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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

矢野顕子 さとがえるコンサート2008

2008年12月14日 | pocknのコンサート感想録2008
12月14日(日)矢野顕子 さとがえるコンサート2008
『akiko』
 ~NHKホール~

マーク・リーボウ(g)/ジェイ・ベルロウズ(ds)/ジェニファー・コンドス(b)

曲目
しまった、Evacuation Plan、People Are Strange、Saginaw, Michigan(1930年代のカントリー)、The Wall、ばらの花、Prayer、Rose Garden、Whole Lotta Love、いい子だね、The Long Time Now、When I Die、ラーメンたべたい、ふなまち唄
アンコール
スワニー川(故郷の人々)、変わるし

矢野顕子はずっと前から好きなアーティストだけれどライブは今夜が初めて。毎年恒例でやっているという「さとがえるコンサート」を奥さんとNHKホールへ聴きにいった。

開演時刻を少々まわって矢野顕子がステージに登場。今までテレビでしか見たことなかった矢野顕子が本当にいる!歌ってる!しゃべってる!ピアノ弾いてる!!! そんなことでいちいち感動してしまうおれ。今年の10月に4年ぶりにリリースされたオリジナルアルバム『akiko』の収録曲を中心に次々と魅力のサウンドと歌を繰り広げて行く… 

最近よく聴いている『akiko』の曲がライブだとまた一味違う。アルバムには入っていないベースが聴こえるせいだけじゃあない。やっぱり超一流アーティストたちはその場の空気を感じ取り、新鮮で生きた音楽を生み出しているんだ。

部屋で聴いているとちょっとハード過ぎのツェッペリンのカバー曲「Whole Lotta Love」なんかもう魂が乗り移ったようなノリ、バンドのテンションが増幅してぐいぐいと引き込まれ放心状態!リーボウのギター、すごい! そのリーボウと矢野顕子のコラボでやった「Rose Garden」の絶妙なやり取り、すごく気持ち良さそう!「ふなまち唄」でのベルロウズのドラムはまさに和太鼓のセンスと乗り。バンドのメンバーが唱和した掛け声も完璧堂に入っているのもさすが。

そんな素晴らしいバンドとの演奏のほかに、独り矢野顕子がピアノに座って歌った「ばらの花」と「Prayer」… よかった~ 大きなホール、満員の客席の中で聴いているのに、部屋で独り聴いているよりももっと親密で緊密なものを感じた。まわりの空間も、他のお客の存在も感じないとてもプライベートな感覚。

いつか「ピアノは私の体の一部」と言っていたが、矢野顕子のピアノは本当に素晴らしい。歌が求める空気や匂いや色や光が、瞬時にしてピアノから立ちのぼり放たれる。あのキラリとしたタッチは生き物だ。指先をピクっと震わせただけで最高の音が鳴るような感じはまさしく体の一部。常に研ぎ澄まされた感覚で歌をフィーチャーし、歌とデュエットする。そんなデリケートで心をくすぐる歌もライブだとますます沁みてくる。

バンドの中のピアニスト矢野顕子もいい。伴奏にまわっても、ソロでリードしてもいつも「矢野顕子のピアノ」がある。しなやかな声と歌いまわしは繊細なシンガーソングライターの歌から豪快なジャズシンガーの顔まで持っている。

「3週間風邪が抜けない」と言いながら休憩なしで2時間近く歌い続け。アンコールを求める耳が痛くなるような手拍子に応えてさらに2曲。昨日聴いた長大な「ロザリオソナタ」の演奏時間の3分の2もの時間とは思えないほどあっという間に終演となってしまった矢野顕子のライブ。やっぱりライブはいいんだなぁ… また来よう!

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