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N響 2019年12月B定期(パブロ・エラス・カサド 指揮)

2019年12月14日 | pocknのコンサート感想録2019
12月12日(木)パブロ・エラス・カサド 指揮 NHK交響楽団
《2019年12月Bプロ》 サントリーホール


【曲目】
1.リムスキー・コルサコフ/スペイン奇想曲 Op.34
2.リスト/ピアノ協奏曲第1番変ホ長調
 【アンコール】
 ♪ショパン/エチュード 変ホ短調 Op.10-6
 ♪ショパン/エチュード ハ短調 Op.10-12「革命」
 Pf:ダニエル・ハリトーノフ
3.チャイコフスキー/交響曲第1番ト短調 Op.13「冬の日の幻想」

N響の12月B定期を振るエラス・カサドは全く未知の指揮者。最初のリムスキー・コルサコフでは、第一声から抜けるようなスッキリと明るい響きがホールに鳴り渡った。リズムをくっきりと刻み、攻めの姿勢を貫いて進んでいく。今夜の演奏はどの曲でもこの響きとノリが中心。スペイン奇想曲では様々なプレイヤーのソロがあちこちで活躍する。これがどれも上手くて、コンチェルトグロッソとかディヴェルティメント的な楽しさを伝えてくれた。

次のリストのピアノ協奏曲でソロを務めるハリトーノフも未知のピアニスト。まあN響はこうしたまだ知名度が高くない若い西洋のプレイヤーを起用することは多いが。これはオケもピアノも押せ押せイケイケの豪演。迷うことなくひたすら猛進するエネルギーには圧倒される。乱れがなく響きも常にクリアなオケと、パワフルで輝かしいピアニズムをほしいままにバリバリと弾くハリトーノフのピアノは相性も良く、エキサイティングなやり取りを繰り広げた。イケイケだけではなく、たっぷりと歌い聴かせるシーンの存在感もなかなかのもの。申し分ない演奏と云えるのだが、なんだろう・・・「それでどうしたの?」という気持ちになってしまった。音楽が心の中の方まで届いてこない。こんなにぴったり揃って上手くなくてもいいのでは、というか・・・

ハリトーノフは確かに実力派ピアニストなんだろう。しかもオケ団員を待たせたままアンコールを2曲も弾いてしまうなんて、同年代の日本人ではありえないだろう。与えられた演奏のチャンスを利用し尽くす根性は見倣うべきかも知れないが、2曲とも特に心には響かなかった。

後半のチャイコもこのイケイケ押せ押せのノリで始まった。ゆっくりの第2楽章もどこかアグレッシブで何だか落ち着かない気持ちだったのが、ロシア民謡風のオーボエソロ(坪池さん?)の哀愁を帯びた旋律が始まると、にわかに演奏が柔らかな表情になったように感じた。それに呼応するように折り重なるフルートや弦のメロディーも熱く歌いかけ、徐々に音楽の中の方まで熱いものがじわじわと浸みて行くのが感じられた。第3楽章もそんな気分を引き継いで哀愁と温もりを感じさせた。4楽章ではまた元気いっぱいに突き進んだが(音楽そのものがそうだし)、チャイコフスキーは勢いも欠かせない一方で、こうした悲哀と温もりのある「歌」があるといい。
♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「積もった雪」
MS:小泉詠子/Pf:田中梢
金子みすゞ作詞「私と小鳥と鈴と」
S:薗田真木子/Pf:梅田朋子
「子守歌」~チェロとピアノのための~
Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
合唱曲「野ばら」
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美

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