12月26日(木)松岡 究 指揮 早稲田大学フィルハーモニー管絃楽団
~第81回定期演奏会~
文京シビックホール 大ホール
【曲目】
1.サン=サーンス/交響詩「死の舞踏」Op.40
2.チャイコフスキー/組曲「くるみ割り人形」Op.71a
3.ラフマニノフ/交響曲第2番 ホ短調Op.27
1年ぶりに早稲フィルの定期演奏会を聴いた。開場時刻前から入口の下の階まで長蛇の列が続く大盛況。ステージはポインセチアや紅いバラで飾られてクリスマスらしい雰囲気を出していた。
早稲フィルは相変わらず上手い。サン=サーンスの「死の舞踏」、しっかりした音と舞踏のリズムが決まっているからこそ、ヴァイオリンソロの調弦をずらしたオドロオドロしい演奏が浮き上がる。コンマスの西山大輔さんは悪魔の踊りを骨太で荒々しい演奏で聴かせた。
次は超有名な「くるみ割り人形」。ここでは早稲フィルはより軽やかに動き、風通しの良い室内楽的な響きを聴かせた。随所で活躍する管楽器のソロも健闘。どの曲もよかったがやっぱり「花のワルツ」ではテンションが高まった。
ここまではまずまずといったところだったが、メインのラフマニノフは団員が増強された以上に熱量がアップし、松岡/早稲フィルの底力が炸裂した。このシンフォニーは複雑に動き回るパートが重なり合い、絡み合いながら巨大な塊となって進んでいくイメージがある。へたすると何をやっているのかわからなくなってしまいそうだが、早稲フィルの演奏からは聴こえるべき音が聴こえ、それをサポートするパートと共に一丸となって聴き手に迫って来た。ラフマニノフの粘着気質とも云える熱くて深い思いが、ある時はじわりじわりと執拗に、またある時は夢想するような憧れを湛え、ときにそれらが一気に激流となって押し寄せてくる。今夜の演奏ではこの壮大なバラードに身も心も引き込まれてしまった。
作品全体には「歌」が溢れている。第3楽章のアダージョはもちろん(冒頭のヴィオラの短いイントロから魅了された)、他の楽章でも夢みる歌が随所に現れる。歌の多くは弦パートが主導するが、早稲フィルの弦はアマオケとは思えない豊かで深い響きと表情でこれを心の底から歌い上げた。コンマスの西山さんの身体全体で音楽をオケに伝える颯爽とした姿もカッコよく、弦のメンバーはこれに倣うように身体を使い、弓をいっぱいに使って歌を伝えていた。最弱音で消えて行くシーンで最後まで安定した緊張感のある音が持続するのも素晴らしい。この弦に管が加わり、ブレンドされて生まれるサウンドは極上ものだし、そこから浮かび上がる管のソロも良かった。
この作品のもう一つの魅力、トゥッティで勇ましく攻めたてる場面でも松岡/早稲フィルは全力で挑み、熱い結束力で聴き手を圧倒し、音楽のスケールの大きさを見せつけた。最終盤では感動とともに鳥肌が立った。団員一人一人の努力が一回きりの演奏として見事に花開いた瞬間だ。そして、このオケを緻密にまとめ上げ、団員の熱い思いを大きく燃え上がらせた指揮の松岡氏は、職人と芸術家両方の才を具えた早稲フィルにとってなくてはならない存在だと感じた。
今夜の演奏会で今年のコンサートは終了。一年を締めくくるのに相応しい素晴らしい演奏会だった。
早稲田大学フィルハーモニー管絃楽団第79回定期演奏会 2018.12.25 なかのZERO 大ホール
♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「積もった雪」
MS:小泉詠子/Pf:田中梢
金子みすゞ作詞「私と小鳥と鈴と」
S:薗田真木子/Pf:梅田朋子
「子守歌」~チェロとピアノのための~
Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
合唱曲「野ばら」
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
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~第81回定期演奏会~
文京シビックホール 大ホール
【曲目】
1.サン=サーンス/交響詩「死の舞踏」Op.40
2.チャイコフスキー/組曲「くるみ割り人形」Op.71a
3.ラフマニノフ/交響曲第2番 ホ短調Op.27
1年ぶりに早稲フィルの定期演奏会を聴いた。開場時刻前から入口の下の階まで長蛇の列が続く大盛況。ステージはポインセチアや紅いバラで飾られてクリスマスらしい雰囲気を出していた。
早稲フィルは相変わらず上手い。サン=サーンスの「死の舞踏」、しっかりした音と舞踏のリズムが決まっているからこそ、ヴァイオリンソロの調弦をずらしたオドロオドロしい演奏が浮き上がる。コンマスの西山大輔さんは悪魔の踊りを骨太で荒々しい演奏で聴かせた。
次は超有名な「くるみ割り人形」。ここでは早稲フィルはより軽やかに動き、風通しの良い室内楽的な響きを聴かせた。随所で活躍する管楽器のソロも健闘。どの曲もよかったがやっぱり「花のワルツ」ではテンションが高まった。
ここまではまずまずといったところだったが、メインのラフマニノフは団員が増強された以上に熱量がアップし、松岡/早稲フィルの底力が炸裂した。このシンフォニーは複雑に動き回るパートが重なり合い、絡み合いながら巨大な塊となって進んでいくイメージがある。へたすると何をやっているのかわからなくなってしまいそうだが、早稲フィルの演奏からは聴こえるべき音が聴こえ、それをサポートするパートと共に一丸となって聴き手に迫って来た。ラフマニノフの粘着気質とも云える熱くて深い思いが、ある時はじわりじわりと執拗に、またある時は夢想するような憧れを湛え、ときにそれらが一気に激流となって押し寄せてくる。今夜の演奏ではこの壮大なバラードに身も心も引き込まれてしまった。
作品全体には「歌」が溢れている。第3楽章のアダージョはもちろん(冒頭のヴィオラの短いイントロから魅了された)、他の楽章でも夢みる歌が随所に現れる。歌の多くは弦パートが主導するが、早稲フィルの弦はアマオケとは思えない豊かで深い響きと表情でこれを心の底から歌い上げた。コンマスの西山さんの身体全体で音楽をオケに伝える颯爽とした姿もカッコよく、弦のメンバーはこれに倣うように身体を使い、弓をいっぱいに使って歌を伝えていた。最弱音で消えて行くシーンで最後まで安定した緊張感のある音が持続するのも素晴らしい。この弦に管が加わり、ブレンドされて生まれるサウンドは極上ものだし、そこから浮かび上がる管のソロも良かった。
この作品のもう一つの魅力、トゥッティで勇ましく攻めたてる場面でも松岡/早稲フィルは全力で挑み、熱い結束力で聴き手を圧倒し、音楽のスケールの大きさを見せつけた。最終盤では感動とともに鳥肌が立った。団員一人一人の努力が一回きりの演奏として見事に花開いた瞬間だ。そして、このオケを緻密にまとめ上げ、団員の熱い思いを大きく燃え上がらせた指揮の松岡氏は、職人と芸術家両方の才を具えた早稲フィルにとってなくてはならない存在だと感じた。
今夜の演奏会で今年のコンサートは終了。一年を締めくくるのに相応しい素晴らしい演奏会だった。
早稲田大学フィルハーモニー管絃楽団第79回定期演奏会 2018.12.25 なかのZERO 大ホール
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金子みすゞ作詞「積もった雪」
MS:小泉詠子/Pf:田中梢
金子みすゞ作詞「私と小鳥と鈴と」
S:薗田真木子/Pf:梅田朋子
「子守歌」~チェロとピアノのための~
Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
合唱曲「野ばら」
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」
金子みすゞ作詞「鯨法会」
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美
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