テレビの情報番組や雑誌の特集にチョコレートが数多く登場するのでそう言えばもうすぐヴァレンタインだと気がつきました。
チョコレート会社の宣伝にのせられて世の女性はチョコレートを買い求める。
自慢じゃないが私はオトコに本命チョコレートをあげたことなどない。
義理チョコのみ。
寂しい人生なのでしょうか。
愛猫にはチョコでなくカニカマをあげる予定です。
デパートのチョコレート売り場はどこもごった返していた。
「並んで下さい。メゾン・ド・ショコラの最後尾はこちらです」
声を張り上げて案内しているのは大柄な大学生の鈴木である。
短期で時給がいいバイトと思って応募したのだが、ヴァレンタイン前のチョコレート売り場がこんなに混雑するなんて知らなかった。
小学校からずっと男子校だったのでヴァレンタインなんて行事もろくすっぽ知らない。
お客様の案内、誘導なんて楽なものだと高を括っていたのだが、早くお目当てのチョコレートを獲得したい女性達の発する熱気は殺気立っていて恐ろしい。
「よ、がんばっているな」
鈴木に声を掛けたのは、同じく大学生バイトだが年上の山下だ。
山下はチョコレートの搬入を任されている。華奢だが丁寧な仕事をする山下は去年もこの仕事をしていたので馴れた様子でチョコレートを扱っている。この時期はチョコレートが大量に売れるので一日2,3回このデパートに搬入しているのだ。店内は暖房が効いているし、ケース二つ分しかないスペースに置いておける量も決まっている。
「明日は当日だから君も定時に帰れるよ。一緒に飲みに行こう」
山下の申し出に鈴木は頷いた。
ヴァレンタイン当日。
山下が言った通り、女性客は多くない。たまに急に予定が入ったのだろうと思われるキャリアウーマンふうの女性が義理とわかる値段のチョコレートを買っていくだけである。
「従業員用出口の前で待ってるよ」
山下に言われ、鈴木は頷いた。
山下がよく立ち寄るという小料理屋。
おいしい料理に舌鼓を打ち、鈴木は勧められるままに酒を飲んだ。
小料理屋を出て、少し酔いざましにと山下が小さな公園へと歩き出した。
二人でベンチに座り、山下がポケットから小さな包みを鈴木に差し出した。
「ハッピーヴァレンタイン」
「ん?」
鈴木が包みを開くとそこには小さなチョコレートが3つ並んでいた。
「デザートがわりに食べてみて」
山下はそう言うとチョコレートをつまんで鈴木の口の中に放り込んだ。
「う、うまい、、」
「メゾン・ド・ショコラのチョコレートだよ」
「売っているのに食べてなかったな。これなら売れるはずだよな」
鈴木が感心していると、山下はもう一つチョコレートをつまみ鈴木の口の中に入れた。
「山下さん、オレばっかりじゃなく山下さんも食べて下さいよ」
「いいの?」
山下が鈴木に顔を近づけた。綺麗な顔だなと鈴木がボンヤリ思っている間に、山下は鈴木の唇に唇を合わせていた。チョコレートの甘さの残る口の中で山下の舌が蠢く。酔っていて思考がまとまらない鈴木はただ翻弄されるだけである。山下の接吻は巧みで気がつくと鈴木の下半身は反応を示していた。
「ボクの部屋に行こう」
妖しく目を輝かせた山下の申し出を鈴木は断ることが出来なかった。
チョコレート会社の宣伝にのせられて世の女性はチョコレートを買い求める。
自慢じゃないが私はオトコに本命チョコレートをあげたことなどない。
義理チョコのみ。
寂しい人生なのでしょうか。
愛猫にはチョコでなくカニカマをあげる予定です。
デパートのチョコレート売り場はどこもごった返していた。
「並んで下さい。メゾン・ド・ショコラの最後尾はこちらです」
声を張り上げて案内しているのは大柄な大学生の鈴木である。
短期で時給がいいバイトと思って応募したのだが、ヴァレンタイン前のチョコレート売り場がこんなに混雑するなんて知らなかった。
小学校からずっと男子校だったのでヴァレンタインなんて行事もろくすっぽ知らない。
お客様の案内、誘導なんて楽なものだと高を括っていたのだが、早くお目当てのチョコレートを獲得したい女性達の発する熱気は殺気立っていて恐ろしい。
「よ、がんばっているな」
鈴木に声を掛けたのは、同じく大学生バイトだが年上の山下だ。
山下はチョコレートの搬入を任されている。華奢だが丁寧な仕事をする山下は去年もこの仕事をしていたので馴れた様子でチョコレートを扱っている。この時期はチョコレートが大量に売れるので一日2,3回このデパートに搬入しているのだ。店内は暖房が効いているし、ケース二つ分しかないスペースに置いておける量も決まっている。
「明日は当日だから君も定時に帰れるよ。一緒に飲みに行こう」
山下の申し出に鈴木は頷いた。
ヴァレンタイン当日。
山下が言った通り、女性客は多くない。たまに急に予定が入ったのだろうと思われるキャリアウーマンふうの女性が義理とわかる値段のチョコレートを買っていくだけである。
「従業員用出口の前で待ってるよ」
山下に言われ、鈴木は頷いた。
山下がよく立ち寄るという小料理屋。
おいしい料理に舌鼓を打ち、鈴木は勧められるままに酒を飲んだ。
小料理屋を出て、少し酔いざましにと山下が小さな公園へと歩き出した。
二人でベンチに座り、山下がポケットから小さな包みを鈴木に差し出した。
「ハッピーヴァレンタイン」
「ん?」
鈴木が包みを開くとそこには小さなチョコレートが3つ並んでいた。
「デザートがわりに食べてみて」
山下はそう言うとチョコレートをつまんで鈴木の口の中に放り込んだ。
「う、うまい、、」
「メゾン・ド・ショコラのチョコレートだよ」
「売っているのに食べてなかったな。これなら売れるはずだよな」
鈴木が感心していると、山下はもう一つチョコレートをつまみ鈴木の口の中に入れた。
「山下さん、オレばっかりじゃなく山下さんも食べて下さいよ」
「いいの?」
山下が鈴木に顔を近づけた。綺麗な顔だなと鈴木がボンヤリ思っている間に、山下は鈴木の唇に唇を合わせていた。チョコレートの甘さの残る口の中で山下の舌が蠢く。酔っていて思考がまとまらない鈴木はただ翻弄されるだけである。山下の接吻は巧みで気がつくと鈴木の下半身は反応を示していた。
「ボクの部屋に行こう」
妖しく目を輝かせた山下の申し出を鈴木は断ることが出来なかった。