昨日のエイプリルフールJ庭にお越し下さったお客様ありがとうございました。
OSをアップグレードしたためにペーパーがプリントが出来ない!!という事態になりまして申訳ありませんでした。
ペーパー用に書いたショートストーリーです。
中身はもやもやです~
お題は桜ということで。
桜の季節になると思い出すことがある。この桜並木がまだ若木だった頃の話だ。
俺は高校を卒業して僕は東京の大学へ あいつはは地元の大学へ進学することになっていた。
前年に父親が倒れていなければあいつも東京の大学に進んだに違いない。
だが、家の事情であいつは地元に残ることに決めたのだ。
子供の頃からずっと同じ学校に通っていた。クラスは違っても登下校は一緒だった。
そんなあいつと初めて別の道をいくことになるのだ。一人で東京にいくことの不安もあった。
あいつはそんな俺の気持ちを見越したように笑った。
「東京に行っても俺のことを忘れるなよ」
そう言ってあいつは頭一つ分背の低い俺の頭を撫でた。
何気ないいつもの仕草だった。
「忘れるもんか、毎月手紙を書くよ」
そう言いながら俺はあいつの手を掴んだ。そして、いつものように整備されたれたばかりの桜並木を歩く。
若い桜の木にもそれなりに花が咲いていた。今のように咲き誇る感じではなく楚々と花をつけているという風だった。
あいつは花を見上げ、ぽつりと俺に言った
「俺もお前と一緒に東京に行きたかったな」
「遊びにくればいいよ」
俺は簡単に言い放った。
「そうだな」
あいつも頷いた。
「そうできればいいな」
その時の俺にはあいつの家の事情がよく解っていなかった。
父親が倒れて長期入院を余儀なくされていて家業は立ちいかなくなっていたのだ。
地元に残って母親と交代で父親の介護をしなければならなくなったあいつには東京に行くゆとりなどなかったはずだ。
奨学金制度のおかげで何とか大学進学もかなったのだから。
突然の風が桜の花びらを巻き上げ俺たちを包んだ。その時、あいつが俺の身体を引き寄せた。
「花びらがついている」
そう言いながらあいつは俺の額に息を吹きかけた。はらりと薄紅色の花びらが俺の瞼の前を滑っていった。
あいつの息がかかった場所が熱く感じられた。
「離れたくないよ」
俺の口から言葉がこぼれた。あいつの腕が俺を抱きしめた。
俺は東京で大学を出て就職した。
忙しさにひと月に一度だった手紙は二月に一度となり、半年に一度となっていった。
あいつは父親の介護をし、介護疲れで倒れた母親の面倒も見なければならなくなったそうだ。
そんな中で何とか大学を卒業し、両親とも看取ったと聞いた。
その後は知らない。
出した手紙は戻って来てしまった。
今でも思う、あの時あいつはどうしたかったのだろうと。
俺はあいつに抱きしめられて甘酸っぱい気持ちになった事を今でも忘れてはいない。
それどころか、この桜の花のように年々鮮やかな記憶となって俺を戸惑わせる。
早期退職で東京の会社をやめた俺はこの町に戻って来た。
桜の季節になるとここを散歩する。
もしかしてあいつも同じ気持ちでいるかも知れない。
もしかするとあいつもここを歩くかも知れないと期待しながら。
OSをアップグレードしたためにペーパーがプリントが出来ない!!という事態になりまして申訳ありませんでした。
ペーパー用に書いたショートストーリーです。
中身はもやもやです~
お題は桜ということで。
桜の季節になると思い出すことがある。この桜並木がまだ若木だった頃の話だ。
俺は高校を卒業して僕は東京の大学へ あいつはは地元の大学へ進学することになっていた。
前年に父親が倒れていなければあいつも東京の大学に進んだに違いない。
だが、家の事情であいつは地元に残ることに決めたのだ。
子供の頃からずっと同じ学校に通っていた。クラスは違っても登下校は一緒だった。
そんなあいつと初めて別の道をいくことになるのだ。一人で東京にいくことの不安もあった。
あいつはそんな俺の気持ちを見越したように笑った。
「東京に行っても俺のことを忘れるなよ」
そう言ってあいつは頭一つ分背の低い俺の頭を撫でた。
何気ないいつもの仕草だった。
「忘れるもんか、毎月手紙を書くよ」
そう言いながら俺はあいつの手を掴んだ。そして、いつものように整備されたれたばかりの桜並木を歩く。
若い桜の木にもそれなりに花が咲いていた。今のように咲き誇る感じではなく楚々と花をつけているという風だった。
あいつは花を見上げ、ぽつりと俺に言った
「俺もお前と一緒に東京に行きたかったな」
「遊びにくればいいよ」
俺は簡単に言い放った。
「そうだな」
あいつも頷いた。
「そうできればいいな」
その時の俺にはあいつの家の事情がよく解っていなかった。
父親が倒れて長期入院を余儀なくされていて家業は立ちいかなくなっていたのだ。
地元に残って母親と交代で父親の介護をしなければならなくなったあいつには東京に行くゆとりなどなかったはずだ。
奨学金制度のおかげで何とか大学進学もかなったのだから。
突然の風が桜の花びらを巻き上げ俺たちを包んだ。その時、あいつが俺の身体を引き寄せた。
「花びらがついている」
そう言いながらあいつは俺の額に息を吹きかけた。はらりと薄紅色の花びらが俺の瞼の前を滑っていった。
あいつの息がかかった場所が熱く感じられた。
「離れたくないよ」
俺の口から言葉がこぼれた。あいつの腕が俺を抱きしめた。
俺は東京で大学を出て就職した。
忙しさにひと月に一度だった手紙は二月に一度となり、半年に一度となっていった。
あいつは父親の介護をし、介護疲れで倒れた母親の面倒も見なければならなくなったそうだ。
そんな中で何とか大学を卒業し、両親とも看取ったと聞いた。
その後は知らない。
出した手紙は戻って来てしまった。
今でも思う、あの時あいつはどうしたかったのだろうと。
俺はあいつに抱きしめられて甘酸っぱい気持ちになった事を今でも忘れてはいない。
それどころか、この桜の花のように年々鮮やかな記憶となって俺を戸惑わせる。
早期退職で東京の会社をやめた俺はこの町に戻って来た。
桜の季節になるとここを散歩する。
もしかしてあいつも同じ気持ちでいるかも知れない。
もしかするとあいつもここを歩くかも知れないと期待しながら。