書評20220516 「山尾悠子 サマのこと」
#山尾悠子 #仮面物語〈或いは鏡の王国の記〉
1980年2月29日 第1刷 徳間書店
270頁 980円
0093-121915-5220
編集者 芦沢孝作 装幀 山岸義明
解説 荒巻義雄
著者来歴
昭和48年同志社大学文学部入学
SFマガジン第三回SFコンテストに応募「仮面舞踏会」20歳
同誌昭和50年11月号に掲載
大学卒業後、山陽放送テレビ制作美術部に就職しつつ同誌に短編発表
昭和53年 短編集「夢の棲む街」を早川文庫にて発表
昭和54年6月 山陽放送を退社 岡山県にて執筆活動に専念
「仮面物語」は作家専業後の初の長編書下ろしである
本作は初の長編でありながら 再版を本人が長らく辞退しており、現在ではかろうじて前半部を短編化した「ゴーレム」が国書刊行会の2001年刊の「山尾悠子作品集成」9680円を読むことができるのみである。
古書相場では垂涎の希少本として出品されれば数万円の価格がつくが即売されてしまうのが常態だそうだ。
その位置付けは1982年に同様に数百部のみ配本された唯一の歌集『角砂糖の日』と同様で、この2冊が山尾悠子史の伝説の幻想作家の確立に寄与していたことは
間違いないと思う(自分もその一下僕の一人である・・・)
この物語を読むためには上記のようにオークション争奪戦に参加するか、
地方の図書館の閉架書庫に眠る彼女を誘い出すしかなかった
がしかし 最近の山尾悠子史の活動再開、Twitterの投稿を追うと件の歌集に続き、漸く再版復刊のモードが史の中で高まりつつあるらしい。
なんという朗報!
きっとその際は、補筆、新エピソードの追加などいただけるでしょうし、出版社編集者の気合充分な新装幀に間違いなく成るはずだ、
その艶姿は今から楽しみでしょうがないのであります。