世界遊戯博物館ブログ

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仏法双六・証果増進之図

2016年01月28日 | 日本のゲーム

先日の日曜(1月24日)、台東区の東本願寺(浅草本願寺)で浄土双六が遊べる機会があるというので、参加させて頂きました。


会場で遊んだものは、証果増進之図というもので、マス目には現世や地獄、悟りの段階を表す文字が描かれています。


仏教の世界観が反映された双六を区別するうえで、文字のみのものは仏法双六で、絵が有るものは浄土双六という区分けをされることもあります。

今回の証果増進之図は、仏法双六の類いで、元は初学の僧が天台の名目を覚える為に作られたといわれています。

浄土双六の骰子は「南・無・分・身・諸・仏」の骰子を使うのですが、仏法双六の骰の目は「貪・瞋・痴・戒・定・慧」になっています。


文政六年(1823年)に再刻された証果増進之図の遊戯法によると、裏表のある6本の棒状の賽を振って、その表裏の組合せが目数になるようですが、ここでは「貪・瞋・痴・戒・定・慧」の文字が書かれた6面体サイコロを使いました。

浄土双六と仏法双六の盤面は、人間の迷いと悟りを10種類に分けた十界で構成されているといわれます。


仏法双六のマス目は全部で123あり、各マスに出目による行き先が記してあります。

振り出しの位置は、須弥山の四州の内の南贍部洲(なんせんぶしゅう)となっており、ここから開始となっています。


各自の駒は、厚紙やゲームチップに名前を書いて使用しましたが、本来であれば、基本教義が書かれた花巌、天台、真言、倶舎、成実、法相、三輪、律、禅、浄土の10枚から選んで、それに自分の名前を書くそうです。


骰子の目ですが、「戒・定・慧」はよいマスに進み、「貪・瞋・痴」はよくないマス目に進むようになっています。

一旦地獄の世界に堕ちてしまうと、そこから這い上がるのは難しいのですが、悟りの境地に達すると、あとは上がりに向けて進むようになっています。


実際に遊んでみると、たかが賽の目で進むだけの双六といえど非常に面白く、皆で様々な境地を感じながら楽しく遊べました。

また、収束制が悪いと思われがちな飛び双六ですが、大勢で遊ぶと短時間でも明暗がくっきりと分かれ、そこも面白いと思いました。


仏法双六よりマス目が少なく、それぞれの境地が絵で描かれた浄土双六も別の場所で遊んでみましたが、こちらは意外とすぐに上がれたので、それほど収束制は悪くないと思いました。

悟りの境地に至るか、地獄を彷徨うかは骰子の目次第ですが、解脱した人がいる反面、いつまで経っても地獄で苦しんでいる人がいる所も、このゲームの楽しさだと思います。

やはり、双六は皆で楽しく雑談をしながら遊ぶと面白いので、仏法双六も浄土双六も5~6人位で遊ぶのが適正だと思います。

特に、仏法双六に絵を入れ、庶民向けに遊び易くした浄土双六は、色々な境地が図解で解り易くて面白いので、仏法系双六の入門としてはお勧めです。

明治時代の廃仏毀釈で妻帯肉食によって還俗を迫られるまでは、一部を除いて宗派の垣根は殆ど無く、浄土系以外の禅宗や密教、神仏習合の修験道でも浄土双六は遊ばれていたので、今後、宗派に囚われず原点に戻り、各地の寺院などで浄土双六が遊ばれればいいなと思っています。


タイの骰子博打・ハイロー( ไฮโล )

2016年01月20日 | 骰子(さいころ)ゲーム


今年最初の記事ですが、タイで盛んなサイコロ博打・ハイロー( ไฮโล )について紹介します。


ハイローは、別名・「スーン タム(สูง ต่ำ)」といい、東南アジア諸国で盛んな魚蝦蟹やカジノにある大小と同じ類いのもので、親は3個のサイコロを使い、子は出目を予想してレイアウトにチップを張ります。


タイのサイコロは、1の目が魚の目のような二重丸で、1と4の目が赤く、角が角張っているなどの特徴があります。


タイの賭博用品店には、この角張ったタイ骰子が目印として飾られています。


バンコクのプラカノン運河にかかる橋の下付近には、このような賭博用品店が、何軒か立ち並んでいます。


店は狭いですが、中にはサイコロを振る壷皿が、所狭しと陳列されています。


タイでは、賭博用具は政府の公認がないと製造販売できないので、トランプやサイコロは他の国に比べて少し高価になっています。


タイで賭博は公式に禁じられていますが、アングラな賭博場や葬式会場などで、このハイローがよく遊ばれているとのことです。

勿論、家族や親戚が集まった時に、遊びの範囲で賭けることもあります。


ハイローは、タイ人にはよく知られたゲームなので、Tシャツの題材にも使われ、観光地などで売られています。
このTシャツは、ノンカイの珍寺・ワットケークで売られていました。


ハイローの遊び方の詳細を以下に記しますので、タイ人と遊ぶ機会などがありましたら、お役立て下さい。



ハイロー(ไฮโล)の遊び方

まず、壷笊の中にサイコロを3つ入れる。
振る前は、まず3つのサイコロを4の目にしてから振る。
4の目にするというのは、皿の上のサイコロを全て4の出目にした状態から始めることである。
親が振り終わると、子は任意の場所にチップを張る。
子が張り終わったら、親は壷笊の中を開示する。
当たれば、賭けた場所に応じた配当があり、外れれば賭けたチップは没収となる。

■配当
●1/2/3/4/5/6…1倍
例:10張った場合、張った10が賭けた人に戻され、更に10貰える
※ゾロ目の場合は2倍、3ゾロの場合は3倍

●1・5/1・6/2・5/3・6/2・4/3・5/4・1/5・2/6・1/6・2…5倍
例:10張った場合、張った10が賭けた人に戻され、更に50貰える
※この目は、2つとも的中させないと当たりにならない

●1・2・3/4・5・6…1倍
例:10張った場合、張った10が賭けた人に戻され、更に10貰える
※この目は、3個のうち2個が的中していれば当たりとなる。1・2・3に賭けて1と2、1と3が出れば当たり

●11ไฮโล(シップエット ハイロー)…5倍
例:10張った場合、張った10が賭けた人に戻され、更に50貰える
※3個の出目の合計目数が11だと当たり

● 5ต่ำ(ハー タム)…5倍
例:10張った場合、張った10が賭けた人に戻され、更に50貰える
※5が出て、合計目数が10以下だと当たり

● 6ต่ำ(ホック タム)…5倍
例:10張った場合、張った10が賭けた人に戻され、更に50貰える
※6が出て、合計目数が10以下だと当たり

● ต่ำ(タム)…1倍
例:10張った場合、張った10が賭けた人に戻され、更に10貰える
※ต่ำ、出目の合計数が3~10だと当たり。  ต่ำ(タム)=低い

● สูง(スーン)…1倍
例:10張った場合、張った10が賭けた人に戻され、更に10貰える
※สูง、出目の合計数が12以上だと当たり。 สูง(スーン)=高い

●2点賭け…2~5倍
※1/2/3/4/5/6の目で、隣接した数字の中間線(1と2の間、3と4の間など)にチップを置くと2点賭けになる
※レイアウトが隣り合っていれば、1とต่ำ(タム・低い)、3とต่ำ、4とสูง(スーン・高い)、6とสูงというように賭けられる
※2点賭けは、両方的中しないと当たりにならない
※1とต่ำ(タム・低い)、6とสูง(スーン・高い)は、当たると2倍の配当
※3とต่ำ(タム・低い)、4とสูง(スーン・高い)は、当たると3倍の配当
※1/2/3/4/5/6の数字の2点賭けは、当たると5倍の配当

ハイロー(硬質ビニール台紙とサイコロ3個のセット)