2015年9月3日から4泊で、6年ぶりにベルリンを訪れました。今回のベルリン滞在の主な目的は、大学図書館の訪問・見学と、コンサート・オペラ鑑賞、それに、まだベルリンで訪れていない場所の町中探訪。 大学図書館訪問は、私立大学図書館協会が募集している海外認定研修のレポート作成のための自主取材で、めでたく海外認定研修として採択してもらえました。ベルリンで訪れたベルリン自由大学のキャンパスライブラリーと文献学図書館のほか、ドレスデン工科大学とウィーン大学図書館のレポートも含めた詳細なレポートが、私立大学図書館協会のHPに掲載されています。 コンサート鑑賞は、フィルハーモニーで行われたボストン響(指揮:ネルソンス)とイスラエル・フィル(指揮:メータ)のオーケストラコンサート。この他、ドレスデン、パッサウ、ウィーンで訪れたコンサート・オペラと併せて、感想は当ブログ「pocknのコンサート感想録2015」にアップ済み。 ということで、ここでは「ベルリン町中探訪」をレポートします。ベルリン4泊の滞在中、3日に渡って主にベルリンの3つのエリア(プレンツラウアーベルク地区、ミッテ地区、クロイツベルク地区)を観て回りました。その他、ベルリン市内を流れるシュプレー川の遊覧船観光をしたり、ユダヤ博物館を訪れたりしたので、それらをあわせて2009年の「ベルリン町中探訪」の続編としてレポートします。 |
2015年9月3日(木)
ベルリンへは、成田からフィンエアを利用して、ヘルシンキ経由で入った。この秋からドイツで1年間の留学を控えている娘も最初は一緒にベルリンに入ることになったが、チケットを取った時期が異なりフィンエアは取れず、KLMでほぼ同じ時刻にベルリンに到着して合流した。
カフェ・リテラトゥーアハウス
Café-Restaurant Wintergarten im Literaturhaus
僕が常宿にしているベルリンの繁華街、クーダム近くのペンションに夕刻チェックイン後、その近くのカフェ・リテラトゥーアハウスを訪れた。このカフェは歴史と伝統があって、昔から文化人のたまり場でもあったそうだ。今でも文学館として、朗読などのイベントが開催されている。花と緑に囲まれた都会の中のオアシスといった感じで居心地が良く、ベルリンに来ると1度は訪れる。ここについては前回のブログ記事でも紹介しているので、今回は簡単に…
"Bachsaibling"(カワマスのグリル)と"Gemüseeintopf"(野菜スープ)
ワインはシルヴァーナー(白)
盛り付けもおしゃれで上品な味だった。
夜12時まで開いている。
遅めに入ってもゆっくり食事できるし、軽くお茶するにもいい。
カフェを出て、食後はこの周辺をぶらぶらしてウィンドーショッピングを楽しんだ。
クリスマスショップのKäthe Wohlfahrtは一年中クリスマスグッズを売っている楽しいお店。もちろんこの時間はお店は全部閉まっている。
日本では見ないようなポスターもたくさん。こんな妖しいポスターはアートになるなぁ。
ペンションが入っている19世紀末に建てられた歴史的建造物の階段は、風格とレトロ感がありあり。
2015年9月4日(金)
翌日、朝からお昼までベルリン自由大学のキャンパスライブラリーを訪問したあと、娘との待ち合わせ場所のベルリン大聖堂へ。大幅に遅刻して娘と合流し、遊覧船乗り場へ向かった。
シュプレー川遊覧船観光 Schifffahrt über Spree
ベルリン市内を東西に流れるシュプレー川には、次々と遊覧船が行き交っている。川はどこでも古くから交通の要衝だけに、シュプレー川の川沿いにも重要な建物が多く、遊覧船観光には絶好の条件を具えている。
何度もベルリンを訪れているのに、この遊覧船には一度も乗ったことがなかった。いつもは一人で訪問するベルリンだが、今回は娘と一緒なので遊覧船観光も悪くないかな、と思い、初めて川からベルリンを見物することにした。
乗ったのは旧東ベルリン地区を中心に、西側のティアガルテンの近くまで行って戻ってくる約1時間のコース。
見上げるベルリン大聖堂(Berliner Dom)は、川の中州に建つ必須の観光ポイント。
現在の建物は1905年に完成。丸屋根の高さは98メートルある。
今日は絶好のクルージング日和!
イケメンのお兄さんのガイドは殆どわからず。。
ガイドの説明はいつでも僕の前に立ちはだかるドイツ語の大きな壁だ…
シュプレー川の中州の北側は博物館島"Museumsinsel"と呼ばれる地区で、
ヨーロッパ屈指の博物館が居並ぶユネスコの世界文化遺産。
島の突端にあるボーデ博物館"Bodemuseum"は、ルネサンスからバロック期の彫刻で有名。
帝政ドイツ時代の建物を修復して使ったドイツ連邦議会"Bundestag"の議事堂。
歴史的な意義も込めて、ライヒスターク(帝国議会)"Reichstag"と呼ばれている。
中央のガラス製のドームは「新しいベルリン」を象徴して1999年に完成。内部見学もできる。
政府の主要機関が集中する政府地区"Regierungsviertel"には新旧様々な建物が建ち並ぶ。
下は21世紀の建築、マリー・エリザベス・リューダーハウス"Marie-Elisabeth-Lüders-Haus"
政府の学術支援の拠点でもあり、国会図書館が入っている。
19世紀末に造られたモルトケ橋"Moltkebrücke"は空襲で破壊されたあと修復された。
その後ろには近代的なベルリン中央駅"Hauptbahnhof"の駅ビルが見える。
船はティアガルテン"Tiergarten"辺りまで進んでUターンして、出発地点へ戻ってきた。
晴天の下、川辺に建つ重要な歴史的建造物を見ながら、ベルリンの歴史と現在を堪能できた。
表現力豊かに説明してくれたガイドさんにみんなで拍手!
船を下りてアレクサンダー広場"Alexanderplatz"方面へ。
見えるは聖マリア教会"St.Marienkirche"と、東独時代を象徴するテレビ塔"Fernsehturm"。
この管はなんだ?
街中に張り巡らされているピンクの管。水道管? といっても、これは上水や下水など、市民の生活を支えるインフラとは違うらしい。地元の新聞記事(Berliner Woche)によれば、これは工事現場に湧いて来る地下水を汲み上げてシュプレー川などに流し込むための管だそうだ。地上にむき出しで町の景観を損ね、通行の障害にもなっていると評判は悪いが、地下に埋めるよりコストがずっと安いということで、当分この状態のままだという。
ベルリンのこの地区は元々砂地で、工事で地面を掘れば地下水に悩まされているという。見方によっては野外の現代アートに見えなくもない。ベルリンの町には合っているような気もするし、これを街の売りに利用する手もありでは?
アレクサンダー広場にNHK「世界ふれあい街歩き」で見た赤い傘のソーセージ売りを発見。背中に燃料のボンベを背負って、焼きたてを売っている。この人、「街歩き」に出てた人かな…
職人気質のスリッパ店 Jünemann's Pantoffeleck
その「街歩き」を見ていて、行ってみたくなったお店があった。それはお父さんと息子が、職人気質の丈夫で温か味のあるスリッパを作っているスリッパ屋さん。ネットで調べ、アレクサンダー広場から遠くないとわかっていたので、トラムに乗ってお店へ向かった。
お店の名前はJünemann's Pantoffeleck。ネットで見たときは、トラムのRosenthaler Platz駅からが近いように思ってそこまで乗って歩いたら、結局アレクサンダー広場の方向に相当歩くことになり、これならトラムに乗らなくても良かった感じだった。
看板も目立たない質素なお店の小さな入口を入ると、スリッパが壁にたくさん陳列されたテレビで見た光景が目に飛び込んだ。お店のホームページによれば、家族経営でスリッパ作りを始めて110年以上になるそうで、マグデブルクからベルリンへ移り住み、1981年から今の住所でお店を出していて、今は3代目と4代目が親子で伝統の職人技を守っているとのこと。
いくつか見せてもらって選んだのはこの定番のスリッパ。ラクダの毛を使っていて温かそうでしっかりした作り。家族にも買った。息子とお父さんはあいにく留守でおばさんがいた。「テレビで見て来ました」と言ったら嬉しそうにしていた。このスリッパは本当に温かくて履き心地がよく、型崩れもしなくて丈夫。ドイツの職人気質の技に出会えた。
買い物を済ませ、これからいよいよ本格的な街歩き開始…(「その5」へつづく)
ベルリン町中探訪 その7 クロイツベルク(ユダヤ博物館、ヴィクトリア公園、シャミッソー広場他)、ベルリン地下世界
ベルリン町中探訪 その6(6月17日通り蚤の市、ティーアガルテン、ハッケシェヘーフェ・・・)
ベルリン町中探訪 その5 プレンツラウアーベルク地区(シオン教会、壁公園、クルトゥア=ブラウエライ、コルヴィッツ広場・・・)
ベルリン町中探訪 その3 カリーヴルスト、ニコライ地区、ジャンダルメン広場、CDショップDussmann
ベルリン町中探訪 その2 静寂の部屋、ホロコースト記念碑、本のない図書館、DDRミュージアム
ベルリン町中探訪 その1 クーダム周辺、戦勝記念塔、アスパラ、綿毛・・・
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