いま私は前頭筆頭たるHONDAリード125に乗って,急制動の地点に向かってアクセルを握っています.両肩は緊張で上に上がっています.
四輪車は現在の中型8tMTを40年運転しています.速度が60kmでも100kmでも運転しています.教習コースでは第一段階1時間目から指定速度30kmで走ることができています.しかしこの急制動コースでは速度があがりません.
速度計を見ます.25km.もっと右手を回して30km さらに右手を握りしめます.視線は前方,速度計.前方,速度計を繰り返し移動していきます.速度計の針が10時近くのの方向:35kmを示しました.
次は二本のパイロンの手前でエンジンブレーキです.右手をただ緩めるのではなく.前に戻す必要があります.この間本当に1-2秒.60歳近いのによく頭がまわります.これがなぜクランクではできないのでしょう.
パイロンが手前前2車体分と思われる位置に視線が入ってきました.すくなくともそう感じていました.右手を戻す.直ちに両手でじわじわブレーキ.車体が止まります.パイロン通過時の速度など見ている余裕はありません.
3本線の一番手前,すなわち本来の停止位置(8m)のやや手前で停止しています.
しかし,間違っていることに自分も気づいています.ブレーキのタイミングが早いのです.
指導員「ブレーキのタイミングが早いですようね.でもスピードやアクセルブレーキは完璧でしたよ」
そうですね...ありがとうございます. でもできたのです.止まれたのです.
指導員にうながされて右左を確認します.ふたたび松の木のほうに向かいます.もう一度急制動を行うのです.
前回と同じです.同伴の教習生が急制動を終わったあとに,向こうの合図を待ちます.片手があがります.自分のわきの指導員の指示でスタートです.
右左の確認.両肘を体に付けます.前頭筆頭に対するには両肘を締めて二本差されないようにしなければなりません.発進.視線は前方,速度計,前方,速度計の繰り返しです.
32kmでもいいというのです.しかし60歳近い自分は「老化で目が悪い」のです.速度計の針がそんな中途半端な位置を示していることはかくにんできません.「30」と「40」の中間を針がさすことが見えるだけです.
パイロン手前2車体の位置でアクセルをもどす.ほんとうにワンクッションおいて車体の先頭(前輪の先)がパイロンにかかったと思うところでじわじわブレーキ.
ほぼ白線の手前で車体が止まっています.大きく息を吐きだします.いままで呼吸をしていなかったのではないでしょうか.
指導員「パーフェクトです.お見事です.その感覚をわすれないでください」
...わすれるとおもいます. 還暦近いのです.「身体で覚える」ことは17歳の方の3.5倍かかるのです.
しかし急制動において「じわじわ」というブレーキ操作で,8mで停止できるというのは驚きです.転倒しないでなおかつ規定に従う停止方法なのでしょう.
この時点で教習時間の半分であることを安い腕時計が教えてくれます.
後半は,このタイトルにある「ケーススタディ」というものを行うのです.後でわかったのは,これはシミュレータの3時間目のお稽古であることです.シミュレータに乗るための訓練を実車で行うのです.