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モザイク・クァルテット with ヴォルフガング・マイヤー

2006年11月14日 | pocknのコンサート感想録2006
11月14日(火)モザイク・クァルテット with ヴォルフガング・マイヤー
トッパンホール

【曲目】
1.ハイドン/弦楽四重奏曲第79番二長調Op.76-5 Hob.Ⅲ-79 「ラルゴ」
2.ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第11番へ短調Op.95「セリオーソ」
3.モーツァルト/クラリネット五重奏曲イ長調K.581
バセットCl:ヴォルフガング・マイヤー
【アンコール】
モーツァルト/クラリネット五重奏曲イ長調K.581 ~第3楽章

ピリオド関連のコンサートが続くが、今夜は古楽器の弦楽四重奏団の大御所的存在、モザイク・クァルテットを聴いた。
このクァルテットはピリオド楽器を使用しているが、演奏はビブラートを主体とし、テンポやアーティキュレーションも普段モダンで聴き慣れたもの。そうした中で4人がハーモニーを大切にして柔らかな響きを作り、誠実にオーソドックスに曲を仕上げて行く姿勢に好感を持った。

しかしカルテット単独での前半2曲では、良い演奏なのだろうが特筆するような特長が見つからず、正直物足りなさを感じたが、後半、マイアーが加わってのモーツァルトの五重奏曲はそれは惚れ惚れするような素晴らしい演奏だった。

モダン楽器でのアンサンブルだとこの曲はクラリネットコンチェルトのようにクラリネットが引き立つのだが(これはこれで良い・・・)、ピリオド楽器5人のアンサンブルはバランスがとても良かった。しかも、ありきたりの音量や表現上のバランスというより、5人が天秤の「ここしかない!」という丁度良い場所にそれぞれ乗って自由自在に表現し、それでバランスが保たれているような曲芸のような状態・・・ そんな究極のアンサンブルを聴かせてくれるモザイク・カルテットとマイアーはすごい。

そして、マイアーの1音たりとも無意味な音のない完璧なまでにコントロールされた絶妙な表情、歌いまわし、息遣い、デリケートで美しい音色。これらが古楽器らしく軽妙で洒落たセンスに乗って生き生きと運ばれて行く。それに呼応するかのようにモザイク・カルテットのアンサンブルも益々冴えてきたように聴こえた。バセットクラリネットの音域を生かした腹に響くような低音の魅力も良い。

とても新鮮で、しかしあくまで自然でピュアーで美しく、遊び心も所々に散りばめられた浮き浮きする魅力溢れるモーツァルトにすっかり聴き惚れてしまった。

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