6月1日(金)ヴィオラスペース2018 ガラコンサートⅡ
「わたしのお気に入り」
上野学園 石橋メモリアルホール
1.メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調 Op.64~第2楽章
Vla:今井信子/Pf:フランソワ・キリアン
2. ヒンデミット/無伴奏ヴィオラソナタ Op.25-1
Vla:ハリオルフ・シュリヒティヒ
3. ロータ:間奏曲
Vla:ファイト・ヘルテンシュタイン/Pf:野平一郎
4. ヴュータン:カプリッチョ
Vla:佐々木 亮
5. ブラームス:弦楽五重奏曲 第2番 ト長調より 第2楽章
Vn:パメラ・フランク、小栗まち絵/Vla:今井信子、原ハーゼルシュタイナー 麻理子/Vc:金子遙亮
6. モーツァルト:協奏交響曲 変ホ長調 K.364(320d)
Vn:パメラ・フランク/Vla:アントワン・タメスティ/桐朋学園オーケストラ
深くて渋い存在感で魅了するヴィオラに光を当てた毎年のイベント、ヴィオラスペースのガラコンサートを、去年に続いて聴いた。
入口で配られた紙で、中国から参加する予定だったヴィオリストが4人とも来日できなくなったことを知ったが、理由が書かれていなかったので訊ねようと思っていたら、ステージで挨拶したタメスティ氏から、中国政府による渡航禁止措置であると知らされた。芸術活動が国家権力により阻止される場に居合わせ、昨今の習体制の強権ぶりに更なる不信と危惧の念を抱いた。コンサート自体は、来られなかったヴィオリスト達の思いを受け取ったかのように、濃厚で白熱した内容だった。
前半の白眉は、シュリヒティヒが演奏したヒンデミットの無伴奏ソナタ。骨太で揺るぎない安定感から奏でられるヴィオラによる熱い「声」が内へ内へと集中し、一瞬の緩みもない、切迫したドラマで聴き手の心を揺さぶった。
これに対して、ヘルテンシュタインと野平のデュオによるロータの間奏曲は、歌が外へと解放され、情熱と香りがムンムンと漂ってきた。自由な遊び心で交わされる2人のやり取りが楽し気だった。ヴュータンのカプリッチョを演奏した佐々木の、柔らかなタッチと色彩豊かな音色の語りかけも心をくすぐった。今井の演奏したメンデルスゾーンは、やっぱりヴァイオリンで聴きたいと思った。
プログラム後半の2曲はどちらも充実の極み。ブラームスのクィンテットは清澄で静謐。ハーモニーの純度も高く、奇しくも国家権力で芸術にチャチャを入れられた今夜の演奏会を浄化しようという思い、祈りが感じられるようだった。
ステージに花が咲いたような見た目もカラフルな桐朋オケが加わったモーツァルトのシンフォニア・コンチェルタンテは、演奏の方も百花繚乱の趣き。ヴィオラのタメスティは指揮者の役割も担い、全身を使ってオケに音楽を伝え、オケはこれを見事にキャッチして、生き生きとした瑞々しい演奏で2人のソロを盛り立てた。パメラとアントワンのソロは、音の端々まで命が行き渡り、役者としての存在感が抜群で、お互いの対話を楽しみつつ自分をアピールしていた。
ソロとオケ全体がピチピチした若さと喜びに溢れ、音楽ってこんなに楽しくて魅力いっぱいなんだよ、と伝えてきた。このノリで第2楽章をやっては感情過多になるのでは?とも思ったが、ここではしっとりと深く、大人の味わいを聴かせた。悦びに弾けたこの演奏が、来られなかった4人のアーティストのところまで届けばいいのにな。
このコンサートでは、例によってロビーには会社のお偉いさんみたいのが整列して、接待の場のようなシーンも見受けられた。今回から有料になってしまったプログラムが入った「お土産袋」を持たされた人達がたくさん客席にいて、やっかみめいた感情も湧いてくる。一部の人達を優遇するより、みんなにプログラムを配ってくれればいいのにと思う。
ヴィオラスペース2017 vol.26 コンサートⅠ「フレンチ・タッチ」2016.5.30 石橋メモリアルホール
ブログ管理人作曲によるCD
さびしいみすゞ、かなしいみすゞ ~金子みすゞの詩による歌曲集~(MS:小泉詠子/Pf:田中梢)
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3. ロータ:間奏曲
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Vla:佐々木 亮
5. ブラームス:弦楽五重奏曲 第2番 ト長調より 第2楽章
Vn:パメラ・フランク、小栗まち絵/Vla:今井信子、原ハーゼルシュタイナー 麻理子/Vc:金子遙亮
6. モーツァルト:協奏交響曲 変ホ長調 K.364(320d)
Vn:パメラ・フランク/Vla:アントワン・タメスティ/桐朋学園オーケストラ
深くて渋い存在感で魅了するヴィオラに光を当てた毎年のイベント、ヴィオラスペースのガラコンサートを、去年に続いて聴いた。
入口で配られた紙で、中国から参加する予定だったヴィオリストが4人とも来日できなくなったことを知ったが、理由が書かれていなかったので訊ねようと思っていたら、ステージで挨拶したタメスティ氏から、中国政府による渡航禁止措置であると知らされた。芸術活動が国家権力により阻止される場に居合わせ、昨今の習体制の強権ぶりに更なる不信と危惧の念を抱いた。コンサート自体は、来られなかったヴィオリスト達の思いを受け取ったかのように、濃厚で白熱した内容だった。
前半の白眉は、シュリヒティヒが演奏したヒンデミットの無伴奏ソナタ。骨太で揺るぎない安定感から奏でられるヴィオラによる熱い「声」が内へ内へと集中し、一瞬の緩みもない、切迫したドラマで聴き手の心を揺さぶった。
これに対して、ヘルテンシュタインと野平のデュオによるロータの間奏曲は、歌が外へと解放され、情熱と香りがムンムンと漂ってきた。自由な遊び心で交わされる2人のやり取りが楽し気だった。ヴュータンのカプリッチョを演奏した佐々木の、柔らかなタッチと色彩豊かな音色の語りかけも心をくすぐった。今井の演奏したメンデルスゾーンは、やっぱりヴァイオリンで聴きたいと思った。
プログラム後半の2曲はどちらも充実の極み。ブラームスのクィンテットは清澄で静謐。ハーモニーの純度も高く、奇しくも国家権力で芸術にチャチャを入れられた今夜の演奏会を浄化しようという思い、祈りが感じられるようだった。
ステージに花が咲いたような見た目もカラフルな桐朋オケが加わったモーツァルトのシンフォニア・コンチェルタンテは、演奏の方も百花繚乱の趣き。ヴィオラのタメスティは指揮者の役割も担い、全身を使ってオケに音楽を伝え、オケはこれを見事にキャッチして、生き生きとした瑞々しい演奏で2人のソロを盛り立てた。パメラとアントワンのソロは、音の端々まで命が行き渡り、役者としての存在感が抜群で、お互いの対話を楽しみつつ自分をアピールしていた。
ソロとオケ全体がピチピチした若さと喜びに溢れ、音楽ってこんなに楽しくて魅力いっぱいなんだよ、と伝えてきた。このノリで第2楽章をやっては感情過多になるのでは?とも思ったが、ここではしっとりと深く、大人の味わいを聴かせた。悦びに弾けたこの演奏が、来られなかった4人のアーティストのところまで届けばいいのにな。
このコンサートでは、例によってロビーには会社のお偉いさんみたいのが整列して、接待の場のようなシーンも見受けられた。今回から有料になってしまったプログラムが入った「お土産袋」を持たされた人達がたくさん客席にいて、やっかみめいた感情も湧いてくる。一部の人達を優遇するより、みんなにプログラムを配ってくれればいいのにと思う。
ヴィオラスペース2017 vol.26 コンサートⅠ「フレンチ・タッチ」2016.5.30 石橋メモリアルホール
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