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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

N響 2019年4月B定期(下野竜也 指揮)

2019年04月27日 | pocknのコンサート感想録2019
4月25日(木)下野竜也 指揮 NHK交響楽団
《2019年4月Bプロ》 サントリーホール


【曲目】
1. ショスタコーヴィチ/ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 Op.77
 Vn:ワディム・グルズマン
2. ヴァインベルク/交響曲第12番 Op.114「ショスタコーヴィチの思い出に」

20世紀の作品を2つ並べた今夜の定期の指揮を取ったのは日本のホープ、下野竜也。前半はショスタコの名作ヴァイオリン協奏曲。ソロのグルズマンは、揺るぎない安定感で雄大なヴァイオリンを奏でた。常に重心が座っていて、緩やかなところは遥か彼方へと広がる大地を思わせる泰然自若ぶりを聴かせ、エキサイティングな場面では太い根が張り、ぶれる素振りもない自信満々な熱弁で聴き手を圧倒する。

前半は余裕ありすぎのせいか、いまひとつ面白くなかったが、第4楽章に入る前の長大なカデンツァでは瞑想的な異次元の世界に連れて行かれた。張りつめた音のなかにも香りや潤いがあり、何とも美しい。こんな少ない音でこれほど雄弁に音楽を語り、歌う技とハートに脱帽。第4楽章では、クリアで充実の響きを聴かせ、気合い十分のオケとの、手に汗握る競演を楽しんだ。

後半はヴァインベルクのシンフォニー。作曲家の名前はよく目にするがこの曲は知らない。未知の音楽を前に、期待半分と、1時間にもおよぶ演奏予定時間に、つまらなかったらどうしようという不安半分。そしてその結果は・・・これはどうなんだろう・・・というのが正直な感想。

音楽は様々な要素が現れ多彩ではあるが、ほぼ全曲を通してキッチリとしたリズムが続き、それに縛られて踊らされているような窮屈さを感じた。これは、下野のしなやかで明確ではあるが、律儀に大きく拍子を刻む指揮ぶりも関係しているのかも知れない。途中美しいと感じる響きや歌もあったが、ショスタコーヴィチの二番煎じのようにも感じてしまう。最後に現れたマリンバが奏でた分割三和音は、笑う場面ではないのに笑いそうになってしまった。

繰り返し聴けば良さも発見するかもしれないが、これぞ会員でほぼ席が埋まっているBプロでしか出来ない曲で、会員としてはとんだとばっちりを喰った気分だ。マイナーな曲でも、先週テレビでやったハンス・ロットのシンフォニーみたいな曲をやってくれれば面白いのだが・・

それでも終演後はいくつもブラボーがかかり、団員を労う下野氏と、それに応えるN響団員の間には和やかな空気が感じられた。

♪ブログ管理人の作曲♪
金子みすゞ作詞「私と小鳥と鈴と」
S:薗田真木子/Pf:梅田朋子
合唱曲「野ばら」(YouTube)
中村雅夫指揮 ベーレンコール
金子みすゞ作詞「さびしいとき」(YouTube)
金子みすゞ作詞「鯨法会」(YouTube)
以上2曲 MS:小泉詠子/Pf:田中梢
「森の詩」~ヴォカリーズ、チェロ、ピアノのためのトリオ~(YouTube)
MS:小泉詠子/Vc:山口徳花/Pf:奥村志緒美

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