les 60 ans

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  (60歳を前にして 日々思うこと つれづれに:改題)
 小型AT二輪免許とその周辺の話

小型AT限定二輪免許の話 (014) 「車校 第一段階 みきわめ D」

2022-07-22 22:05:15 | バイク

 

 人というものは,なにか夢中になるとほかのことを忘れます.

 落語では「三道楽煩悩(さんどらぼんのう)」という言い方をして,「酒」「女」「博打」の三つを挙げています.仕事もまわりもすべて放り出して夢中になってしまうこと.

 これは男性の視点です.「女」を「男」に変えると,令和時代のいまならホストにいれあげてしまう方.「酒」は仕事や生活のトラブルから逃げるためにのめりこんでしまう方.いずれもあるでしょう.

 「博打」:勝負事に夢中になってしまうのはどうでしょうか.二輪車にのるのだ,という意思は一つのバクチかもしれません.乗れなくても生きていけます.むしろ四輪車免許のほうが実利的です.二輪教習に10万円単位の費用を払って得られるものはなんなのでしょうか.

 それでも二輪車乗りは,二輪車教習生はハンドルを両手で握って,前だけを見て進んでいくのです.今の私がそうです.

 本来仕事がある日なのですが,早退して 17:00という時間の教習を受けます.普通二輪免許を持っている若いヤツが理解を示してくれて協力してくれました.彼にとっても「60歳前で二輪の免許」というのは驚きでしょう.今日は駅からタクシーにのります.青空です.季節外れの夏のような雲が多く見られます.

 第一段階.みきわめの2時間目です.前回「発進」と「停止」ができないのでもう一時間教習です.そのそも,乗りものを操縦するのに「走り始める」と「止まる」ができない.というのは基礎とかいうもの以前のものです.この現実を真摯に受け止めます.

 衣装はいつも通り.厚手のコーデェロイパンツとワークマンのひざ靴下.NBのスニーカー.厚手の長袖シャツです.

 教習前に免許証の裏表確認があります.今回10人ほどいる教習生の誰も持っていないであろう「中型8tMT ゴールド」です.でもそんな過去の栄光は何の役にも立ちません.今の還暦前のジジイに何ができるかだけが要求されるのです.外資系企業の人事評価のようなものです.

 いつもどおり,手足のストレッチです. 体を動かしてあたためてから,自分の名前が呼ばれていつものリード125のわきに行きます.不思議なもので,3回目となると車体が自分を待っていてくれるような気がします.前頭筆頭の重量のマシンが.自分との出稽古を待ってくれているのです.二輪車乗りには「車体と自分が一体化した」というような表現がありますが,それに近づいているのでしょうか.

 そんなわけはない.

 いつも通り,二輪車コースを指導員に従って何回か回ります.そのあとで外周を含めて本コースを走ります.このころに気が付いたのですが,指導員は必ず同じコースを走ります.そのあとを追ってどこで指示器を出すか.どの位置で曲がるかを気にしていたのは前述しています.現段階では指導員は二輪校舎のモニターにある「検定コース 1」をいつもはしっているのです.今の時点では.

 いつも. 今の段階でコースを覚えていくことは重要です.

  二輪専用コースに戻って,スラロームです.小型二輪ですがスラロームです.やはりできません.ただ「できない」というレベルが前よりはマシになったような気がします.そのあと一本橋(平均台)です.スラローム,一本橋.これを繰り返します.実車3時間目では信じられないことですが,一本橋で2回に1回は成功できるようになりました.走り抜けてしまうのを含めてです.ただS字同様に「なぜ自分が成功しているのか」がわかりません.

 気が付くと暗く陰っています.黒雲が空を覆い,明らかに雷や夕立が近いことを示しています.

 指導員「集合所に全員もどってください」 私の小型から,本コースの大型二輪教習生まで全員が二輪車教習生集合所:これは検定等で使う「開始」「終了」のポールのわきです:に戻ってきます.あっというまに黒雲から激しい夕立が降ってきました.

 雨のなかの教習になるのでしょうか.