カントリー・シンガー、Megan Moroney(ミーガン・モロニー)さんの "Tennessee Orange"、
今月上旬に初めて聴いたけど、けっこう好感触。
黒人であることも少し影響しているのか、R&Bがまざったカントリー・ソングになっていて、
その融合が新感覚だし、聴きやすくてずっと聴いてられそう。
フォーク・シンガーのリジー・マカルパインさんもブレイクしたりと、チャートの彩りは良くなっていく一方です。🌈
2023年4月の全米シングル / アルバム・チャートのレビューです。
それぞれチャートで活躍したアーティストを数名取り上げ、そのアクションを振り返りつつチャートの全体的なレビューもします。
今回も、よろしくお願いします。
<全米シングル・チャート>
1.ミゲル
13年前にリリースされた彼のファースト・アルバムから、シングル "Sure Thing" が全米15位の大ヒットになっています。ミゲルさんはデビュー後すぐに売れた人なので、"Sure Thing" は当時も全米36位くらいのヒットになっていたのですが、TikTok流行を要因に10何年かぶりにリバイバル・ヒットして、当時の全米最高位を超えてしまいました。最近の同じような事例にレディー・ガガの "Bloody Mary" があり、これもリリースから10年以上経っている曲なのですが、リバイバル・ヒットして今月のチャートで全米41位まで上昇してましたね。自分はミゲルさんはグラミー賞デビューの "Adorn" (2012) という曲を何度も聞いたことがあるのですが、マニアックなR&Bすぎて何回聴いてもよく分かりません。よく分からない音楽の人、というイメージです(正直 "Sure Thing" も)。ただ、その分2017年の "Sky Walker feat. トラヴィス・スコット" はポップで意外でした。こんな曲もあるのか、と。
2.トゥージー
いやー...、世の中にまだこんな美メロがあったんですね...。"Favorite Song" という曲が全米14位まで上昇する大ヒットになっているラッパーですが、同曲は歌唱がメインの曲。これ、一度聴いちゃうとその後何もできなくなっちゃうんですよ...、反動?...っていうか、余韻?...っていうか...。個人的には否が応でも曲の雰囲気に吸い込まれてしまうようなバラードで、脳が曲の雰囲気に支配されてしまうためその後別の曲を聴くことがまったくできません。たくさんの洋楽を聴いてきたと自負できる自分がこんなことを軽々しく言うべきではないかもしれませんが、個人的にかなり上位の曲だと思います。確実に。💕
3.エスラボン・アルマード
メキシコのラテン・ミュージック・バンド、エスラボン・アルマードの "Ella Baila Sola feat. ペソ・プルマ" が4月に入ってからチャートを急上昇し、一気にTop10入り & 全米5位まで上昇しました。ラテン・ソングの全米Top10入りはバッド・バニー以外ではまだまだ珍しいことなので、突然のTop10入りにまだ驚いています。4月はラテン音楽勢、それも特にメキシコのアーティストの活躍が目覚ましく、"Ella Baila Sola" に参加しているメキシコ人のペソ・プルマは全米チャートHot100に最新のチャートで合計8曲も曲がランクインしていました(コラボ含め)。2022年までは、少なくとも北米では無名だったのに、恐ろしい爆上がりですね(ちなみにエスラボン・アルマードの方はアルバムがメキシコのアーティストとして史上初の全米Top10入りを果たすなど従来から知られていた)。また、Grupo Frontera というメキシコのバンドも好調で、コラボ含めこちらは4曲がランクインしています。ラテン・ヒットといえばプエルトリコやコロンビア出身でしたが、まさかの新潮流ですね。
<アルバム・チャート>
4.NF
全米1位ならず!!!残念!!!5作目となる新作『ホープ』が4月にリリースされ、前作、前々作に続いて3作連続の1位が期待されましたが、強すぎるモーガン・ウォーレンの新作『ワン・シング・アット・ア・タイム』(先月発売)に勝てず、2位に終わってしまいました。個人的に1番か2番の推しラッパーなので、けっこう残念です...。NFはアメリカのラッパーで、2015年デビュー。汚い言葉を使わないクリスチャン・ラッパーとしても有名ですが、「エミネムの後継者」とも形容されるほど強烈で早口のラップ音楽がめちゃくちゃ人気で、主観ですがすごくかっこいいです(馬鹿みたいな説明ですみません)。2017年にサード・アルバム『パーセプション』が全米1位をとる大ヒットになって本格的にブレイクし、翌年はシングルも "Let You Down" が世界的に大ヒット。それ以降は独自のファン層を作るまでの圧倒的な人気を確立したアーティストであるからこそ、1位を逃したのは残念でした。
5.メタリカ
そしてメタリカも全米1位逃し!!!これも残念!!!2016年の全米1位作『ハードワイアード...トゥ・ア・セルフ・ディストラクト』以来の新作『72シーズンズ』は、ロック・アルバムとしてはここ3~4年で最大のセールスを記録してマーケットを賑わせたにもかかわらず、こちらもモーガン・ウォーレンの『ワン・シング・アット・ア・タイム』に敵わず全米2位でした。個人的にはNFはリリースされるシングルを聴きまくっているアーティストである一方、メタリカはほぼ聴いたことがないアーティストなのですが、ロックの全米1位がかかっているリリースだったので、これもモーガン様には敵わないのか、と1位を逃したことに落胆しました。このように、今月は普通だったら1位を確実にとれるような莫大なセールス・ポイントを獲得したにもかかわらず、『ワン・シング・アット・ア・タイム』に首位を阻まれ2位に終わってしまったアルバムが多く、具体的には他にもTWICEとメラニー・マルティネスがそうでした。1位は完全に独走状態になっていて、まだまだ止まらなそうです。とはいえ、2位以下は変化が激しく、新作の高順位ランクインが次々に起きてそれらの粘着性も十分高いので、全体的には今のアルバム・チャートはすごく活発でいい感じです。📅
6.ルーク・コムズ
昨年6月にサード・アルバム『グロウィン・アップ』をリリースしたばかりなのに、今月早くも次作『ゲッティン・オールド』をリリースした、ルーク・コムズさん。タイトルから察するに、両者は連続作品(姉妹作、っていうの?)だと思われ、どちらも全米アルバム・チャートTop5入りしました。記録的には『グロウィン・アップ』が2位で『ゲッティン・オールド』が4位なのですが、後者のリリース時(今月)は他の強力な新作リリースが重なっていた時期だったので、数字が下がるのは仕方ないことでした。むしろ、初週の合計アルバム・セールスは後者の方が高かったみたいで、つまりそれだけ今月のアルバム・チャートは渋滞していたみたいです。最新作から "Fast Car" がチャートを大きく上昇しているルーク・コムズさん、「カントリー・ソングが約10年振りに全米1位」という大快挙は先月モーガンさんが既に達成してしまいましたが、同曲で今年2曲目のカントリー・ソング1位も全然ありえそう。🚗
7.テイラー・スウィフト
3月に2019年のアルバム『ラヴァー』の未発表曲が公開され、その影響で『ラヴァー』はアルバム・チャート上位に再浮上していたわけですが、それにしてもその効果が長い...と思っていたら、同アルバムの浮上要因はそれだけではありませんでした。ニュースで一応耳にしてはいたのですが、テイラーさんは3月頃から超久しぶりの大規模ツアーを行っていて、その影響で『ラヴァー』含め彼女のたくさんの過去作がアルバム・チャートの上位に上がってきているようです。確かに、『1989』(2014) や『フォークロア』(2020) もTop20入りしていました、何で?とは思っていたのですが。とはいえ、ツアーの開始がこのようなチャート・アクションを起こすケースは初めてです。聞いたことがありません。大物すぎるとこんなことがあるのか、とまた一つ学びました。...まあ、テイラーさん限定かもしれませんが。
サマリー
シングル・チャート > メキシコのラテン・アーティストが急伸!! & 10年以上振りスリーパー・ヒットがピーク!!
アルバム・チャート > モーガン・ウォーレンがまだまだ1位独走(7週連続)!しかし、2位以下の変動は激しく、たくさんの新作はみんな初週の威力も持続性も高い!!! & 水面下で初めて見たテイラー・スウィフトのツアー効果!!
来月中旬に放送されるユーロビジョン・ソング・コンテスト、
感想を記事にしてアップロードしようかなと考えているのですが、
ちょっとそのあたり忙しくてユーロビジョンを見るのも遅くなってしまう可能性があるので、
感想を書くにしても遅くなってしまうかもしれません。
🐦 誰に向けて言ってるの...?という感じですがご了承ください。今月もブログ読んでくださった方ありがとうございました。 🐦