたのは嬉しい光景でした。


5 コメント

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Unknown (とても良く分かります)
2007-06-10 15:44:54
とても良く分かります。私もフラワーズ・イン・ザ・ダート以来、「こういうのが聞きたかったんだよ...」と感じる作品です。

前作は音楽的には良く出来てたかもしれないけど、ファンには難しすぎた。今回のは旧来からのポールファンにとっては会心作だと思います。
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Unknown (竹町愛策)
2007-06-11 00:38:48
ご無沙汰です。
小生も今回のアルバム、大傑作だと思います。
一言で言うと、「ポールのことを知らない人にも自信を持って薦められるアルバム」という感じがしています。

土曜日に都内某所のスタバに行きましたが、「マッカートニー」から「ケイオス」さらには「コンサート・フォー・ジョージ」の「フォー・ユー・ブルー」まで、バラエティにとんだポールの名曲の数々が流れていて非常に楽しめました。ただしばらくするとラテンに変わったので、タイミングが良くないと聴けないんだと思います。
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Unknown ()
2007-06-11 23:34:02
>竹町さん

ご無沙汰してます。確かに今作はいろんな人に聴いてもらいたいですね。私はポールを聴き始めた高校生の頃、いろんな人に勧めましたがなかなか興味を持ってもらえず、もういいや、楽しんで聴けるだけが聴いてれば、なんて思ってましたが、今作は内容の良さにふさわしいプロモーションもなされていて、広く聴かれるんじゃないでしょうか。

スタバの選曲は…フォー・ユー・ブルーまで入るとはすごいですね。あくまでソロで固めるのはいいですね。延々とパストマスターズvol2を流す某洋服屋よりも(笑)。良いプロモーション体制(スタッフ)のようで、嬉しいです。

>とても良くわかります、とコメントを書いて下さったかた

コメントありがとうございます。
新作が出るたびに楽しみにしていましたが、やはり旧譜の方が好きという自分がいました。今作は全盛期のアルバムのような匂いがします。

前作はこれから10年、20年と経ってポールの作品を振り返ってみるときっと重要作なんでしょうけど、今作は勢いのある作品をリアルタイムで聴いてみたいという希望・欲求を叶えてくれました。


バンドでロックするポールの姿は2002年からのツアーで見られ、それが初めて成果になったアルバムなので、この好調ぶりは当然ともいえるのかもしれませんが、単純に感動してます。

あの松村雄策さんがロッキング・オンに「ここ14年、バンドとやっても、ソロの匂いしかしなかった。しかし今回は1人でレコーディングしたものからも、バンドの匂いがしている。そう、ウイングスである」と書いておられますが、なるほど、オフ・ザ・グラウンドはポップスと捉えると、バンドでのロックアルバムは「バック・トゥ・ジ・エッグ」以来なのかなと。
私が15年間、待ち続けたのはウイングスなのかはともかく、ポールのロックなのでしょう。

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Unknown (にしもと@SH)
2007-06-17 12:36:58
こんにちは!
私もせっかくのポール新作発売というのに、仕事がヤマ場を迎えていて、
発売日に買えないわ、ゆっくり聞けないわで、やきもきしていましたが、
ようやくこの数日落ち着いて、このアルバムと向き合うことができました。

最近は、これがシングルかよ!と思っていたDance Tonightでさえ、名曲と思えてきました。
思えばHope of deliveranceから脈々と続く1stシングルカットの傾向そのものなのですが、今回は何かが違いますね。

また「談義」しましょう!
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Unknown ()
2007-06-17 23:25:20
>にしもとさん

ライブお疲れ様でした!。新作発売、そして明日誕生日といったタイミングで盛り上がったんじゃないでしょうか?。

Dance Tonight、シンプル過ぎて初めは??でしたが、噛むほどに味が出ます。ついくちずさんでしまいます。Ever Present PastがUSシングルと、使い分けているところもWings時代を連想します。

どちらもアルバムの中ではシングル向けというのがアルバムを聴くとわかりました。
欲を言えば、シングル曲をアルバムに収録しない、というパターンもやってみて欲しいですが、Dance TonightのC/WがNod Your Headのリミックスということから、今回は残り物がないのでしょうかね?。

語りたいことがたくさんですね!。

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