9月27日(木)パーヴォ・ヤルヴィ指揮 NHK交響楽団
《2018年9月Bプロ》 サントリーホール
【曲目】
1.シューベルト/交響曲 第3番 ニ長調 D.200
2.R.シュトラウス/ホルン協奏曲 第2番 変ホ長調
【アンコール】
ブラームス/トランペットのための練習曲集~第3曲
Hrn:ラデク・バボラーク
3.ベートーヴェン/「プロメテウスの創造物」序曲
4. ハイドン/交響曲 第102番 変ロ長調 Hob.I‒102
N響新シーズンの幕開けを指揮するのはパーヴオ・ヤルヴィ。4つの作品は広範囲の時代に渡っているが、音楽の根底には共通のものが流れていて、全体が一つの大きな宝箱のような輝きを放つコンサートになった。
そんな宝箱を最初に開けてあっと言わせたのがシューベルトのシンフォニー。パーヴォ/N響は、活力に満ち、きりっと引き締まった瑞々しい演奏を繰り広げた。キビキビとしたメリハリ、要所での効果抜群のパンチ、そんな中にも木管のソロやチェロパートの歌などが、シューベルトらしさも聴かせてくれる。最終楽章は疾風のようなスピード感で駆け抜け、最後は丁寧に、しかし力強く締め括った。音がよく鳴り響き、古典的な美しさが結晶し、熱気とエネルギーみなぎる見事なシューベルト。3番のシンフォニーなんて滅多に演奏されないが、音楽の素晴らしさを再認識させてくれた。
続いてホルンの世界的名手、バボラークを迎えてのシュトラウスのコンチェルト。これは期待通り、ホルンの妙技を堪能した。音の大きさ、高さ、動きや速さにかかわらず、バボラークは自由自在に、常に豊かで滑らかな音色で歌い、自分の声のように身体と一体化している感じで、ホレボレと聴き入るばかり。第2楽章では、管楽器奏者たちとの室内楽のような親密なやり取りを聴かせ、第3楽章は、オケと戯れ遊ぶ様が目に浮かぶディヴェルティメントの世界。心の底から楽しめた。
演奏会後半がベートーヴェンの序曲で始まるというのも珍しい。これは短いながら、前半のシューベルトと同様にキビキビ、溌剌とした演奏で、次のハイドンへ爽やかにバトンを繋いだ。ハイドンは、シューベルト同様、いやそれ以上に溌剌とした弾ける演奏になるかと思ったのだが、生き生きと伸びやかである一方で、むしろシューベルトよりもシューベルトっぽい、しっとりした味わいが感じられる演奏だった。陰影に富み、上品な表情で笑いかけ、時おり謎をかけてきて、こちらの反応を窺うようなところもあった。ハイドンと云えば元気溌剌が売りというイメージがあるが、ハイドン後期のシンフォニーの奥深さ、デリカシーを教えられた。
ハイドンは知名度のわりに、交響曲に限らず演奏会で作品が取り上げられることは決して多くない。様々なジャンルで優れた、しかも面白くてエキサイティングな曲を沢山残しているのに、どうして日本では取り上げられることが少ないのだろうか。余りに選択肢が多くて決め手を絞り切れないというのが一つの理由かも知れないが、今夜のような演奏を聴ければ、ハイドンの素晴らしさをより多くの人が共有できるはず。N響には是非ハイドンを定期的に取り上げてもらいたい。そして願わくは、オラトリオやミサなど、合唱の入った作品をサントリーB定期でやってほしい。
♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「鯨法会」(MS:小泉詠子/Pf:田中梢)(YouTube)
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~(YouTube)
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1.シューベルト/交響曲 第3番 ニ長調 D.200
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ブラームス/トランペットのための練習曲集~第3曲
Hrn:ラデク・バボラーク
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4. ハイドン/交響曲 第102番 変ロ長調 Hob.I‒102
N響新シーズンの幕開けを指揮するのはパーヴオ・ヤルヴィ。4つの作品は広範囲の時代に渡っているが、音楽の根底には共通のものが流れていて、全体が一つの大きな宝箱のような輝きを放つコンサートになった。
そんな宝箱を最初に開けてあっと言わせたのがシューベルトのシンフォニー。パーヴォ/N響は、活力に満ち、きりっと引き締まった瑞々しい演奏を繰り広げた。キビキビとしたメリハリ、要所での効果抜群のパンチ、そんな中にも木管のソロやチェロパートの歌などが、シューベルトらしさも聴かせてくれる。最終楽章は疾風のようなスピード感で駆け抜け、最後は丁寧に、しかし力強く締め括った。音がよく鳴り響き、古典的な美しさが結晶し、熱気とエネルギーみなぎる見事なシューベルト。3番のシンフォニーなんて滅多に演奏されないが、音楽の素晴らしさを再認識させてくれた。
続いてホルンの世界的名手、バボラークを迎えてのシュトラウスのコンチェルト。これは期待通り、ホルンの妙技を堪能した。音の大きさ、高さ、動きや速さにかかわらず、バボラークは自由自在に、常に豊かで滑らかな音色で歌い、自分の声のように身体と一体化している感じで、ホレボレと聴き入るばかり。第2楽章では、管楽器奏者たちとの室内楽のような親密なやり取りを聴かせ、第3楽章は、オケと戯れ遊ぶ様が目に浮かぶディヴェルティメントの世界。心の底から楽しめた。
演奏会後半がベートーヴェンの序曲で始まるというのも珍しい。これは短いながら、前半のシューベルトと同様にキビキビ、溌剌とした演奏で、次のハイドンへ爽やかにバトンを繋いだ。ハイドンは、シューベルト同様、いやそれ以上に溌剌とした弾ける演奏になるかと思ったのだが、生き生きと伸びやかである一方で、むしろシューベルトよりもシューベルトっぽい、しっとりした味わいが感じられる演奏だった。陰影に富み、上品な表情で笑いかけ、時おり謎をかけてきて、こちらの反応を窺うようなところもあった。ハイドンと云えば元気溌剌が売りというイメージがあるが、ハイドン後期のシンフォニーの奥深さ、デリカシーを教えられた。
ハイドンは知名度のわりに、交響曲に限らず演奏会で作品が取り上げられることは決して多くない。様々なジャンルで優れた、しかも面白くてエキサイティングな曲を沢山残しているのに、どうして日本では取り上げられることが少ないのだろうか。余りに選択肢が多くて決め手を絞り切れないというのが一つの理由かも知れないが、今夜のような演奏を聴ければ、ハイドンの素晴らしさをより多くの人が共有できるはず。N響には是非ハイドンを定期的に取り上げてもらいたい。そして願わくは、オラトリオやミサなど、合唱の入った作品をサントリーB定期でやってほしい。
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