1月28日(木)鈴木優人 指揮 NHK交響楽団
サントリーホール
【曲目】
1.バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調 BWV1046
2.ベートーヴェン/序曲「コリオラン」Op.62
3.ブラームス/交響曲第1番ハ短調 Op.68
定期演奏会に代えて行われている月々のN響公演、今回はBCJの首席指揮者も務める鈴木優人が登場した。客席には昨夜の素晴らしいリサイタルの主役のイザベラ・ファウストさんの姿も。N響との相性がいいトゥガン・ソヒエフの指揮で行われるはずだったプログラムをまるごと受け持った優人氏が最初に振ったのはバッハ。
プレイヤー達はバロックアンサンブルのように立奏で、祝祭的なブランデンブルク協奏曲を実に伸びやかで楽しそうに演奏した。解放感に溢れ、音はキラキラと輝いている。ホルンが華やかに響き、宮廷の広間で聴いているように眩しい。入れ替わり登場する様々なソロが、楽しそうに小じゃれた装飾音を入れる。それぞれが思い思いに演奏しつつ全体の調和を保って進む様子は、MAROワールドでおなじみの空気感。終楽章のリトルネッロは、トゥッティとソロたちが奏でる踊りに合わせて、空気全体が踊っているようだった。
ここで休憩。後半最初のベートーヴェンは、自由で開放的なバッハとは打って変わって、ギュっと引き締まった劇的な演奏。最初の「溜め」から炸裂する一撃!小型のティンパニの堅い音が生える。その後も緊迫感を保ちつつ、歯切れよく硬質でパンチを効かせた演奏を展開した。N響の果敢な姿勢もハンパなく、短いながらベートーヴェンの熱い魂がストレートに伝わってくる見事な「コリオラン」だった。
これを聴いたら、次のブラ1も同じようにストレートなアプローチで行くかと思いきや、一転してきめ細かな豊かな表情を聴かせる演奏だった。ベートーヴェンでは強烈なコントラストを強調してストレートな演奏に徹したのに対して、ブラームスではグラデーションを主体に、寄せては返す波のような連続した変化で大きな流れを作って行く。その流れの中で重心をスピーティーで滑らかに移動させ、音楽に生き生きとしたムーヴマンを与える。要所を丁寧に押さえつつ、全体を盛り上げていく演奏にどんどん引き込まれて行った。
N響の熱い演奏は視覚からもビンビンと伝わってくる。ソロの上手さも流石だ。第2楽章のまろさんのヴァイオリンソロの、優美でかつ遠くへグイグイと伸びていく頼もしさ、福川さんの柔らかくて雄弁なホルン、吉村さんのオーボエは、登場する度に豊かな表情から生まれる味わい深さに聴きホレた。高い合奏力と名手の技が、鈴木の指揮に応えて素晴らしいクライマックスへと向かって行った。
ところが、フィナーレの最後の最後で空中分解してしまうのでは?と思うようなピンチが訪れる。しかし何とか持ち直して無事に着地した。よく大丈夫だったと安堵はしたが、最後に訪れるはずのエクスタシーが直前で消え去ってしまった感あり。優人氏がオルガンを受け持ったときのサン=サーンスのハプニングの記憶も蘇ったが、こんな出来事が両者の絆を更に強めてくれるかも知れない。
鈴木優人指揮 BCJのロ短調ミサ (2020.9.20 東京オペラシティコンサートホール)
鈴木優人指揮 読響 (2020.7.5 東京芸術劇場)
鈴木優人指揮 BCJのモーツァルト/レクイエム (2018.9.24 東京オペラシティ)
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2.ベートーヴェン/序曲「コリオラン」Op.62
3.ブラームス/交響曲第1番ハ短調 Op.68
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プレイヤー達はバロックアンサンブルのように立奏で、祝祭的なブランデンブルク協奏曲を実に伸びやかで楽しそうに演奏した。解放感に溢れ、音はキラキラと輝いている。ホルンが華やかに響き、宮廷の広間で聴いているように眩しい。入れ替わり登場する様々なソロが、楽しそうに小じゃれた装飾音を入れる。それぞれが思い思いに演奏しつつ全体の調和を保って進む様子は、MAROワールドでおなじみの空気感。終楽章のリトルネッロは、トゥッティとソロたちが奏でる踊りに合わせて、空気全体が踊っているようだった。
ここで休憩。後半最初のベートーヴェンは、自由で開放的なバッハとは打って変わって、ギュっと引き締まった劇的な演奏。最初の「溜め」から炸裂する一撃!小型のティンパニの堅い音が生える。その後も緊迫感を保ちつつ、歯切れよく硬質でパンチを効かせた演奏を展開した。N響の果敢な姿勢もハンパなく、短いながらベートーヴェンの熱い魂がストレートに伝わってくる見事な「コリオラン」だった。
これを聴いたら、次のブラ1も同じようにストレートなアプローチで行くかと思いきや、一転してきめ細かな豊かな表情を聴かせる演奏だった。ベートーヴェンでは強烈なコントラストを強調してストレートな演奏に徹したのに対して、ブラームスではグラデーションを主体に、寄せては返す波のような連続した変化で大きな流れを作って行く。その流れの中で重心をスピーティーで滑らかに移動させ、音楽に生き生きとしたムーヴマンを与える。要所を丁寧に押さえつつ、全体を盛り上げていく演奏にどんどん引き込まれて行った。
N響の熱い演奏は視覚からもビンビンと伝わってくる。ソロの上手さも流石だ。第2楽章のまろさんのヴァイオリンソロの、優美でかつ遠くへグイグイと伸びていく頼もしさ、福川さんの柔らかくて雄弁なホルン、吉村さんのオーボエは、登場する度に豊かな表情から生まれる味わい深さに聴きホレた。高い合奏力と名手の技が、鈴木の指揮に応えて素晴らしいクライマックスへと向かって行った。
ところが、フィナーレの最後の最後で空中分解してしまうのでは?と思うようなピンチが訪れる。しかし何とか持ち直して無事に着地した。よく大丈夫だったと安堵はしたが、最後に訪れるはずのエクスタシーが直前で消え去ってしまった感あり。優人氏がオルガンを受け持ったときのサン=サーンスのハプニングの記憶も蘇ったが、こんな出来事が両者の絆を更に強めてくれるかも知れない。
鈴木優人指揮 BCJのロ短調ミサ (2020.9.20 東京オペラシティコンサートホール)
鈴木優人指揮 読響 (2020.7.5 東京芸術劇場)
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