映画食い倒れ。

~映画は人生のデザートです~

個人的覚え書きのため、たまにネタばれありです。

2018年ベスト。

2021年12月08日 | 年間ベスト
アメブロへの引っ越しを試みたのですが、やっぱりこちらで続けることにしました。




こちらの記事は、アメブロに2019年11月10日 に掲載したものです。




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2019年もそろそろ佳境に入りましたが、まだ更新していなかった2018年に見た映画のリストを掲載しておこうと思います。



*新作のみならず、何度も見ている映画も入っています。





・ダンスウィズウルブズ(Dance with Wolves、1990年 アメリカ)

・昼顔(2017年 日本)

・湯を沸かすほど熱い愛(2016年 日本)

・しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(Maudie、2016年 アイルランド・カナダ)

・ライフ!(The Secret Life of Walter Mitty、2013年 アメリカ)

・シェイプオブウォーター(The Shape of Water、2018年 アメリカ)

・宵花道中(2014年 日本)

・ヤング・アダルト・ニューヨーク(While We’re Young、2014年 アメリカ)

・ロブスター(The Lobster、ギリシャ、仏、アイルランド、蘭、英)

・さざなみ(45 Years、2015年 イギリス)

・フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(The Florida Project、2017年 アメリカ)

・JIMI:栄光への軌跡(Jimi: All is by myside、2013年 イギリス・アイルランド)

・犬ヶ島(Isle of Dogs、2018年 アメリカ)

・ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(God Helps the Girl、2014年 イギリス)

・胸騒ぎのシチリア(A Bigger Splash、2015年 イタリア・フランス)

・Monsieur Lazhae(原題、2011年 カナダ)

・リリーのすべて(The Danish Girl、2015年 イギリス・アメリカ)

・The Silent Child(原題、2017年 イギリス)

・しあわせはどこにある(Hector and Search for Happiness、2014年 イギリス)

・セレンディピティ(Serendipity、2001年 アメリカ)

・SPY/スパイ(Spy、2015年 アメリカ)

・Dina(原題、2017年 アメリカ)

・ネバーランド(Finding Neverland、2004年 イギリス・アメリカ)

・ぼくたちの奉仕活動(Role Model、2008年 アメリカ)

・ノーザン・ソウル(Northern Soul、2014年 イギリス)

・ブレックファスト・クラブ(The Breakfast Club、1985年 アメリカ)

・小悪魔はなぜモテる?( Easy-A、2010年 アメリカ)

・デンジャラス・バディ(The Heat、2013年 アメリカ)

・もののけ姫(2001年 日本)

・パッション(Passion、2012年 フランス・ドイツ)

・ゲスト(The Uninvited、2009年 アメリカ)

・いま、輝くときに(The Spectacular Now、2013年 アメリカ)

・Being Blacker(原題、2018年 イギリス)

・ペントハウス(Tower Heist、2011年 アメリカ)

・君の名前で僕を呼んで(Call Me by Your Name、2017年 米、ブラジル、伊、仏)

・ある過去の行方(Le Passe、2013年 フランス)

・戦場のピアニスト(The Pianist、2002年 仏、独、ポーランド、英)

・フレンチ・ラン(Bastille Day – The Take、2016年 イギリス・フランス・アメリカ)

・アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル(I, Tonya、2017年 アメリカ)

・40歳からの家族ケーカク(This is 40、2012年 アメリカ)

・レディ・バード(Lady Bird、2017年 アメリカ)

・オーバー・ザ・ブルースカイ(The Broken Circle Breakdown、2012年 ベルギー)

・グレイテスト・ショーマン(The Greatest Showman、2017年 アメリカ)

・天空の城ラピュタ(1986年 日本)

・クコリコ坂から(2011年 日本)

・カサブランカ(Casablanca、1942年 アメリカ)

・クワイエット・プレイス(A Quiet Place、2018年 アメリカ)

・ムーンライト(Moonlight、2016年 アメリカ)

・パディントン(Paddington、2014年 イギリス)

・Mother’s Day(記憶にすら残っていない…苦笑)

・素晴らしき哉、人生!(It’s a Wonderful Life、1946年 アメリカ)

・コンスタンティン(Constantine、2005年 アメリカ)

・ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣(Dancer、2016年 イギリス)

・LUCY/ルーシー(Lucy、2014年 フランス)

・シザーハンズ(Edward Scissorhands、1990年 アメリカ)

・ジョイ(Joy、2015年 アメリカ)

・アナと雪の女王(Frozen、2013年 アメリカ)

・きっと、星のせいじゃない(The Fault in Our Stars、2014年 アメリカ)

・Always at the Carlyle(原題、2018年 アメリカ)

・万引き家族(2018年 日本)

・カメラを止めるな!(2018年、日本)

・オーシャンズ8(Oceans 8、2018年 アメリカ)

・ベイビー・ドライバー(Baby Driver、2017年 イギリス・アメリカ)

・ボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody、2018年 イギリス・アメリカ)

・Katie said Goodbye(原題、2016年 アメリカ・フランス)

・ビューティフル・マインド(A Beautiful Mind、アメリカ)

・エンジェルウォーズ(Sucker Punch、2011年 アメリカ)

・Bros:After the Screaming Stops(原題、2018年 イギリス)

・ロミオとジュリエット(Romeo+Juliet、1996年 アメリカ)









全、69作品。



以前に比べると、映画への熱量が下がっているように感じていたのですが、意外と見ているものだなと。







通常はベスト5を選ぶのですが、今あらためて見返してみると、とてもじゃないけど5つに絞れない!





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2021年12月8日追記


数年ぶりにこちらのアカウントを確認しました。
しばらくこのブログから遠ざかっていたのですが、また気まぐれに更新したいなと思っています。


2018年に鑑賞した映画を今あらためて振り返ってみると、かなり当たり年だったように思います。
それはこの歳の新作という意味ではなく、私が見た映画画という意味ですが。

数年たった今も印象に残っている作品が多い年でした。




2017年ベスト。その②

2019年06月08日 | 年間ベスト
皆さん、いかがお過ごしですか?


気づけば、2019年も半分が過ぎ去ろうとしておりますが、このブログ、2017年のベストが書きかけのまま放置状態でした。
今更ですけど、続きを書いておこうと思います。


2017年ベスト。その①





まず、ベスト5には入らなかったけど、おすすめしたい映画を紹介。



The Second Mother(2015年、ブラジル)

生活のために自分の子どもたちを家に残し、他人の家に住み込み家政婦・乳母として生活する女性。その家族との関係、そして10代になった自分の子供との関係。日本ではあまりこういったシチュエーションって無いかもしれませんが、イギリスに住んでいるとこういった家族や仕事の形を目にすることがあります。こういった状況で生じる人生の矛盾ややるせなさ、喜びなどがうまく描かれている作品。



ラブレース(Lovelace 2013年、アメリカ)

これ、ある意味一番驚いた作品かもしれません。実在した、今で言うAV女優の半生を描いた伝記映画です。主演が、アマンダ・セイフライド。彼女が、本当に体当たりの演技です。マンマ・ミーアやレ・ミゼラブルなどですでに十分な名声を得た後に、この役に挑戦したということに一番驚いたのですが、女優魂を見せられた気がします。作品は、ラブレースの生い立ち、家族や夫との関係と歪、アダルト業界での名声、そしてそのキャリアを得た後には女性を守るためAV反対の立場を取った彼女の半生を描いています。当時の時代背景、男女のあり方、常識…人間社会のいろいろな側面を描いた作品です。



宵花道中

安達祐実さん主演の映画です。私の中の安達祐実さんは、子供の頃にカレーのCMに出ていたり、家なき子だったりのイメージだったのですが、この映画で初めて安達さんの演技力の凄さを見せつけられました。花魁でたくさんの後輩を抱える立場であるにもかかわらず、誰よりも初々しく生娘のような表情を見せたかと思えば、客に啖呵を切るシーンでは仰け反りそうになるくらいの凄みで完全に圧倒。安達さんの演技をもっと見たい!と一気に彼女の才能のファンになりました。







さて、やっと2017年ベスト5です。(笑)




第5位 トレインスポッティング2 


厳密に言うと、オリジナルの『トレインスポッティング』より面白いかと言われると、正直そうでもないです。オリジナルは超えていません。でも、そもそも越えようと思って作られていないところが、清いなと(笑)。『トレインスポッティング』が本当に大好きなんですが、あの続編を作れと言われたら、これ以外に作りようがないよな…という納得の出来。そして、相変わらずの登場人物たちのグダグダ加減や、イギリスの文化を知っている人には多分物凄くリアルです。ほんと、キャストが豪華。でも、インディー作品的な空気が流れているところも、また好き。




第4位 ラ・ラ・ランド

もともと、ミュージカルやミュージカル映画が苦手なのですが、ここ数年好みが変わってきました。なんと言っても、エマ・ストーンが素晴らしい。そしてライアン・ゴズリングの抑えた演技も本当に素敵で、画面に広がる色彩の美しさ、サントラの良さ、そして甘すぎないビタースイートな物語も良かったなー。




第3位 Lucy/ルーシー

こちらも、これまでの私の好みとは異なる作風。もともとSFもあまり好きではないのですが、この作品はもうすでに数回見てます。人間の可能性(映画では薬によるものだけど)、ワンネス、覚醒…など、監督リュック・ベッソンの独特の視点からわかりやすく作品の中で語られているように思います。そして、主演のスカーレット・ヨハンソン。大好きな映画『ロスト・イン・トランスレーション』のイメージが強いのですが、こういうSFも行けるのか…と意外さにも驚いた作品(その後いろいろなSFに出てますけどね)。




第2位 博士と彼女のセオリー

2000年代前半までの「伝記映画」って、出来事を忠実に盛り込もうとするあまり、エンターテイメントとしては正直ちょっと野暮ったいというか、テンポが悪くて間延びする作品が多かった気がします(個人の意見です)。それが、ここ10年ほどですごく変わったなと。この映画も、スティーブン・ホーキングの半生を描いた作品ですが、まずとてもテンポが良い。そして、当たり前ですけど、これでオスカーを取ったエディー・レッドメインの演技と言ったら!ちなみに彼も、ホーキング博士が研究を行っていたケンブリッジ大学の卒業生(イギリスの俳優は、有名大学出身者すごく多いです)。普段は、物語自体よりも作品のテンポと俳優の演技自体、映像自体に感銘を受けることが多いのですが、この作品はすべて楽しめます。




第1位 The Constitution (英題) (USTAV REPUBLIKE HRVATSKE)

もうね、これは本当に、ダントツで1位です。
ロンドンで開催された「レインダンス映画祭」で最優秀作品賞を取った作品なんですが、多分初めてみたクロアチア映画です。人生の喜び、悲しみ、辛さ、美しさ、愛、国、文化、偏見…すべてが詰まっているのですが、重くなりすぎず、かと言って軽いわけでもなく、絶妙なユーモアで最初から最後まで引き込まれた作品です。
かなりのインディー作品なので、日本ではなかなかこの作品のDVDなどを見つけることは難しいかもしれません(イギリスですら無い)。でも、本当に。機会があったら絶対に見てほしい一本です。




引き続き、充実した映画ライフを♡



2017年ベスト。その①

2018年03月11日 | 年間ベスト
2018年、映画生活を楽しんでいらっしゃいますか?


新年の挨拶もしないうちに、気づけば3月も半ば。

2月末に『シェイプ・オブ・ウォーター』を観に行ったんですけど(抜群に良かった。すでに今年度の私のベスト候補!)、その日はイギリスアカデミー賞の日だとそんなことすらすっかり忘れていて。毎年楽しみにしているイベントだと言うのに。

あー、もうこんな時期か…。去年のベストも発表していなかったなと思い出した次第です。



ということで、まずは2017年に観たの一覧です。

毎度のことながら、新作だけではなく、初めてのものや久しぶりに見たものも含まれています。


・夢と狂気の王国(2013年、日本)
・トレインスポッティング(Trainspotting、1996年 イギリス)
・R100(2013年、日本)
・極道大戦争(2015年、日本)
・ぼくの国、パパの国(East is East 1999年、イギリス)
・ベル、ある伯爵令嬢の恋(Belle 2013年、イギリス)
・パラダイス:愛 (Paradise, Love 2012年、オーストリア)
・The Second Mother(2015年、ブラジル)
・フラクチャー(Fracture 2007年、アメリカ)
・リトルマン・テイト(Little Man Tate 1991年、アメリカ)
・ウィークエンドはパリで(Le Weekend 2013年、イギリス・フランス)
・Pusher(2012年、イギリス)
・我が家のおバカで愛しいアニキ(My Idiot Brother 2011年、アメリカ)
・恋とニュースの作り方(Morning Glory 2010年、アメリカ)
・お家をさがそう(Away We Go 2009年、アメリカ)
トレインスポッティング2(T2 2017年、イギリス)
ボブという名の猫 幸せのハイタッチ (A Street Cat Named Bob 2016年、イギリス)
・メッセージ(Arrival 2016年、アメリカ)
・Brother(2000年、日本・アメリカ・イギリス)
・マージン・コール(Margin Call 2011年、アメリカ)
・ハドソン川の奇跡(Sully 2016年、アメリカ)
・私はダニエル・ブレイク(I, Daniel Blake 2016年、イギリス・フランス・ベルギー)
・ラ・ラ・ランド(La La Land 2016年、アメリカ)
・フィラデルフィア(Philadelphia 1993年、アメリカ)
・ショート・ターム(Short Term 12 2012年、アメリカ)
・ふたりのパラダイス(Wonderlust 2012年、アメリカ)
・ラブレース(Lovelace 2013年、アメリカ)
・Lucy/ルーシー(Lucy 2014年、フランス)
・ジョン・ウィック(John Wick 2014年、アメリカ)
・今を生きる(Dead Poet Society 1989年、アメリカ)
・ペーパーボーイ 真夏の引力(The Paperboy 2012年、アメリカ)
・Girlhood(2014年、フランス)
・West(2013年、ドイツ)
・アイ・アム・ボルト(I am Bolt 2016年)
・シンディにおまかせ(Extract 2009年、アメリカ)
・ザ・コンサルタント(The Accountant 2016年、アメリカ)
・ゴースト・イン・ザ・シェル(Ghost in the Shell 2017年、アメリカ)
・シン・ゴジラ(2016年、日本)
・わたしに会うまでの1600キロ(Wild 2014年、アメリカ)
・ベイビー・ドライバー(Baby Driver 2017年、イギリス・アメリカ)
・クレイマークレイマー(Kramer vs Kramer 1979年、アメリカ)
・博士と彼女のセオリー(Theory of Everything 2014年、イギリス)
・黄金のアデーレ 名画の帰還(Woman in Gold 2015年、イギリス・アメリカ・ドイツ・オーストリア)
・ゾンビランド(Zombieland 2009年、アメリカ)
・Keeping Rosy(2014年、イギリス)
・ブロークン(Broken 2012年、イギリス)
・たまゆらのまり子(2016年、日本)
・I’m Not Here(2017年、アメリカ)
・ブライトン・ロック(Brighton Rock 2010年、イギリス)
The Constitution (英題) (USTAV REPUBLIKE HRVATSKE 2016年、クロアチア)
・Noise(2017年、日本)
・ボーイズンザフッド(Boyz’n the Hood 1991年、アメリカ)
・ブレードランナー(Blade Runner 1982年、アメリカ)
・ジョージ・マイケル:フリーダム(George Michael: Freedom 2017年、イギリス)
・プライドと偏見(Pride & Prejudice 2005年、イギリス・アメリカ・フランス)
・アンナ・カレーニナ(Anna Karenina 2012年、イギリス)
・キャプテン・フィリップス(Captain Phillips 2013年、アメリカ)
・海よりもまだ深く(2016年、日本)
・つぐない(Atonement 2007年、イギリス・フランス)
・ベイマックス(Big Hero 6 2014年、アメリカ)



今年は、60本。近年の中では、かなり観たほうです。





2017年は、実はあまりガッカリがなかったんですよ。
「面白くないな」と思う映画は、そもそも始めから期待せずにそういうものだと思って観ていたので、裏切られた感がなかったと言うか。あとは、あまりに面白くないと途中で見るのをやめるので、リストにすら上がってこない(笑)。



その中でも、敢えてガッカリを選ぶとしたら、



- ベイビー・ドライバー


これは、反対意見も多く聞こえてきそうですが(笑)、私の期待が多分高すぎました。この映画の監督の作品が好きだったんですけど、個人的には、キャストがしっくり来なかった。特に主役のベイビーのアンセル・エルゴートが。俳優業以外にDJもしている方だそうなので、役柄とぴったりなのはわかるんですけど、脇役の俳優たちのクセがつよすぎて、彼のキャラがかき消されているように感じました。あと、年の離れた夫婦役のジョン・ハムとエイザ・ゴンザレス。この夫婦の絆というか、カップルに見えなかった。その凸凹具合を狙った配役だったのかも知れないんですけど、私にはただ合わなかっただけに見えまして。個人的には、ウェイトレスのデボラ役のリリー・ジェームズが一番良かったなー。





長くなったので、ベスト映画の発表は次回に分けたいと思います!

お礼。

2017年10月06日 | Weblog
みなさま、こんにちは。


先程、久しぶりに映画ブログを更新いたしました。
編集画面にログインするのも久しぶりだったのですが、偶然にも本日「トータル訪問者数(IP)」が20万を超えました。

この、あまり更新されない、完全に私の趣味と物忘れ防止用のブログですが、これだけの方が足を運んでくださっていることに驚きと喜びを感じます。リピーターの方、一見さん、いろいろいらっしゃるかと思いますが、お越し下さりありがとうございました。


このブログを開設して11年近くになるのですが(今日で3,913日目)、その時々で自分の感覚や人格も変わっていて、表現方法や言葉の選び方も違っているなぁ、始めの頃はうまく文章まとまりきらなかったなぁとか、自分で読み返して自分を振り返ったりもしています。


今後も更新は「気が向いたとき」+「その年のベストの発表」というゆるいものですが、楽しんでいただければと思います。



おゆり


『The Constitution (英題) ~USTAV REPUBLIKE HRVATSKE~』

2017年10月06日 | 映画~さ~
2016年 クロアチア映画



画像はこちらから http://www.latidofilms.com/the-constitution/



2017年9月にイギリスのロンドンで開催されていたインディーズ映画の祭典「レインダンス映画祭」にて鑑賞。

この映画祭の期間中、友人のお陰で幸いにも通し券を入手することが出来、映画祭にノミネートされている幾つもの作品を鑑賞させて頂ける機会がありました。

『The Constitution』はもともと特に興味は持っていたわけではなかったのですが、前日に行われた映画祭の表彰式で最優秀作品賞を含む主要3部門を独占した本作。「せっかくだし観てみようかな」と上映会に足を運んで大正解!大好きな1本となりました。


まだ日本で公開されていない作品なので、邦題がついていません。英語の題名である『The Constitution』とは、「憲法」のことで、この映画ではクロアチアの憲法を指します。


学校で教鞭をとるヴェコは、ゲイの男性。恋人を亡くしてからは、仕事と父親の看病をする生活。ある日、女装して街に出かけた際に若者グループに襲撃され重症を負う。その病院で、看護師で同じアパートに住むマヤと出会う。これを機に、マヤはヴェコと父親の世話を手伝うことに。その代わりに、警察官である旦那アンテがクロアチア憲法の試験に受かるために勉強を見て欲しいと頼まれます。こうして、同じアパートに住む4人が知り合いお互いの生活に関わるようになります。



多分、私にとってこれが初めて見るクロアチア映画でした。

上記の大まかな話の内容に加え、クロアチア人・セルビア人というそれぞれのルーツの違い、それによる差別意識、歴史認識の違い、セクシャル・マイノリティーへの偏見・差別・嫌悪、いろいろな愛の形や生活レベルの違いなどが絶妙に組み込まれていて、とても奥深く興味深いストーリーに仕上がっています。

こう書くと、すごく難しい映画なのでは…と思われそうですが、実はかなり笑わせてくれます!すべてを笑いにして全体を軽く、ということではなく、それぞれの問題や出来事、トピックに対してはとても真摯に描いていて、その中で見え隠れする人間の可愛さや滑稽さが笑いを誘うんです。


とにかく、出演者4人の演技、役柄、そして台詞回しが最高なんです!!!


全員がもれなくうまい。


一人ひとりが、それぞれのキャラクターの性格をしっかりと肉付けしたかたちで表現しています。台詞から伝わる情報のみならず、性格の設定や彼らの演技から伝わってくる人物像それぞれがたまらなく良く、それぞれがそれぞれに愛おしい!


そして、脚本も素晴らしかった。映画自体すごくテンポが良く、ムダがなく、だからといって遊びの部分はしっかり残していて、作品として本当にバランスが良いんです。


できることならもう一度見たい!DVDでたら買いたい!!!そのくらい好きな作品です。



今のところ日本公開の情報はありませんが、イギリスのレインダンス映画祭の最優秀作品賞、最優秀脚本賞はじめ、カナダのモントリオール映画祭、オランダの映画祭などでも様々な賞を受賞している作品なので(納得の受賞です!)、ミニシアター系映画館で、もしくはせめてDVDリリースしてくれたらと思います。


もし、鑑賞の機会がありましたらぜひ!心の底からオススメ!!!




☆☆☆☆☆

『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ ~A Street Cat Named Bob~』

2017年09月05日 | 映画~は~


*画像はこちらから http://variety.com/2016/film/reviews/a-street-cat-named-bob-review-1201906400/

2016年 イギリス映画


ロンドンの『ビッグイシュー』販売員だったジェームズとトラ猫ボブの実話を元にしたお話です。

ジェームズさんが書いた『ボブという名の猫』という本が元になっているのですが、イギリスでは2012年に発売されて以来ベストセラーで、続編や子供向け絵本など関連商品もかなり多く出ています。


簡単にお話の内容を説明しますと、元ホームレスで生活の再起をかけてロンドンの街なかで『ビッグイシュー』という雑誌の販売員をしているジェームズが、ある日怪我をした猫に出会います。彼はなけなしのお金でその猫を介抱しながら飼い主探しをするも、飼い主は現れず。ある日その猫は出勤するジェームズを追ってバスに飛び乗ります。もともと飼うつもりはなかったものの、これをきっかけにお互いがかけがえのない存在に。数々の困難に見舞われますが、ボブの存在はジェームズの再起を後押しします。


映画なんですが、もう本当に本のまま。誇張も省略もなく、そのまま素直に映画になっています。ですから、原作本を読んだ方も、しっかり楽しめます。


…正直に言うと、特にここで付け加えることのない映画でした。


つまらないということではなくて、先程も書きましたが、本のままだから。そこはこれ以上ないほど素直にほんのまま。本当に忠実。ジェームズ役の俳優さんは、本物より若干男前ではありますが(笑)。しかも、ボブ役は本物のボブが演じていますし、これ以上には作りようがない出来ではないでしょうか。


でも、逆にこういう映画って最近珍しいかもしれません。動物を扱った映画ですが、特に子供向けというわけでもなく、ほんとうの意味で年令に関係なく誰もが楽しめる一本。これ、貴重ですよね。


あと、個人的に気になったのは、ベティー役のルタ・ゲドミンタス(多分こんな感じの名前)。この人、イギリスのテレビ番組ではたまに見かけるんですけど、役によって全然雰囲気違う!イギリス人の俳優さんって、あんまり「これが私よ!」という感じの人っていない気がします。どういうことかというと、「普段はけっこう普通」というか。だからこそ、役によって全く別人に見えたり、その振り幅がものすごい人が多い気がします。


それから、映画には全然関係ないんですけど(笑)、『ビッグイシュー』って日本でも販売員の方をよく見かけると思うんですけど、日本での知名度ってどうなんですかね?日本の知り合いには「全然知らない」という人も何人かいてけっこう驚いたんですよ。少なくとも15年前にはビッグイシューって日本に上陸していたし、当時から大きな駅前とかだと販売員の方をよく見かけたので、「皆さん、おなじみの!」くらいの認知度だと思っていたら…地域差もあるのかもしれませんが。


映画に関係ないついでに、ジェームズとボブはイギリスでは本当に誰もが知っている存在です。ふたり(?)は今もホームレス・チャリティー運動に力を入れていて、特に『ビッグイシュー』関連のイベントだとけっこう頻繁に参加していたりします。ちなみに、私も今年の春にあるイベントに参加する予定で、さらにそのお二人が激励にやってくる!という二人に会える絶好のチャンスを目の前にしながら…直前にわたくし発熱でイベント参加できずということがありました。


って、どうでもいいですね。


最後に映画の話に戻りますが、実話であること、そして話もわかりやすいこともあり、本当にどなたにもおすすめです。サラッとも見れるし、しかしイギリス(ロンドン)のホームレスチャリティーや販売員たち、一般の人達の生活の一端も垣間見れますし、さらにロンドンが好きな人にはおなじみの街並みも楽しめます。誰もが素直に楽しめる、実は意外と貴重な作品・・・だと思います!




日本では、2017年8月26日から公開中!




オススメ度:☆☆☆☆


『トレインスポッティング2 ~T2 Trainspotting~』

2017年04月01日 | 映画~た~
2017年 イギリス映画


*ロンドン地下鉄の駅に登場したT2ポスター

20年前に公開された『トレインスポッティング』の続編です。


日本でもコアなファンを持つこの作品。公開当時、この映画のサントラCDを購入した人も多いはず!『トレインスポッティング2』は、1作目から20年経った彼らの姿を描いています。そして、彼らの現在の姿は想像通りで、そこは期待を裏切りません(笑)。



内容はと言いますと…そのまま、彼らの20年後の姿です。一応端的に内容を説明しますと、ドラッグを売りさばいたお金を持ち逃げし仲間たちの前から姿を消していたレントン(ユアン・マクレガー)が、20年ぶりにスコットランドのエディンバラへ。彼以外の仲間たちは、20年前の出来事以降も、罠にハマったかのようにずっとかわらぬ生活ぶり。しがないパブ経営、妻子持ちで生活保護を受けながらの困窮した生活、刑務所暮らし…。そこに現れたレントンは、生活のすべてが上手くいっていて自分たちとは異なるライフスタイルを謳歌している様子。あの時持ち逃げしたお金を元に。過去の恨みつらみの爆発、袋小路に追い込まれたような将来に希望を見いだせない生活、自分たちを出し抜いて成功したかつての仲間。でも本当にそうなのか?…というところから話が動き始めます。


1作目から20年後の設定なので、前作と比べるのは全く意味が無いことなのですが、個人的には「これ以外には描きようがないよね」と思いました。もう20代の若者ではない彼らの生活の変わったところ、変わっていないところ。抱えている問題も20年前とは違うし、それに対処するだけの自由さ、体力、環境だって違います。


一番好感が持てたのは、1作目より良い映画を作ろうとしていないところ!そもそも、そこを超えていこうとしていないところが、清いなと思いました。前作のインパクトは、あの時代で、あの年齢の俳優たちの起用、あの時代の音楽だったからこその爆発力のなせる技。映画の続編を作る時、そこを超えていこうとか色々なものを詰め込みすぎて、逆にグダグダになるというパターンが多いと思いますが、さすが20年寝かせてやっと重い腰を上げて作っただけあって、そんな単調なミスは犯していないのはさすがです。


1本の作品としてどうなのかというと、当然ながら1作目の圧勝です。逆に言うと、上でも言及しましたが、制作側も1作目に勝る作品を作ろうとしていないし、見る側もそこを求めるのは間違っているのだと思います。これはあくまで続編なわけですから。


では、続編としてどうなのかというと、抜群でした。


前作との絡みもありますし、1作目を知らない人が見ても分かるようにしなければならない部分もあるので、映画の前半はどちらかと言うと「トレインスポッティングとは」とか、登場人物たちの関係性をしっかり明確にするために割かれています。続編としての面白さが増してくるのは後半。


トレインスポッティングのファンならスパッドを愛さずにはいられないと思うのですが、そんな気持ちを抱いている方なら絶対楽しめるし嬉しくなる作品です。彼のキャラクター、ダメダメ具合(それは全キャラクターがそうですが)、そしてそれでも愛さずにいられないし応援したいと思ってしまうのがスパッドの魅力。そして、話の内容にもダニー・ボイル的なひねりがあって、とってもニクイ!


映像の面白さは去ることながら、往年のファンなら満足の一本です。


私は前作が本当に大好きで多分20回位観ているのですが、この続編を映画館へ観に行った時は、もう嬉しくて嬉しくてニヤニヤが止まりませんでした(笑)。愛すべき全キャラクターがそのまま、でも20年の時を経て良くも悪くもリアルにそこにいてくれるのですから。この作品を楽しむには、「続編である」ということをきちんと念頭に置いて観てください。一本の作品として個別に楽しむのではなく、前作とのセットとして生きる一本です。





おすすめ度:☆☆☆☆★


日本での公開は、2017年4月8日から

2016年ベスト。

2016年12月31日 | 年間ベスト
明けましておめでとうございます。

日本ではすでに新年を迎えていますが、私が住むイギリスではまだ大晦日。あと4時間で新年を迎えます。


さて、2016年のベストです。全く持って、私個人の勝手なベストです。
去年と同様、2016年のランキングと言っても、2016年に公開された映画ではなく、私個人が見た映画なので、公開、製作年はバラバラです。



まずは2016年に観た映画の一覧です。


x+y 僕と世界の方程式 (x+y, 2014年 イギリス映画、日本では2017年1月に公開予定)
サイダーハウス・ルール (The Cider House Rule, 1999年 アメリカ映画)
Amy エイミー (Amy, 2015年 イギリス映画)
・ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション (Mission Impossible/Rogue Nation, 2015年 アメリカ映画)
・チャップリン (CHAPLIN, 1992年 イギリス・アメリカ映画)
・グーニーズ (The Goonies 1985年 アメリカ映画)
・ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ (Nowhere Boy, 2009年 イギリス映画)
・リービング・ラスベガス (Leaving Las Vegas, 1995年 アメリカ映画)
・オデッセイ (The Martians, 2015年 アメリカ映画)
・My Brother the Devil (2012年 イギリス映画)
・クリムゾン・ピーク (Crimson Peak, 2015年 アメリカ映画)
ジャングル・ブック (The Jangle Book, 2016年 アメリカ映画)
・Leave to Remain (2013年 イギリス映画)
・ハンナ (Hanna, 2011年 アメリカ映画)
・ブルックリン (Brooklyn, 2015年 カナダ、イギリス、アイルランド、アメリカ映画)
・わたしは生きていける (How I live Now, 2013年 カナダ、イギリス映画)
・ギリシャに消えた嘘 (The Two Faces of January, 2014年 イギリス、アメリカ、フランス映画)
・エイリアン (Alien, 1978年 イギリス、アメリカ映画)
・攻殻機動隊 (1995年 日本映画)
・イーグル・ジャンプ (Eddie the Eagle, 2016年 イギリス、ドイツ、アメリカ映画)
・ズーランダー2 (Zoolander2, 2016年 アメリカ映画)
・ 海街ダイアリー (2015年 日本映画)
・マイ・ビッグ・ファット・ウェディング2 (My Big Fat Greek Wedding 2, 2016年 アメリカ映画)
・Wild Horses (2015年 アメリカ映画)
25年目の弦楽四重奏 (2012年 アメリカ映画)
25年目の弦楽四重奏(A Late Quartet, 2011年 アメリカ映画)
・明日を継ぐために (2011年 アメリカ映画)
・ピッチ・パーフェクト (Pitch Perfect, 2012年 アメリカ映画)
・悪の教典 (2012年 日本映画)
・レヴェナント: 蘇えりし者 (The Revenant, 2015年 アメリカ映画)
・奇蹟がくれた数式 (The Man Who Knew Infinity, 2015年 イギリス映画)
・グランド・イリュージョン 見破られたトリック (Now You See Me 2, 2016年 アメリカ映画)
・後妻業の女 (2016年 日本映画)
・ブレックファスト・クラブ (The Breakfast Club, 1985年 アメリカ映画)
・ブルーバレンタイン (Blue Valentine, 2011年 アメリカ映画)
・誰よりも狙われた男 (A Most Wanted Man, 2014年 アメリカ、イギリス、ドイツ映画)
・The Family Fang (2015年 アメリカ映画)
・ロンドン・コーリング ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー (Joe Strummer:The Future is Unwritten, 2007年 イギリス、アイルランド映画)
・The Lady in the Van (2015年 イギリス、アメリカ映画)
・パレードへようこそ (Pride, 2014年 イギリス、フランス映画)
・SEX AND THE CITY (2008年 アメリカ映画)
・SEX AND THE CITY 2 (2010年 アメリカ映画)
・Forget Me Not (2010年 イギリス映画)



今年のリストには、前に見たことがあるものが数本含まれています。気に入って何回も観ているものではなく、随分昔に観たけど、内容を覚えていないモノや昔は楽しめなかったけど見方が変わったものなどです。

上記のリストを数えてみると、43本でした。多分抜けている物もありますが、去年よりも観ていたと言うのは意外でした。というのも、2016年は更新回数こそ去年よりも若干増えましたが、実は数ヶ月間「全く持って映画に興味が持てない」という時期がありました。それまで何年にも渡って、それこそ子供の頃から好きだった映画だと言うのに、それを見たいと思わなくなったことに、「これってもしかして中年の危機の一環では?」と余計な心配をしたりもしましたが(苦笑)。今年は、私にとっては本当に激動の1年でして、それも影響していたのかもしれません。



まずは、がっかりからいきましょうか。


- 悪の教典

ダントツです。いくらイギリスのテレビで邦画の放送があると気になってしまうとは言え、そもそも、どうしてこれを見ようと思ったのか自分のことながら謎です。物語にも出演俳優にも興味がなかったと言うのに。上手く説明できないのですが、伊藤英明さんが苦手。…だったらはじめから観るなっちゅうはなしです。胸糞悪くなる話なので、この映画を見て気分が悪くなったと言うのはある意味正解なのですが、とことん私好みではありませんでした。



- ブレックファスト・クラブ

80年代の青春映画です。90年代に中学、高校時代を過ごした私が購入していた映画雑誌には、80年代の青春映画がおすすめとして紹介されていることが多く、これはそのうちの1本。実はこれまでにも観てみようとしたことはあったのですが、ことごとく撃沈。しかし、今年は心底苦手(というか嫌悪)していた『SEX AND THE CITY』を克服したので、この流れに乗って再度挑戦してみましたが、もう全く持って駄目でした。80年代のパステルカラーのアメリカのキラキラしたティーンエージャーが出ているだけでお腹いっぱい…。



- グーニーズ

またまた80年代。気づいてはいたけど、あらためて80年代の青春映画、子供映画のノリが苦手なんだとわかりました。これは友人(スペイン人)が大好きな映画で、観たことがないといったら強制的にDVDを手渡されたので観ないわけには行かず(苦笑)。もしかしたら楽しめるかも!と一縷ののぞみを持って挑みましたが…。「西洋の子どもたちがキラキラした眼差して手に汗を握りながらワクワクドキドキの大冒険を見守る」話は、40歳手前の日本人にはハードルが高かった。




では、つづきまして、2016年のベストに行きましょう。



第5位 レヴェナント: 蘇えりし者

ディカプリオがやっとオスカーを獲得した一作。特別彼のファンというわけではありませんが、やっぱり彼にはいつか獲ってほしいと思っていました。そして、文句なしの演技。レオの素晴らしさはもちろんなのですが、個人的には大好きなウィル・ポールターが重要な役どころで出ていたこともとても嬉しかったです。まだ20代前半の若い俳優ですが、これからの彼の活躍には期待大!!!他にもトム・ハーディーなどイギリス人俳優たちの活躍が、この映画でも如何なく発揮されており、彼らの演じられる役の振り幅の広さには脱帽。そして、映画自体も「撮影のハードさ」やスタッフ、俳優たちの本気度が伝わってきて、「最高の作品を作る」という意気込みが画面からひしひしと伝わってきました。



第4位 ズーランダー2

一作目の大ファンで、何年も続編の噂がありましたが、やっとやっとの第二弾!
評価はものすごく別れたようですが、個人的には「抜群」でした。一作目のバカバカしさをきちんと世襲し、過不足がなく塩梅が抜群だったと思います。だいたい一作目の評判がよくて続編が作られるときって、方に力が入りすぎたり、色々計算しすぎてしまうのか、過剰でもう面白くなくなってしまうことが多いと思うのですが、ズーランダー2に関しては、よくぞ上手く作り上げた!と思います。



第3位 Amy エイミー

エイミー・ワインハウスのドキュメンタリーです。ドキュメンタリーと言っても、ドキュメンタリーにはなっていない作品って実は多いと思おうのです。ある意味これは仕方のないことなのかもしれませんが、どうしても監督やスタッフたちの思いや考えが出てしまう。人によって、見方によって、物事は様々に形を変えるからこそ、下手すると、プロパガンダになりかねないという難しさが「ドキュメンタリー」にはあると思うのです。しかし、『Amy』は、きちんと一定の距離を取り、彼女を賞賛するでもなく、逆に糾弾するでもなく、彼女のまわりにいた様々な人々のインタビューをもとに構成されていました。痛々しいほどピュアにジャズを愛したエイミー。純粋すぎたからこそ彼女の才能は開花したし、人や自分自身を傷つけ傷つけられたりもした短い一生がまとめられています。特に音楽ファンは必見。



第2位 25年目の弦楽四重奏

出演俳優たちの力量があるからこそ、些細な日常生活の中の人間の滑稽さや苦悩が安定して描かれています。とにかく俳優のチョイスがすばらしい。フィリップ・シーモア・ホフマンが主演しているというのが、この作品を観た一番の理由なのですが、「やっぱりこの人大好き」とあらためて思いました。リアルと言うと安っぽいのですが、なんなんでしょう・・・私達が人生の中で感じる「まじかよ!?」という瞬間や出来事を、その気持やカッコ悪さをそのまま映画で見せてくれているというか。そして、彼の娘役だったイモジェン・プーツ。去年見たイギリス映画『A Long Way Down』にも出ていたのですが、彼女もうまい。自分がイギリスに住んでいるからというわけではなく、この小さな国の俳優たちはやっぱりすごいと思うのです。



第1位 x+y 僕と世界の方程式

自閉症(多分アスペルガー症候群)の若者たちの生活を描いた作品。ブログ記事にも書きましたが、本当にこのとおりなんです。アスペルガー傾向のある数多くの同僚たちと仕事をした経験があるからこそ、「そう、その通り!」というポイントや難しさをしっかりと描ききれていることにこの映画の凄さを感じました。私はどちらかと言うと俳優の演技の素晴らしさに重点を置いて映画を楽しむので、どうしてもそこに注目してしまうのですが、この映画も、俳優たちが素晴らしった。大好きなサリー・ホーキンスはもちろん、脇役のエディー・マーサン(2015年のベストに入った『おみおくりの作法』の主演俳優)のカメレオンぶり。そして一番の驚きは、先生役のレイフ・スポール。お父さんはティモシー・スポールという怪優ですが、レイフの活躍にも期待が膨らみます。また、学生たちを演じた若いイギリス人俳優たちも本当に素晴らしかった。特にお気に入りのアレックス・ローサーやジェイク・デイビスは他の映画やテレビドラマでもよく見かけます。大事件をCGや莫大な予算を使って見せるエンターテイメントも面白いのですが、こういう静かな、日常のできごとや生活をとことん普通に描くイギリス映画が、やっぱり私は好きです。




今年はベストを選ぶのが難しかった!1本が抜きん出ているわけではなく、方向性の違う作品様々な作品を楽しめたということなのだと思います。
ベスト5にははいらなかったものの、おすすめをいくつか。


攻殻機動隊
毎年言っているけど、ジャパニメーションって本当に本当にすごい。これは日本人にしか作れない。


エイリアン
わかってます。これも今更なんですが、アメリカ映画なのですがイギリス人監督が作った作品というのが随所に感じられます。これが70年代の作品であることに驚きます。


ジャングル・ブック

黒ヒョウのバギーラに心を奪われました!動物たちのキャラクターが、声を演じた俳優たちときちんとマッチしているのも見どころ。最初から最後まで面白かった!



2017年は、マーティン・スコセッシの『サイレンス』、そして待ちに待った『トレインスポッティング2』を楽しみにしています。
そして、みなさんがより素敵な映画と巡り会えますように♪





*2017年10月6日編集

『25年目の弦楽四重奏 ~A Late Quartet~』

2016年09月27日 | 映画~な~


2012年 アメリカ映画



これまでの数ヶ月間、どうも映画熱が冷め気味で、観始めても集中力が続かなかったり楽しめなかったりでした。この映画は、久しぶりにちゃんと観た一本。フィリップ・シーモア・ホフマンが出演しているというのが、この映画を選んだ一番の理由です。


カルテットを組んで25年のベテラン音楽家たち。素晴らしいバランスで美しい音楽を奏で続けてきた彼ら。しかし、メンバーの1人の体調に異変が生じたことから、ひとりひとりの胸の内、グループのバランス、私生活は舞台の上とは違った一面が表面化。



映画の感想の前に…この感想を書くために、日本の邦題を今回はじめて知ったのですが、ちょっと脱力どころではなくソファから落ちそうになりました。邦題の酷さは今に始まったことではありませんし、批判するのも今更な気もします。配給会社、映画会社でしっかりと話し合いを重ねた結果漬けられたタイトルなのでしょうが(…)、なんだか映画の良さを見事に半減しているようにしか感じられません。もし出演者を知らずに日本語のタイトルだけを見たら、私は多分この映画を見たいとは思いません。日本に限ったことではないかもしれませんが、小説の題名ってすごく大切です。芥川賞などの大きな賞の選考過程でも、題名の面白さ、引きつける力に関してはいつも言及されています。私は映画も同じく、作品として世に出すとき、特に特定のマーケットに向けてそれを打ち出すときに、そこに合わせたタイトルを現地の言葉で表現するのはものすごく責任重大なことである思っています。でもその責任の重大さに気づいていない人たち、もしくは会社がその任務を行っているように思えてなりません。



さて、あらためて映画の感想です。フィリップ・シーモア・ホフマンの演技を楽しむのに、いい作品でした。そして出演者たちのバランスが絶妙。誰か1人が抜きん出ているとか、誰かが誰かの影に隠れてしまうということがなく、それぞれの立場や一筋縄では行かない感情、人間の多面性が見事に表現されていて、どの役にも色あせがないことが素晴らしかったです。




そして、ここ数年お気に入りのイモジェン・プーツが出演していたのは嬉しい驚きでした。まだまだ20代の若い俳優なのですが、ただ与えられた役を演じているのではなく、「この子は本当にこういう性格でこういう感性の持ち主なんだろうな」と錯覚してしまうほど、その役の台本には細かく描かれていないであろう性格をしっかりと浮き上がらせる事のできる、類まれな俳優さんだと思っています。この映画の中では、「プロの音楽家を両親に持ち、自身もバイオリンの勉強をする学生で、子供の頃はツアーで忙しい両親に会えず寂しい思いをしていた」という役どころ。それが、例えば、彼女の笑い方、笑い声のトーン、そしてその状況をどうして面白いと思っているか、その笑いの裏にある彼女と登場人物との立ち位置…一つの笑いで、ここまで表現しているんです。


実は、私が彼女の演技に打たれたのは『A Long Way Down』というイギリスの映画だったのですが、この映画でも彼女の演技力の高さが光っていました。共演のベテラン俳優たちをもしかしたらちょっと食っていたのではないかと思うほど。この『A Long Way Down』は日本では公開されていないようで(2016年9月現在)、またあまり高い評価を得ていないようなのですが、私は大好きです!もう3回くらい見ています。



話をもとに戻します。
この『A Late Quartet』は、一応「コメディー」というカテゴリーになっています。映画を見てみると、あからさまに笑いを取りに行っている内容では決してありません。しかし、日常生活での人間の悲哀やその滑稽さ、心の葛藤や矛盾、感情の多面性など、一筋縄ではいかないところが、ほんの些細な日常のデキゴトの中に散りばめられていて、それがメンバーの体調不良をきっかけに表面化されます。道徳では割り切れない、どうにも出来ない人間の性やエゴたちです。それぞれの事象は、「映画やドラマでしか起こり得ないこと」ではなく、恐らく私達の誰もが多かれ少なかれ経験している、本人たちにとっては大事件…でも他人にとっては意外とよく聞く話…程度のこと。でも、だからこそ人間臭さとか面倒くささとか、同時に人間の可愛らしさが出ていて、登場人物たちが愛おしくなります。


私のお気に入りは、カルテットメンバー4人が抱えているそれぞれの問題が隠しきれなくなったあと、初めて4人そろっての練習の風景。ある者は自分に知らされていない何かがあることに気づき、ある者は衝撃の事実を伝えられ・・・こう書くと、本当に衝撃的でシリアスなシーンのように聞こえるかもしれませんが(当事者にとってはその通り)、赤の他人である私(や観客)は一歩引いてその4人のいざこざや衝突を眺めており、彼らが沸点を超えていく中で思わず発せられる映画の本文(と言うか物語自体)に関係のない本音ややり取りが物凄くリアルで、思わず声を上げて笑ってしまったほど。そこはベテランたちの競演(フィリップ・シーモア・ホフマン、クリストファー・ウォーケン、キャサリーン・キーナー、マーク・イヴァニール)だからこその抜群の間や駆け引き。そして台詞がすばらしい!特にこのシーンのシーモア・ホフマンを見て、「ああ、やっぱり私はこの俳優さん大好き!」と笑顔になりました。



最後の締め方もとっても粋でした。どんなに衝突しても難しさが合っても、お互いの才能はしっかりと認め合い尊敬しあっている関係が表現されていて、また反発しながらも両親の音楽家としての才能に憧れ愛している娘の姿もあり、静かでキザだけど、カッコいいエンディングだなと思いました。






おすすめ度:☆☆☆☆★

『ジャングル・ブック ~The Jungle Book~』

2016年05月14日 | 映画~さ~


2016年 アメリカ映画


ディズニーの最新作、ジャングル・ブックです。
正直ね、実写版と言ったってディズニー。声優陣が豪華とは言っても子供向けなんだろうなと思っていたんですよ。でも、わたくし間違っていました。


こんなに幅広い年齢層におすすめできる映画って、なかなかないです!



先程も少し触れましたが、この映画を見に行った理由はなんといっても豪華な声優陣。子供向け(だと思っていた)映画に、ビル・マーレイとベン・キングスレー、イドリス・エルバが出てたら無視できません。どんな子供映画になっているんだ?と興味を惹かれるというものです。それでもそれほど高い期待を抱いていたわけではなく、がっかりしても仕方がないかなと思いながら映画館に足を運びました。


大まかな話の内容はと言いますと、ジャングルで狼に育てられた少年が、同じくジャングルで生活するトラのシア・カーンに人間であるという理由で命を狙われることに。ジャングルの平和のためにも、ジャングルから離れ人間たちの住む村を目指すことにします。後見人である黒ヒョウのバギーラとともに村を目指して旅立ちましたが、様々な困難に見舞われます。


リメイクなので、話自体は特に新しいものではありません。アニメ版を見ていないのですが、知り合いによるとエンディングが異なるとのこと。


とにかく、登場人物・動物達がみーーーーーんないい!!!


もうね、映画館で見て正解。主人公モーグリを演じる男の子も、とても演技がうまく絶妙にかわいい!特にCGを駆使した作品なので、彼の撮影の殆どは俳優たちとの演技ではなくほぼ一人で行っていたということを考えると、彼の演技力の高さと完成度の高さは眼を見張るものがあります。彼が生まれたのが2003年(2004年という情報もあり)。もうね、びっくりしますよね。2000年代生まれの人達が、もう仕事しているなんて…。


そして動物たちのキャラクターデザインが美しいのです。私のお気に入りは黒ヒョウのバギーラなのですが、力強く美しい。もちろんCGなのですが、最近のCGってこんなにすごいのか、と普段はあまりCGとか特殊効果的なものは好まないのですが、そんなわたくしでさえ感嘆です。


そして、動物たちと豪華声優陣たちのマッチングが絶妙。お気に入りの黒ヒョウ・バギーラの声を担当したのは、Sirベン・キングスレー。落ち着き、威厳があり、そして聡明。実を言うと、ベン・キングスレーが出ている映画は数えるほどしか見たことがなく(ガンジーも未見)、オモシロイと思った作品に出ったことがなかったのですが(個人の感想です!)、これは私の中では彼の新たな代表作です!


悪役のトラのカーンはイドリス・エルバ。イドリス・エルバの映画は、もしかしたら『パシフィック・リム』しか見たことがないかもしれませんが、イギリスのテレビドラマやCMにも出ていて、コメディーからシリアスなものまで振り幅が広く、渋さもある…わたくし、褒め称えてますね(笑)。でも、本当にカッコいいんです。大好きなんです!


さらに、食いしん坊で怠け者のクマ、バルーの声はビル・マーレイ。このクマのキャラがビル・マーレイのイメージとぴったりで、このクマの声優がビルではなかったら映画の色がちょっと変わってしまうんじゃないかと思うほど。さらに、巨大ヘビがスカーレット・ヨハンソン、そしてオラウータンのボスがクリストファー・ウォーケンです。



よくぞあなた達、このオファーを受けてくれた!と嬉しくなる顔ぶれ+動物のキャラとぴったり!



もう一つ驚いたのは、この映画のトーン。色味もそうなのですが、五月蝿くないんです。もちろん音響は大きい部分もありますが、キャラクターのわざとらしい大げさなリアクションや無駄にキラキラした装飾など煩わしさがないのです。私の勝手なイメージもあるのかもしれませんが、アメリカ映画、特に子供も見られる作品だと、他の国民性にはないアメリカ独自の派手さ、大げささが全面に出ていることが多く、それが逆に邪魔をして楽しめない時があります。しかし、この作品は違います。物語の軸がしっかりしており、過剰だとおもわれる演出はかなり少なく、しっかりと話自体に集中できます。


もう一回映画館で観たいと思うほど良かったです。ブルーレイ出たら真っ先に買うわ。
ほんと、騙されたと思って、大人の方々もぜひ映画館に足を運んでみてください!こんなに純粋に楽しめるエンターテイメント作品はなかなか出会えません。声優陣の声を楽しむことはできませんが、お子様がいらっしゃる方は吹き替え版があればそれでも十分に楽しめます。もうもう、強烈におすすめ!!!



日本での公開は2016年8月11日から。夏休みまっただ中ですね。ぜひ観てみてください!





おすすめ度:☆☆☆☆☆+α (←久々です!)




画像はこちらのサイトから。
http://indianexpress.com/article/entertainment/hollywood/the-jungle-book-trailer-mowgli-is-back-with-his-army-of-wild/