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高関健 指揮 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

2022年09月06日 | pocknのコンサート感想録2022
9月2日(金)高関健 指揮 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
第354回定期演奏会
東京オペラシティコンサートホールタケミツメモリアル


【曲目】
1.エルガー/ヴァイオリン協奏曲ロ短調 Op.61
【アンコール】
 ♪ エルガー/愛の挨拶
Vn:竹澤恭子
2.シベリウス/交響曲第4番イ短調 Op.63


僕がフォローしているブログで、高関健指揮の東京シティ・フィルをいたく褒めているのを何度も読んで、これまで一度も聴いた記憶がないシティフィルを聴いてみたくなった。高関健が力のある指揮者であることは以前から認識していたし、高関氏のツイッターから作品に対する真摯な姿勢が窺え、聴くなら渋めのプログラムがいいと思ってこの演奏会を選んだ。開演前、高関氏によるプレトーク。これから聴く曲だけでなく、ソリストを務める竹澤さんへの期待も高まるトークだった。

前半はエルガーの大曲、ヴァイオリン協奏曲。オケの前奏で早速シティフィルの実力が伝わった。よく練られて柔軟な表情に富み、オケとしての成熟度の高さを感じさせる響きで、これから始まる長いドラマへの期待を高めた。

そして竹澤恭子のヴァイオリンが前奏で高まった期待を感動へと導いた。竹澤のヴァイオリンの音には骨があり、頼もしい。そして熱いハートがこもっている。自信に満ち、進むべき道を朗々と歌いながら進んで行く。雄弁で厚みのある大編成のオケとも堂々と渡り合い、バトルを展開し、何かに取りつかれたような熱気と切迫感で聴き手を圧倒した。竹澤は近年益々力を蓄え、存在感を増している。竹澤と高関/シティフィルの渾身の名演と云える。ただ、この曲にあまり馴染みのない僕にとってはいささか長過ぎると感じた。そんな大曲の後、アンコールをオケ付きで演奏してくれるサービス精神が嬉しかった。

後半はシベリウスのシンフォニーのなかでも渋さが際立つ第4番。冒頭、低弦の地響きするような轟きが、熱くて雄弁なチェロの独奏に繋がる場面から、全体が張りつめた空気に支配され、緊迫感を湛えて意味深なフレーズを織りなして行った。エルガーではロマンチックな情感をたっぷりと聴かせた高関/シティフィルが、こちらでは更に純度を上げて研ぎ澄まされた音を聴かせる。静謐で張りつめた空気のなか、内には熱い情感が秘められ、何が起こるのだろうとドキドキ。高関は、無駄を排したストイックな姿勢で、緻密で丁寧に、何をどう聴かせたいかを明瞭に伝えることで、各パートの輪郭がくっきりと浮かび上がり、パート同士が息づいて有機的に対話し、音楽が生きてくる。

シティフィルの実力にも感服。チェロパートの奥行きのあるたっぷりした歌、ヴァイオリンパートが湛える色香など、弦楽器はきめ細かくデリケート。管の各ソロ楽器の豊かな表情と受け渡しもいい。ティンパニも堅実に役割を果たしていた。終始緊張の糸が切れることなく、情感を湛え、柔軟で内にパワーを秘め、シベリウスのスピリッツがひしひしと伝わってくる見事な演奏だった。

東京シティ・フィルは想像以上に素晴らしいオケだった。そして高関健との蜜月の関係で更に輝いて行くことだろう。今夜の演奏会を機に、積極的に聴いていきたいと思った。

竹澤恭子 & 江口 玲 デュオ 2022.1.31 東京文化会館(小)
「夜鳴きうぐいす」&「イオランタ」高関健 指揮 東フィル 2021.4.8 新国立劇場
竹澤恭子 & 江口 玲:ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ 2020.10.24 第一生命ホール
武満徹の音楽(高関健 指揮 東フィル) 2011.11.23 文京シビックホール
藝大オペラ「ドン・ジョヴァンニ」(高関健 指揮)2012.9.30 奏楽堂
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