QOOTESの脳ミソ

日記や旅の記録(現在進行中および過去の旅)がほとんどですが、たまに「腹黒日記風」になっているのでお気を付けください。

ケープタウン4日目はユダヤ人どっぷり&ホテルのバーでラグジャリアスな夕べ。

2024-09-16 08:40:20 | 日記
昨日喜望峰の近くで野良ダチョウを見て以来、頭の中にソフィアローレンが住みついて離れなくなってしまいました。


今日はそれほど予定も決めていませんでしたが、ひそかに行きたいところがありましたので、時系列を逆に一日の最後に行ったその場所の話から。

普段はあまりしないけれど海外を旅しているときにハードルが下がってすることの一つに、ハイブランドホテルのバーで酒を飲むことがあります。実はそんなに高くはないけれども、日本国内にいると僕はホテルのバーで飲むことは少ないのです。どうも敷居が高くて。因みに帝国ホテルのバーではたまに麻生太郎さんが飲んでいると聞いたことがあります。

しかし海外旅行中だと割とフットワーク軽く飲みに行けたりします。どうしてなんでしょうね。ま、あまり難しいことは考えずに行きますが。

ケープタウンには海沿いの「安全なエリア」にOne and Only Cape Townという高級ホテルがあります。高級リゾートと言うとアマングループくらいしか知りませんが(星のやクラスとは格が違います。)、以前、富裕層相手の旅行会社に勤めている友人に聞いたら「One and Onlyグループは超高級リゾートホテルグループだよ」と当然のように知っていました。

もちろんおそらく一泊数十万円もするようなホテルに泊まることはできないので、ケープタウンに来るとお隣のショッピングモールで買い物と食事をした後でバーに寄ってお酒を一杯飲んでホテルに帰るのがささやかな贅沢です。

安全なエリアにあるので、エントランスまではのんびり歩いていきます。そうすると入り口が見えます。





入り口を入ると、このようにバーが広がっています。





このホテルのバーの景色が本当に好きで好きで仕方ありません。

今日はピニャコラーダをいただきました。195ランド=1592円です。ホテルのバーと言うと身構えてしまいますが、実は無茶苦茶に高いわけではないのです。実はそれは日本でも同じです。



しかもホテルのバーなので深酒をすることは求められていません。一杯だけ飲んで「おやすみ」とさらっと帰ってきても特に失礼ではないと思います。

海外のホテルのバーでのんびりお酒を飲むのは、旅先で普段とちょっと違うことをしてみるのにちょうどいいレベルの贅沢だと思います。

因みにシンガポールではフラトンホテルのバーが非常にいいですね。男性陣で落としたい女の子がいるときはお連れになるとうまくいくかも知れません。もっとも一緒にシンガポールやケープタウンに行ってくれる時点でその必要はないかもしれません(笑)。

そういうことでケープタウンに来るときは毎回このOne and Only Cape Townのバーに行くのですが、今回はいつにしようかと考えていました。僕は宴の後のような日曜日の夜の空気がとても好きなので、今回も今日まで待つことにして正解。狙いはばっちりで、けだるい日曜日の夜の空気を存分に楽しみました。

ピニャコラーダも非常に美味しかったです。今度はモヒートがいいですね。

では昼間に戻って。今日は博物館美術館に行くつもりだったものの、数日前の日記に書いた通りこういう国際情勢なのでシナゴーグとユダヤ人博物館は開館していないと思いつつ前を通ったら開館していたので、入ってみました。

昨今のイスラエルに腹を立てている皆さんはここからは見ない方がいいかもしれません。お気を付けください。

僕はイスラエルにもパレスチナというかハマスにもどちらにも感情移入はしていないからです。

今どうなっているのかは知りませんが、僕が学部生だった頃の国立大学の多くは、それぞれ〇〇学部の専門課程に入る前の2年間のほとんどは教養学部(または教養課程)という期間で、興味の赴くままにいろいろな授業を取ることができ浅く広く興味を深めることができました(と言っても大学なのでそれなりに深みはある)。

この教養学部には時間の無駄だからさっさと専門課程だけをやればいいという批判もあったので、もうなくなっているかもしれませんが、僕としては世界を広げることができて、しかも3年次からは完全に理系文系それぞれの専門課程に散っていくいろんな学年の学生と一緒に学問を深めることができる、大学ならではの時間でいいなぁと思っていました。

その時に政治学の教授が少人数でやっていた授業を取って、一年間パレスチナ問題についてみんなで発表しあったんです。結局知れば知るほどイスラエルもパレスチナもどちらも悪いとは思えず、唯一悪いと言えるとしたら、それはイギリス人。と言いつつも、今のイギリス人ではありません、当時のイギリス人です。

授業では結局結論なんて一切出ません。教養課程の一年の授業で結論が出るようなら、これほど長い間に渡って問題が解決されないはずはありません。

ということで、新宿や渋谷の駅前でパレスチナ=善、イスラエル=悪と言う図式でシュプレヒコールを上げている人を見ると、よくそこまできっぱり結論が出せたなぁと半ば感心するんです(半分は皮肉です)。毎日攻撃されるパレスチナの一方で、単にライブを楽しんでいただけなのに大量誘拐されて、少しずつ殺されるイスラエル人の人質もいる、こんな状況で僕はどちらにも感情移入はできません。

僕がああいう市民運動をするなら、パレスチナを応援していても、同時にイスラエルの人質を早く解放するようにもパレスチナ側に求めると思いますね(先方に届くかどうかはわからないけどそれが正当だと思います)。

そんなこんなで、僕は特にどちらにも悪い感情は持っていないので、ユダヤ博物館が開館していると知った今日、喜んでその門をくぐったわけです(笑)。

敷地内にはシナゴーグの隣に事務棟のようなところがあります。金属探知機はもちろんのことパスポートも厳重にチェックされて中に入ると、物騒なケープタウンの町中にありながらのんびりとした空間が広がっていました。



順路としてはまずシナゴーグからです。ここケープタウンのシナゴーグは南アフリカの中でも一番古いそう。でも中が非常にきれいなので受付のおばちゃんに「リノベーションでもしてあるんですか?」と聞くと、「少しきれいにしただけで、ほとんど昔のままなのよ」と。




シナゴーグは旅先で見学できるところがあるとまず間違いなく行ってみるのですが、中でもローマのシナゴーグがとんでもなく荘厳で非常に良かったです。天井はカトリックの教会と同じくらいで非常に高く、でもカトリックの教会と違って少し陰のある感じ。

その時対応してくださった解説員さんに、シナゴーグに入るときはまずユダヤ人が被っているお椀のような帽子を被ってくださいとビジター用のを渡されました。で、そのあとイタリアのユダヤ人の歴史について懇切丁寧に解説。

ケープタウンとは関係ないですけど、ちょっと書きます。

イタリアにユダヤ人が多いのは、意外にも当時はスペインの方がカトリックの教義に厳格でユダヤ人を歓迎しなかったからとのことでした。スペインに比べるとイタリアはカトリック以外の信徒にもそれほど厳しいことはなく、それでユダヤ人が多くなりシナゴーグまで建てるほどになったとか。

ケープタウンのシナゴーグの話に戻りますね。

シナゴーグを抜けると展示物があるコーナーです。地下と一階に展示がありました。そのエリアに入っていくと少し離れたところの受付デスクのおじいちゃんが(よく来たね)と僕に手を振ってくださいました。

展示の内容は南アフリカのユダヤ人の歴史や彼らの生活について。日常生活がよくわかるように、典型的なユダヤ人の自宅が復元されているセクションもありました。以前期間限定展示だと思った根付や刀のつばなどは、ケープタウンにいたユダヤ人実業家の蒐集品で常設展でした。





南アフリカのユダヤ人では、ソ連やナチスドイツの侵略から逃れてきたリトアニアの人が多いようでした。その中でも南アフリカでは有名なご一家がいるそうで、その人たちの系譜が細かく展示されていたのですが、僕の前に老婆とその息子が展示を見ていたので待っていると、おばあちゃんの方はどうやら展示されている人々がどんな人かと言うのがわかっているよう。おばあちゃんの親や祖父母の世代の人ですからね、きっと。

民族の強い結びつきを感じました。

こんなご時世だからか僕のようなユダヤ人に強い偏見のない外国人を歓迎してくれたようで、スタッフの皆さんがやたらと親切にしてくださいました。日本はナチスドイツと三国同盟を結んでいたけれども、同時に命のビザの杉原千畝さんがいるので日本人自体の印象はいいのかもしれません。建物の中に杉原千畝さんの展示もありました。

ああ、ここでは政治の話は書かないつもりだったのに書いてしまいました(汗)。でも、シナゴーグって静謐な空間ですごく居心地がいいんです。そしてそこにいるといろいろなことが頭に浮かんでしまう。

政治は大嫌いなのですがだからと言ってまったく知らないのは自分の首を絞めます。知っておかなければ距離を置くことはできないからです。それでひそかに最低減の情報だけは入れるようにしているんですが、そういうのを念頭に行動しているところもあるので、日記にはたまに書かざるを得ないんです。

それに世の中には意見の強すぎる方が多いじゃないですか(笑)。パレスチナとユダヤ、自分のポジションをどちらかにさっと決めてしまえる人とは、知れば知るほど誰も悪くないと思うような僕はうまく議論なんかできないので、怖いんですよね(困)。

万が一議論を吹っ掛けられても「あなたのおっしゃる通りです」としか言いません。

最後に国立博物館に行ったんですが、入ってすぐのところに「アフリカのイブ」の足跡がありました。すべての人類の大元になった女性の足跡です。(これも実は違うとか諸説あるのはわかってるので、議論吹っ掛けてこないでください(笑))。


とにかく、「アフリカのイブ」は愛知万博以来の再会で非常に嬉しかったです。