デヴィッド・クシュナーがようやく全米チャートTop40入り!
TikTok で人気を得て現在 "Daylight" が世界的にヒットしている方ですが、
アメリカ出身なのに、"Daylight" はアメリカでのピークが一番遅いかもしれません。
それにしても、若々しさをまったく感じない渋い曲...。
オルタナティヴ・ミュージックの要素もあるので、その専門チャートにもランクインしています。
本記事の目標:メキシコのチャートにおいて、英語圏でも売れているラテン・ソングのスタンスと、
ラテン以外の世界的な英語ヒット曲のスタンスを確認する。
特に後者が気になりますね...。英詩の世界的ヒットが、ラテン圏でどれほど聴かれているのか。
※メキシコはアルバム・チャートが無かったので、割愛します!!
< Top10 >
title | artist | |
1 | Lady Gaga | Peso Pluma, Gabito Ballesteros & Junior H |
2 | Primera Cita | Carin Leon |
3 | Qlona | Karol G, Peso Pluma |
4 | LaLa | Myke Towers |
5 | Sabor Fresa | Fuerza Regida |
6 | El Amor de Su Vida | Grupo Frontera, Grupo Firme |
7 | La Bebe | Yng Lvcas, Peso Pluma |
8 | Tulum | Peso Pluma, Grupo Frontera |
9 | El Azul | Junior H, Peso Pluma |
10 | TQM | Fuerza Regida |
(コメント)
> そうですね...。まず、特に気になっていた方の疑問は解決しました。メキシコでは英語曲は流行っていません!!11位以下も一応見てみましたが、英語圏のアーティストの曲は一切見当たりませんでした。何というか、海外の別言語の曲はやすやすと受け入れない、メキシコ音楽文化のプライドすら感じます。
> というのも、4月のUSチャート・レビュー記事で少し触れたのですが、現在メキシコのラテン・ミュージックが信じられないくらい海外でも流行っていて、今はメキシコが流行の源泉みたいになっています。流行っているメキシコのラテンは「リージョナル」というらしく、私は最もヒットしたエスラボン・アーマードの "Ella Baila Sola with ペソ・プルマ" とグルーポ・フロンテラ "Un × 100to with バッド・バニー" くらいしか聴いたことがないのですが、立派なラテン・ミュージックの一種のようで、メキシコの伝統的な音楽でもあるみたいです。
> 上の最新チャートのTop10では、そういう状況もあって「リージョナル」に属するアーティストの曲が多数派。リード・アーティストのみのクレジットで数えると、ペソ・プルマ(1位、8位)、Carin Leon(2位)、フォルサ・レヒダ(5位、10位)、グルーポ・フロンテラ(6位)、ジュニア・H(9位)の5組がいて、曲はこの5組で10分の7を占めています。しかも残りの3曲のうち2曲にはペソ・プルマがゲスト参加していて、リージョナルのサウンドを提供しているので、リージョナルが関係するものとしてはもはや10分の9ですね。
> 目標に戻って、では、英語圏でもヒットしているラテン・ソングは本場ではどんな感じなのでしょうか。前述したリージョナル・ブームのビッグ・ウェーブ、"Ella Baila Sola" はアメリカで最高4位、グローバルで最高1位を記録しましたが、メキシコでもしっかり最高位が1位になっていました。しかも、ピークの時期はほとんど同じだったと想定されるのですが、アメリカではもう30位以下にまで落ちているのに対し、メキシコではまだ15位!ロングヒットもしています。"Un × 100to" もアメリカより明らかに最高位・持続力が高く、省きますがその他の「全米でもヒットしているラテン・ソング」も同じでした。
> なお、私はラテン・ミュージックの細かいジャンルについては全然詳しくないので、ビルボードのチャートをもとに、名前だけ知っている「レゲトン」とか「フラメンコ」も大枠でラテンに入れているのですが、今年新たに知った「リージョナル」も、やはりラテンの一種として定義上独立はさせないつもりです。...いつか、ラテンも細かいことをしっかり調べて、統計っぽいことをやりたいですね、もはや無視できない勢いですから。
> 最後に、若干のチャート・レビューです。1位 "Lady Gaga" はアメリカでチャート上昇中のペソ・プルマの曲ですね。リージョナルのアーティストで最も爆売れしている彼のデビュー・アルバム『ジェネシス』(2023) はやっぱり爆売れしましたが、その収録曲で今最も調子が良いのがこの曲のようです。9月開催のMTVアワードでも、メキシコ出身のアーティストとしては珍しく新人賞の候補に挙がりました(候補は全6人)。
> 3位のカロル・Gは、今年3月に新アルバム『Manana Sera Bonito』が一気に全米1位を獲得して驚いたのが記憶に新しい人ですが、先月、早くもそれに続く『Manana Sera Bonito ( Bichota Season )』をリリースして、再びチャートを賑わせました。『Manana Sera Bonito』のリリースはリージョナルのブームが大きくなる前だったので、最新作『Manana Sera Bonito ( Bichota Season )』ではペソ・プルマとコラボして新たにリージョナルにも進出していますね。
> 4位のマイク・タワーズは2年前に "Bandito" という曲でブレイクした方ですが、失礼ながら一発屋だと思っていました。最新ヒット "LaLa" は全米チャートにもランクインしていて、上昇率はラテン・ソングで今一番良いかもしれません。また、7位の Yng Lvcas "La Bebe with ペソ・プルマ" は全米11位と3番目に大きかったリージョナルのヒット( Yng Lvcas はリージョナルのアーティストではありませんが)で、3番目なのに本場では一番ロングヒットしているのが少し意外でした。3番目、というのはあくまでアメリカ視点ですけどね。
サマリー
英語圏でもヒットした(している)ラテン・ソングの、本場メキシコにおけるスタンス?
⇒やっぱりメキシコの方が成績が良い!
英詩の世界的なヒット曲は、メキシコのチャートにもランクインしている?
⇒そんなことはまったくなかった!!
...以上です。もちろん、私の関心が必ずしも万人の関心ではなく、むしろ私の関心は異常である可能性もあるのですが、それでもこの記事が何らかの参考になれば幸いです。読んでくださった方、ありがとうございました。