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コリヤ・ブラッハー:バッハの「無伴奏」全曲演奏会【第1夜】

2023年07月03日 | pocknのコンサート感想録2023
6月29日(木)コリヤ・ブラッハー(Vn)
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ 全曲演奏会【第1夜】
トッパンホール

【曲目】
1. バッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト短調 BWV1001
2. バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第3番 ホ長調 BWV1006
3.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005
(アンコール)
♪ バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002~Corrente

弟からの招待でブラッハーを聴いた。コリヤ・ブラッハーの名前はよく聞くが、どんなヴァイオリニストかはイメージできず、ライブを聴くのも初めて。ベルリン・フィルのコンマスを務め、アバドとの共演を重ねて高い評価を得ているというプロフィールから期待は大だった。

ブラッハーのヴァイオリンは、冒頭から聴き手を惹きつけた。鋼のような強靭な音は鈍色を思わせる深く美しい艶を発し、縦横無尽に躍動しつつ、骨太な骨格を築いて行く。大地にしっかりと根を生やし、空に向かって枝葉を伸ばす大樹のような逞しさと生命力がある。この生命力の源となるエネルギーは演奏中絶えることなく、ここぞというところでは惜しげもなく火に油を注ぎ、音楽に推進力を生み出して行った。

フーガなど多声楽曲では、それぞれの声部が独自の歌を奏でつつ、全体ではそれらががっちり手を組んで、定めた目標に向かって邁進する力強さ。ソナタ第1番の終曲やパルティータ第3番のプレリュードなど、単音で奏でられる楽曲では美音が一層際立ち、孤高の歩みでしなやかに天に昇っていくような気高さを感じた。リサイタルの最後を飾ったソナタ第3番の終曲は、単に勢いで突き進むのではなく、一音一音をしっかり吟味しながら能動的な「重み」が与えられ、弾き進むごとに熱とテンションを高めて畳みかけて最高潮へと上り詰め、会場はブラボーと大喝采に包まれた。

アンコールは、拍手が鳴りやまないうちに、ステージの中央より手前で余興のように始まった。しっかりした足取りでくっきりと奏でられたバッハだったが、ブラッハーのエネルギーの全ては本割の3曲に注がれた観が強い。休憩時間はたったの10分で、8時10分過ぎには終演となった今夜のリサイタルは、ブラッハーが曲間や休憩でも緊張を緩めることなく、短い時間枠のなかで全身全霊で臨んだことの表れのように感じられた。

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