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NHK交響楽団 10⽉公演 サントリーホール(鈴木雅明 指揮)

2020年10月31日 | pocknのコンサート感想録2020
10月29日(木)鈴木雅明 指揮 NHK交響楽団
サントリーホール


【曲目】
1.シューベルト/交響曲 第2番 変ロ長調 D.125
2.シューベルト/交響曲 第4番 ハ短調 D.417「悲劇的」

9月からのN響の新シーズンは、定期演奏会が予定されていた日程と会場で、定期演奏会とは異なる形態で演奏会が行われている。10月の指揮者は鈴木雅明。雅明氏指揮N響と云えば、6月B定期でやるはずだったBCJの合唱を迎えたベートーヴェンのミサソレが中止になった悔しさが未だ消えないが、雅明氏の指揮でN響を聴けるのは有難い。3つのプログラムで一番聴きたかったシューベルトを、僕が会員のB定期2日目と同じ日に、同じ席で聴いた。楽員登場で客席から大きな拍手が上がるコロナ禍以来の習慣はN響でも続いていた。

プログラムはシューベルトが10代に作曲した若さ溢れるシンフォニー2曲。鈴木/N響は生き生き溌溂とした演奏で、どこまでも心を高揚させた。澄んだ瑞々しい音が勢いよく飛び交う様子は、真夏の太陽に照らされた水しぶきのよう。或いは、新鮮な果汁が切り口からシャッと迸り出る感じ。艶やかで輝かしいN響サウンドがくっきりと冴えわたる。鈴木はピリオドアプローチにこだわることなくN響ならではの響きを引き出しつつ、鈴木らしい生気溢れる演奏を繰り広げた。元気だけれどテンパることなく、音楽が自らエネルギーを発散する。鈴木は、元気に飛び回ろうとする音たちを一番快適な場所へ導くように全体を調和させる。それが古典的な様式美を与える。それにしてもこの若々しいエネルギーの放出の魅力はどうだろう!第1楽章が終わったところで既に高揚感と充実感に満たされ、拍手喝さいを送りたい気分になった。

第2楽章での木管&ホルンと弦が美しい音色で織りなす瑞々しい歌心にも酔心。第3楽章で勇壮に進んだあとは再び心湧きたつ愉悦。プレイヤー達も楽しそう。終盤では更にギアアップして高揚感を煽り、ワクワクドキドキのフィナーレが幸せいっぱいに終わった。余韻が消えてからの大喝采。素晴らしすぎる!僕も夢中で拍手を送った。

続く第4番、冒頭のトゥッティの強打の充実!全てがここに凝縮されている。そして第2番と同様に生き生きとした演奏が展開した。こちらはハ短調というシューベルトがベートーヴェンを意識した意味深い調性で書かれ、プログラムノートにもあるようにシューベルトが自らスコアに「悲劇的」と書き添え、調性に相応しい「深い意味を与えようとした」のかも知れない。けれど実際に聴こえてくる音楽は、深刻な表情を装いながらも若々しいポジティブなエネルギーの放出が勝り、結局はそちらが主流で、深刻な表情はポーズのように聴こえてしまう。そんなこともあって心から楽しめたのは第2番の方だったが、この曲を聴いていたらベートーヴェンはもちろん、モーツァルトやハイドン、更にはメンデルスゾーンの音楽も聴こえてきたのは面白かった。第4楽章では後の「グレートシンフォニー」も聴こえてきて、鈴木/N響でシューベルトの全交響曲を聴きたくなった。

バッハコレギウムジャパンという世界屈指のピリオド演奏団体を主宰する一方で、モダンオーケストラでも幅広いレパートリーで活躍し、こんな素晴らしい演奏を聴かせてくれる鈴木雅明が、アーノンクールと重なった。またN響に客演して、今度こそミサソレをやって欲しい。絶対サントリーで!

鈴木雅明/BCJ:マタイ受難曲 2020.8.3 東京オペラシティ
鈴木雅明/紀尾井ホール室内管弦楽団 2019.6.21 紀尾井ホール
鈴木雅明/読響&RIAS室内合唱団 2018.10.26 サントリーホール

N響公演の感想タイトルリスト(2017~)
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