facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

新しい風~漆原朝子とアバドの秘蔵っ子たち

2006年10月24日 | pocknのコンサート感想録2006
10月24日(火)NEUER WIND "新しい風"
浜離宮朝日ホール

【出演】
Vn:漆原朝子(4~7)、ミリヤム・コンツェン(2,5,6,7)/Vla:ディームート・ポッペン(1,6,7)/Ob:ディートヘルム・ヨナス(3,7)

【曲目】
1.バッハ/無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調BWV1008
2.モーツァルト/ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番ト長調K.423
3.イサン・ユン/オーボエ・ソロのためのピリ
4.バッハ/パルティータ第2番ニ短調BWV1004~シャコンヌ
5.バルトーク/44の二重奏曲より
6.ドヴォルザーク/2つのヴァイオリンとヴィオラのためのテルツェット ハ長調Op.74
7.マデルナ/衛星のためのセレナード

興奮さめやらぬアバド指揮ルツェルン祝祭オケ等、世界を舞台に活躍する若い音楽家達が、バッハから現代までという意欲的な曲目を取り上げて様々なアンサンブルを行った。

ポッペンのヴィオラによるバッハの無伴奏チェロ組曲では、普段聴き慣れたチェロ以外でこの曲を聴いてもその音楽の魅力は微塵も失われず、しかも別の方向から光が照らされることで新たな発見があった。楽器を選ばないバッハの音楽の「普遍性」というものを改めて感じた。ポッペンの深みと安定感のある演奏がよかった。

漆原さんの「シャコンヌ」は無駄なものを取り除き、研ぎ澄まされた凛とした演奏で、音楽の美しさが浮かび上がる。これに対しモーツァルト等で聴いたコンツェンのヴァイオリンはふくよかでつややかな音色が魅力。大らかに歌い包容力で聞く者をの心を引き寄せる。

オーボエのヨーナスはとりわけユン・イサンのソロで強烈なメッセージを伝えてきた。床に正座した姿勢で瞑想するように音を醸し出して行く。イサン・ユンの音楽の特徴でもあるが、その魅力が十分に表現され、一つの音が生き物のように様々に変幻する姿が魂の声のようにあぶり出されてきた。

ドヴォルザークの三重奏では3人が扇型の位置で立って暗譜で演奏するという珍しいスタイルだったが、これが功を奏したような白熱の演奏を聴かせてくれた。

譜面ではいくつかの指示が与えられているだけで、それぞれの奏者に演奏の大半が委ねられたマデルナ作品では4人の気が集まり、鋭い感性を交し合って集中力のある演奏となった。音楽が生まれる瞬間に立ち会っているという臨場感を味わった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 第2回 音楽島講座コンサート | トップ | 2006年 夏のヨーロッパ旅行 ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2006」カテゴリの最新記事