騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編512p
:第2部 遷ろうメタファー編544p
村上 春樹
柄にもなく途中経過実況などもしてしまいましたが、
ようやく読了。所用期間1部2部で6日間。
感想はと言えば夏休みの宿題を無事終えた、とか
読書感想文の課題図書をなんとか読み終えた、という
感じでしょうか?
泪と感動にうち震えることはありませんでしたが
付箋は何十枚と貼り感心したフレーズはその都度
読書ノートに書き写しました。
長い順番待ちで手元に巡って来た本でしたが
購入して本棚に加えたいと強く希求する気持ちは
起きませんでした。
ですが、これらのレビューのメモや書き写した断章の
数々は機会を得る度に読み返されて後々の自分の人生観に
影響を与えてくれる予感がします、
そんな距離感と温度は如何にもこの方の作品らしくもあり
またノーベル賞候補らしくもあると言えるでしょうか。
気になる伏線も回収されて拡げられた風呂敷も畳まれます。
その点に不満はありませんが、
ある作家は次々と絢爛な風呂敷を拡げ続け
部屋が一杯になると別の広い部屋に行って、
また新たな模様で風呂敷を拡げ続けるという暴挙を
何十年も続けて読者もすっかりそれに馴れてしまった為に
逆に村上さんの礼儀正しさ、とか優等生らしさに
若干物足りなさを感じたのも事実でした。
イデアに始まりメタファーにて終わる
ドンジョバンニよりは
イザナギの黄泉坂遍路的な物語。
絵画、音楽、車、食べ物、哲学、(そしてセックス)
村上的視点から村上的修辞にて語られるこれらのものは
同じものを扱っていても猥雑で三流的な自分の持ち物に
比べ随分となんというか高級で上級なものに聞こえてきて
彼の言葉を咀嚼して自分の廻りに纏えば自分が一段階
上のステージに上がったような気持ちよさが味わえます。
実はこの辺の感覚がノーベル賞のポイントメイクの
優秀なアイテムになっているのかもしれないです。
さて次のノーベル賞は果たして授賞できるんでしょうか?
実はその鍵は「あらない」の英語訳の出来不出来に
かかっている、そんな気がします。
あと、四十万人(35億じゃないですよ(笑)
もやっぱり重要かな?