facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

上原ひろみ JAPAN TOUR 2019 "SPECTRUM"

2019年12月17日 | pocknのコンサート感想録2019
12月14日(土)上原ひろみ(ピアノ)

セットリスト
Kaleidoscope
Yellow Wurlitzer Bluse
Whiteout
MR.C.C.
Blackbird
Spectrum
♪ ♪ ♪
Once in a Blue Moon
Firefly
Rhapsody in Various Shades of Blue
(アンコール)
Sepia Effect



上原ひろみのライブはチケットが全然取れない!抽選はことごとく外れるし、一般発売も開始時刻と同時にパソコンのカーソルがグルグル回り、繋がったときには完売。1分で売り切れるらしい。ファンクラブもないみたいだし、これじゃあチケット取るなんて夢のまた夢じゃないかー。今夜のトリフォニーのチケットもすぐ完売だったが、ある日「追加席発売」のメールが届いた。発売はメールが来た翌日の午後6時。こんな直前なら気づかない人も多いかも、と終業後に職場のパソコンを拝借して挑戦したらチケット取れたー!一人で「やったー」と小さく叫んでしまった。

ワクワクして出かけたトリフォニーライブは、夢のように素敵でエキサイティングで熱い時間だった。9月にリリースされ、まだ聴いていないニューアルバムが中心。ヒロミは最初からアクセル全開!最初の曲では、360度の大スクリーンに世界の街や自然や人々の顔がどんどん映し出される只中に居る気分で、その名もまさしく「カレイドスコープ」だと後で知った。

次の「イエロー・ワーリッツァー・ブルース」はノリノリのトリオを聴いているよう。ピアノの弦を指で押さえて響きを殺すと、まるでアコースティックベースのように聴こえる。いくつものパートの色んな音色やテンションの違いをヒロミは一台のピアノで事も無げに描いてしまう。「ホワイトアウト」では熟成された大人の味わいをじっくり心の奥底に語りかけてきた。

この3曲を聴いただけでヒロミの驚くべき多彩な技と魅力を堪能。ヒロミのパレットにはありとあらゆる色の絵の具があり、それらを鮮やかな感覚で瞬時に選び、超極細の面相筆から書家が抱えて大紙に書きつけるような巨大な筆までを使い分け、驚異的なテクニックで世にもまれな魅力溢れるアートを描いて行く。

続く曲でも、古き良き時代のジャズを彷彿とさせるビートに心を躍らされたり、単音の連続トレモロで別次元の世界へ連れていかれたり、ジャズの縛りを超えたようなコンテンポラリーミュージックが炸裂したりと、驚きと感動と興奮が続いた。

2年ぶりにライブを聴いて、ヒロミのピアノの表現が益々多彩で雄弁に、深くなったと感じた。それは選曲にも表れていて、曲芸的な超絶技巧で暴れまくる曲と並んで、そうでない曲も多かった。上原ひろみは腕は達者だけれど味がないみたいにいう人もいる。けれど、今夜のライブを聴けばそんな連中も彼女のスゴさを思い知るに違いない。年を追うごとに確実に成長を遂げ、進化し、深化するアーティストだ。

ヒロミのトレードマークとも云える超絶技巧もトーンダウンすることなく健在そのもの。つくづくスゴいと思うのは、どんなに超人的に暴れまくっても、タッチが乱暴になったりいい加減になったりせず、正確無比で全ての音に色彩とパッションが具わっていること。その上であらゆる縛りから自由で、テンションを極限まで高めて羽ばたく。こんな場に居合わせて平静でいるなんてムリだ。

そんな今のヒロミの魅力の集大成が、最後の「ラプソディ・イン・ヴァリアス・シェイズ・オブ・ブルー」だった。ガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」にコルトレーンとザ・フーの楽曲を織り込んだという演奏時間20分を超える大曲を、ヒロミは全ての感覚を研ぎ澄まし、テンション全開で聴衆を興奮の渦へと引きずり込んだ。すごい精神力と体力と云うしかないが、当の本人は楽しくて仕方ないという感じで、硬軟織り交ぜてガンガン攻めまくった。このミュージシャンを置いて「天才」と呼べるアーティストがいるだろうか!?

客席は一斉にスタンディングオベーション。しっとり系のアンコールで2時間半のライブが終わった。通常より長いライブだったが、ずっと短く感じた。もっともっと聴いていたかった。ああ、次は一体いつ聴ける(チケット取れる)んだろうか…

矢野顕子×上原ひろみ「TOUR 2017 ラーメンな女たち」(2017.4.25 昭和女子大学人見記念講堂)
上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト 「SPARK」ジャパンツアー 2016(2016.11.16 EX THEATER ROPPONGI)
♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「積もった雪」
MS:小泉詠子/Pf:田中梢
金子みすゞ作詞「私と小鳥と鈴と」
S:薗田真木子/Pf:梅田朋子
「子守歌」~チェロとピアノのための~
Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
合唱曲「野ばら」
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美

拡散希望記事!やめよう!エスカレーターの片側空け

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 小林亜矢乃 ピアノリサイタル | トップ | 獨協大学混声合唱団 第35回定... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2019」カテゴリの最新記事