降りしきる雨を窓から眺めて、裕二はため息をついた。
そのため息に合わせて優子もため息をつく。
くる日もくる日も変わらぬ毎日が続いていた。
二人とも部屋の外に出なくなってどれくらいの時が流れたんだろう?
二人は、触れ合うわけでもなく、一日中食卓を囲んでいた。
窓の外、庭には退屈な日常を映していたテレビの残骸や、壊れたトースターなどが雨に打たれていた。
降り続く雨に庭の土が削られ、茶色がかった白い物が . . . 本文を読む
早紀は最終電車に乗っていた。
仕事に疲れ、人間関係に疲れ…。
その日はけっこうお酒が入っていた。
電車の中は蒸し暑く、澱んだ空気を時々扇風機がかきまぜるだけだった。
彼女の他には誰もその車両には居なかった。隣の車両の蛍光灯が切れかかっているのか、たまに点滅を繰り返す。
彼女は、いわゆるスランプ状態であった。
他人より安い給料で多く働く…
気の弱い彼女は、多くの仕事を押し付けられていた。
もし自 . . . 本文を読む