les 60 ans

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  (60歳を前にして 日々思うこと つれづれに:改題)
 小型AT二輪免許とその周辺の話

小型AT限定二輪免許の話 (006) 「教習第一段階 1時間目(2)」

2022-07-09 21:05:47 | バイク

 

指導員の方々が,私たち二輪教習生のまえにきて「あいさつ」をします.

 指導員の中でリーダーと思われる方が大きな声でいいます.

「おはようございます.今日の指導をするPです.ほかの指導員は」

  それぞれ指導員の方々が「Qです」「Vです」「Xです」などと自分の名前を自己紹介します.

 驚いています.昭和50年代.4輪免許の教習所.失礼ながら指導員のかたの名前など知る機会はありませんでした.今は向こうから自ら名乗るもの.昭和/令和の時代の差なのかは私にはわかりません.あるいは二輪教習の特別な雰囲気なのかもしれません.身がこわばります.こちらも失礼のないようにしなければ.

P指導員「では,準備体操をします」 その声とともに手,手首,足首,体全体のストレッチ,足の曲げ伸ばしなどを行います.この準備体操は実車教習時は毎回行いました.

 そのあとで,各々名前を呼ばれて各指導員のもとで指導を受けます.指導員1/教習生1の方も,指導員1/教習生たくさんのパターンもあります.

 私は「指導員1/教習生2」です.先ほどのリーダー格のP指導員に名前を呼ばれます.自分に向かって@@さん「はい」 もうひとりの**さん「はい」

 P指導員「**さん 原付の経験はありますか」「はい」 「@@さんは?」 私が答える場面です. 両手でバツをして「まったくありません」

 P指導員「自転車はのれますか?」 「50年以上のっています」

 P指導員「では教習を開始します.ではあちらに行ってください.」

 「あちら」とは教習用の二輪車がたくさんならんでいる(単車というにふさわしいおもむきのものばかり)うちの一番奥,小ATスクーターが置いてあるところです.

 2人それぞれスクーターのわきに立ちます.

 P指導員「まずスクーターのハンドルを両手でもってください」

 

   ...わたしは知りませんでした.125CCのスクーターがこんなに重いなんて...

 

 2輪教習用の建物にはビデオを映すモニターが設置されています.この後何回も,何十分もこのモニターの映像を繰り返しみるのですが,この映像の中にC校で使用する教習車の案内があります.大型二輪車,400CC,125CC それぞれのAT車 その特徴を教えてくれます.

 そのなかで,私がこれから教習を受ける「HONDA リード125 教習車仕様」というものが「160kg」あるということを知りました.大相撲の前頭筆頭力士くらいの重量であります.面と向かって勝てる相手ではありません.この重いスクーターを手にしたとき,「わたしは卒業できるのだろうか」という疑問を持ちました.この疑問は教習中繰り返し感じることになるのです.

 教習仕様の二輪車というのは,(1)車種が少ない (2)壊れないように市販用よりも丈夫にしている  (3)倒れても乗員がケガしないように安全部品がたくさんついている (4)たおれて壊れても部品の交換が簡単にできる ということなのだそうです.

 まずこの重いスクーターの「足元の留め金:スタンド」をはずします.そのまま両手でハンドルをにぎりながら車体を後ろに移動させます.

 これだけのことで緊張と体力の無さから息が切れます.

 P指導員「向こうに白い線があるのがみえますか」

  今立っている前方,遠くです.白い線が複数ひかれています. P指導員「一番奥と,一つ手前の線の間の距離はどれくらいだかわかりますか?」

 ???「5mくらいですか?」 P指導員「**さんは?」 「8mです」

 P指導員「はい結構です.走っているスクーターは,あの2本の線の間で止まることはできません」

 そうなのです.後で習う「急制動」というものの対象がその複数の白い線なのです.私はこの時点で二輪の指導教本をちゃんとは読んでいなかったのです.一緒に教習を受けている**さんはちゃんと知っているのです.せいぜい20歳の若い方です.教習にかける意気込みが,すでに私とこの方とで違うことが露見します.

 P指導員「では,そのスクーターをもって前にすすませてください」

  自転車を前にすすませるように前にうごかします」

 P指導員「わたしのあとについてきてください」

  P指導員,私.**さんの順で並んでスクータを進めていきます.後に知る「波状路」「平均台:一本橋」のまわりを1周します.そのわきでは多くの400cc/750ccの教習車が3人をさけて走っています.次はコーン(パイロン)がならんでいる「スラローム」の場所を押して歩いていきます.なるほど,自転車とは違う重いもの(160kg!!)を操作するのはこういうものかと実感します.

  P指導員「はい,結構です.ではこれから実際に乗ってもらいます」

 いよいよ本当に「二輪車」に乗るのです.車校のごく一部の場所で小型ATであっても「ライダー」になるのです.