10月23日(土)仲道郁代(Pf)
Road to 2027 幻想曲の模様 ―心のかけらの万華鏡―
東京文化会館小ホール
【曲目】
1.ブラームス/2つのラプソディ Op.79より 第1番ロ短調
2.シューマン/クライスレリアーナ Op.16
♪ ♪ ♪ 3.ショパン/幻想曲 ヘ短調 Op.49
4.スクリャービン/12のエチュード Op.8より 第1番嬰ハ長調、第12番嬰ニ長調
5.スクリャービン:幻想曲ロ短調 Op.28
【アンコール】
1.ショパン/ノクターン第13番 ハ短調 Op.48-1
2.ショパン/ノクターン第14番 嬰ヘ短調 Op.48-2
ベートーヴェン没後200年と自身の演奏活動40周年が重なる2027年に向けた10年間におよぶ仲道郁代の壮大なコンサートシリーズ”road to 2027”の一連のリサイタルを5月に続いて聴いた。会場は超満員。
今日のテーマは前回に続いて「幻想曲」。ただ、幻想曲と名の付く作品を集めたわけではなく、プログラムの中心に据えられたのはシューマンのクライスレリアーナ。シューマンのファンタジー溢れる作品であることは確かで、プログラミングのコンセプトは明確だ。演奏の前に仲道さんから4人の作曲家の人生の中に織り込まれたそれぞれの「幻想」に焦点を当てているという話があった。
今日演奏するピアノはベーゼンドルファーの最新モデル280 VCという楽器であるという紹介もあり、最初にブラームスが演奏された。このピアノはとても特徴のある音色を持っていることが冒頭から伝わってきた。奥行きがあって重心が低く、艶が抑えられ、どこか哀しみを秘めているようにも聴こえる。でもこれは楽器の特徴を引き出した仲道さんの演奏がもたらしたものでもあるだろう。ブラームスのラプソディーはもともと深刻さを秘めた音楽だが、果敢な攻めよりも内面に入り込んでいくように聴こえた。
内面に入り込むという点ではクライスレリアーナも同じ。シューマンの溢れ出るファンタジーが外へ放出されるのではなく、内面へと向かう。そこには様々な葛藤、迷い、ためらいなどが複雑に渦巻き、感情の陰影と綾を織り成していく。そして、その奥深いところが外から射し込んだ光に照らされて柔らかく輝く瞬間があり、それが一際美しく感じられた。
後半では技巧的な華やかさが光る作品が取り上げられたが、仲道さんの演奏からは音楽の外見の奥にある深刻なリアリティが伝わってきた。ショパンとスクリャービンの作品を続けて聴くことで、スクリャービンの音楽が、ショパンの影響を色濃く受けたエチュードだけでなく、独自の世界に踏み込んだ幻想曲でも、内面でショパンの哀感や葛藤と共通する世界があることに気づかされた。
後半のプログラムは前半に比べてボリューム的に控え目だが、その後アンコールで演奏されたショパンのノクターン作品48の2曲は、お互いに対照的な印象を与えながら、やはり内面では様々な感情が複雑に折り重なるという共通点があり、ここまでが後半のプログラムと云ってもいい。リサイタルのコンセプトがアンコールまで一貫して引き継がれていた。そしてこれが来年の5月のリサイタルへと引き継がれる。次への期待が益々高まった。
仲道郁代ピアノリサイタル 幻想曲の系譜 ―心が求めてやまぬもの ~ 2021.5.30 サントリーホール
仲道郁代 ロマンティックなピアノ ~ 2021.3.5 紀尾井ホール
仲道郁代 フォルテピアノ&ピアノ~ミーツ・ベートーヴェンシリーズ~ 2020.1.10 東京芸術劇場
仲道郁代 ピアノリサイタル~第29回 交詢社「音楽と食事の夕べ」 2019.12.21
仲道郁代 ショパンへの道 2019.1.26 ハクジュホール
#文化芸術は生きるために必要だ
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2.シューマン/クライスレリアーナ Op.16
4.スクリャービン/12のエチュード Op.8より 第1番嬰ハ長調、第12番嬰ニ長調
5.スクリャービン:幻想曲ロ短調 Op.28
【アンコール】
1.ショパン/ノクターン第13番 ハ短調 Op.48-1
2.ショパン/ノクターン第14番 嬰ヘ短調 Op.48-2
ベートーヴェン没後200年と自身の演奏活動40周年が重なる2027年に向けた10年間におよぶ仲道郁代の壮大なコンサートシリーズ”road to 2027”の一連のリサイタルを5月に続いて聴いた。会場は超満員。
今日のテーマは前回に続いて「幻想曲」。ただ、幻想曲と名の付く作品を集めたわけではなく、プログラムの中心に据えられたのはシューマンのクライスレリアーナ。シューマンのファンタジー溢れる作品であることは確かで、プログラミングのコンセプトは明確だ。演奏の前に仲道さんから4人の作曲家の人生の中に織り込まれたそれぞれの「幻想」に焦点を当てているという話があった。
今日演奏するピアノはベーゼンドルファーの最新モデル280 VCという楽器であるという紹介もあり、最初にブラームスが演奏された。このピアノはとても特徴のある音色を持っていることが冒頭から伝わってきた。奥行きがあって重心が低く、艶が抑えられ、どこか哀しみを秘めているようにも聴こえる。でもこれは楽器の特徴を引き出した仲道さんの演奏がもたらしたものでもあるだろう。ブラームスのラプソディーはもともと深刻さを秘めた音楽だが、果敢な攻めよりも内面に入り込んでいくように聴こえた。
内面に入り込むという点ではクライスレリアーナも同じ。シューマンの溢れ出るファンタジーが外へ放出されるのではなく、内面へと向かう。そこには様々な葛藤、迷い、ためらいなどが複雑に渦巻き、感情の陰影と綾を織り成していく。そして、その奥深いところが外から射し込んだ光に照らされて柔らかく輝く瞬間があり、それが一際美しく感じられた。
後半では技巧的な華やかさが光る作品が取り上げられたが、仲道さんの演奏からは音楽の外見の奥にある深刻なリアリティが伝わってきた。ショパンとスクリャービンの作品を続けて聴くことで、スクリャービンの音楽が、ショパンの影響を色濃く受けたエチュードだけでなく、独自の世界に踏み込んだ幻想曲でも、内面でショパンの哀感や葛藤と共通する世界があることに気づかされた。
後半のプログラムは前半に比べてボリューム的に控え目だが、その後アンコールで演奏されたショパンのノクターン作品48の2曲は、お互いに対照的な印象を与えながら、やはり内面では様々な感情が複雑に折り重なるという共通点があり、ここまでが後半のプログラムと云ってもいい。リサイタルのコンセプトがアンコールまで一貫して引き継がれていた。そしてこれが来年の5月のリサイタルへと引き継がれる。次への期待が益々高まった。
仲道郁代ピアノリサイタル 幻想曲の系譜 ―心が求めてやまぬもの ~ 2021.5.30 サントリーホール
仲道郁代 ロマンティックなピアノ ~ 2021.3.5 紀尾井ホール
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