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創作怪談 第二夜 ゴミ屋敷に降る雨

2006年07月20日 20時57分02秒 | ウェブノベル
降りしきる雨を窓から眺めて、裕二はため息をついた。
そのため息に合わせて優子もため息をつく。
くる日もくる日も変わらぬ毎日が続いていた。
二人とも部屋の外に出なくなってどれくらいの時が流れたんだろう?
二人は、触れ合うわけでもなく、一日中食卓を囲んでいた。
窓の外、庭には退屈な日常を映していたテレビの残骸や、壊れたトースターなどが雨に打たれていた。
降り続く雨に庭の土が削られ、茶色がかった白い物が露出しているのに裕二は気がついた。

「うらめしい…」

そういえば、かつていろいろな生活の場面がこの屋敷にはあった。
予測されていた幸せな未来。 家族。

ある日突然、裕二は全てが面倒になったのだ。 そして、全てを庭に捨てた…。

しょせん霊などは、生身の人間にはかなわない。
優子は裕二をうらめしそうに見つめ、そして長いため息をついた。
そして、また窓の外を見る。

裕二も長いため息をついた。 ゴミの壁に外界から切り離されたこの屋敷に、数々の肉体なき霊たちの声が響き、雨に消えてゆく…
裕二にとっては、それすら退屈に思えた。

二夜 終わり
(この話はフィクションです)

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