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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

イリーナ・メジューエワ ドビュッシー・リサイタル

2018年12月02日 | pocknのコンサート感想録2018
12月1日(土)イリーナ・メジューエワ(Pf)
[ドビュッシー没後100周年記念]
東京文化会館小ホール

【曲目】
第1部: 前奏曲集 第1巻
第2部: 映像 第1集、第2集、喜びの島
第3部: 前奏曲集 第2巻
【アンコール】
1.エチュード第11番(組み合わされたアルペッジョのために)
2.月の光


ロシア出身で活動拠点を日本に置いているという珍しさ、リリースされるCDの高い評価、お人形みたいにチャーミングな容姿、これらがあって、イリーナ・メジューエワのリサイタルのチラシを見る度に前から興味は引かれていた。ドビュッシーイヤーの今年、これといったドビュッシーを特集したコンサートがなかなかないなーと思っていたときに、オールド・ビュッシーで、しかもプレリュードの1、2巻を全曲含むリサイタルを知り、メジューエワを聴くには良いチャンスと出かけた。

東京文化会館の小ホールはほぼ超満員。メジューエワってこんな人気だったんだ。そして演奏も素晴らしかった。メジューエワは、アンコールも含めて全ての演奏曲目で譜面を置き、演奏する様子も生真面目な感じ。けれどそこから聴こえてくる音楽には固さもないし、真面目さゆえのつまらなさもない。譜面を置くことで、曲の細部に捕らわれるのとはむしろ逆に、常に音楽全体を俯瞰し、大きく捉えることができている。そして、曖昧さや迷いのない、明晰で澄んだ響きで音楽の細部まで描く。

表現は多彩で、「デルフィの舞姫たち」や「帆」、「音と香りは…」など複数の声部が重なり合う曲では、前景、中景、背景が層を成して重なり合って生まれる空気の濃淡や遠近感を、リアルに描き分ける。それに、大切な旋律はスポットライトが当たったように浮かび上がってくる。ドビュッシーの音楽のスケールの大きさと緻密さを、メジューエワは見事に描いてくれた。「パックの踊り」や「ミンストレル」、「ラヴィーヌ将軍」などで聴かせる、軸をずらしたお道化た表情も楽しい。

テクニックの点でも目を見張るものがあった。「西風の見たもの」や「花火」では、汗ひとつ感じさせずに鮮やかでダイナミックな音像で迫ってくるし、「交代する三度」では、なんの迷いもなく、淀みなく快活・流麗に流れて行く。「喜びの島」が超絶技巧を要する曲だということも忘れてしまう。メジューエワは、容姿から想像していたロマンチックさとはむしろ対照的な、ドビュッシーの硬派としての魅力を伝えてくれた。アンコールにエチュードを持ってきたのは、メジューエワのドビュッシーへの姿勢の表れだろう。最後の「月の光」は聴衆へのサービスかな。

こういう演奏が出来るピアニストは、シューマンやショパンはもとより、ベートーヴェンやバッハでも納得と感銘の演奏を聴かせてくれるに違いないと思った。

♪ブログ管理人の作曲♪
合唱曲「野ばら」(YouTube)
金子みすゞ作詞「さびしいとき」(YouTube)
金子みすゞ作詞「鯨法会」(YouTube)
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~(YouTube)

拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け

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