BS-TBSで放送されている
美術、音楽、文学・・様々なジャンルの芸術家(アーティスト)が登場!
1つのテーマを題材に、2人の巨匠たちとその作品を見ていきます。
歴史に残る名作から、アーティストの美意識を読み解く・・・
作品の源泉となった巨匠たちの“美学”が浮かびあがります。(番組HPより)
時々見て、二人を同時に着眼するという企画が面白いなぁと思っていたのですが、今回は
フレッド・アステア と ジーン・ケリー
ミュージカル界の巨匠二人ということで、俄然気合を入れて見ました
はぎおの印象としては、アステアは優雅、ケリーは元気・明るさ、という印象です。
もちろん、その通りのダンスで世の中を魅了してきたのですが、トップに上り詰めるまでの経緯がなかなか興味深かったです。
アステアは、ブロードウェイから映画界に来たけれど、(当時の批評ですよ)「禿げ上がった額」と映像で見た自分のダンスに納得がいかず、数年間もダンスに磨きをかけ、特訓を積んで、とにかくステップの正確さ・軸がぶれないダンスをめざし、トップに上り詰めたんだそうです。
てっきり、初めからスターだと思っていたんですが、コンプレックスの塊から這い上がったガッツの人だったんですね
それを感じさせない優雅さは、さすがです。
ダンスシーンの映像での魅せ方も根底から変え、アメリカに「優雅さ」「ソフィスケイテッド」を感じさせる作品を作った功労者ですね。
一方、顔にも体格にも自信のあったケリーは、「アメリカの明るさ・強さ」を見せつけるような元気の出る自由なダンスで、アステアデビューの10年後に彗星のごとく現れたスター。また、ダンスだけでなく、自身も監督に加わった「雨に唄えば」に代表されるような雨の中のダンスシーンなんて、これまで誰も考えない、本当に斬新なアイディア・才能の持ち主。
お互いが認めつつ、意識しながら、それぞれの道を究めていきました。
途中、1度共演(「ジーグフェルド・フォリーズ」)してますが、同じ振付でもやはりそれぞれの違いがあって面白かったです。
(アステアは全く軸がぶれないダンスで、ケリーは肩を揺らしながら元気な印象)
が、47歳のアステアは、体が悲鳴を上げ、引退を決意。(一度引退してたなんて知りませんでした)
で、その2年後、ケリーからアステアに自身の代役の依頼をします。
その映画が
「イースター・パレード」
実は、はぎおが初めてアステアの作品を見たのが、これ(実際初めて見たのは「タワーリング・インフェルノ」でしたけど
)
本当に楽しい映画でした
2年間ダンスから離れていたアステアは、一度躊躇しますが、ケリーの「一人のプロのダンサーとして、あなたが映画に戻るのを見たいんです」という言葉に、復帰を決意。
いや~ケリーさん、アステアさんを引っ張り出してくれてありがとう彼の復帰がなければ、この楽しい作品も生まれなかったかもしれない。
アステアのダンスも、以前のような正確さだけではなく、楽しく明るいダンス表現も加わって、熟練の味も出ていました
何か吹っ切れたような。
2人はその後も楽しい作品を作り続けます。
アステアは部屋の中、360度回転しながら踊るという斬新なシーンの「恋愛準決勝戦」を作りだし(これも見たなぁ)
ケリーは、クラシックやモダンダンスを駆使し、セリフが一切ない、「巴里のアメリカ人」という独創的な作品を生み出して、ミュージカル映画として初めてアカデミー賞を総なめ。
ここで、立教大学の生井教授のコメントが興味深かったです。
「ケリーはモダンダンスを試行した=アートを試行した。どこか「高級文化」の世界にたどり着こうとしていた。
アステアはもっと軽妙な、「芸能」の世界に止まろうとした。
ただ、ダンサーとして一般の目から見ると、アステアの方が優美で洗練されて、ケリーの方は体つきからしても「アメリカン」な感じで大衆的なものに見えた。
ダンサーとしての性質は逆なのに、残す印象は反対側にいる。
すごく面白い関係性の二人だ。」
なるほどね~
目指すものと、周囲からの見え方が違うって面白い。
でも、内心ケリーはジレンマがあったかもしれないなぁ。
後年、またまた二人は共演します。
「ザッツ・エンタテインメント Part2」
MGMの名作のいいトコを集めて映画にした、何とも贅沢な作品の続編。(ケリー監督作だそうで)
このナビゲーターとして、二人は登場します。
(これも見たなぁ~ホントに素敵だったなぁ)
最初は踊る予定がなかったそうですが、77歳のアステアが64歳のケリーに「あいつらが躍らないと、僕らはもう動けないと思われるぞ」と語り、二人で思いっきり踊っています
もちろん、若かりし頃の勢いはないですが、何と言いますか、トップを極めた二人の熟練のダンスは、本当にカッコよいです
踊り終えた後の二人の表情も素敵
このシーンを見るだけでもお得です。
お互いを高めあう「良きライバル」って良いですね
恐らく、有名なお話ばかりだと思いますが、はぎおにとっては知らないことだらけ。
でも、いいもの、観させていただきました。
録画しておいて、良かったよ~