801的暴走妄想日記

やおい=ボーイズラブにどっぷり浸かった貴腐人・小泉タマラの妄想記録(笑)腐女子脳内にて発酵された事柄です。ご了解下さい。

薔薇が花盛りです

2006年05月08日 | ボーイズラブ話
大家さんちのハイブリッドローズが咲き誇ってます。
2階まで達している薔薇です。
見上げると美しいのですが、一階の我が家の軒先には様々な害虫が降ってきます。
カイガラムシやアブラムシくんです。
うどん粉病や黒星病なども回ってくることがあります。
結果・我が家の軒先で薔薇を育てるのは諦めました。
専ら病害虫が重ならないハーブ類や日本原種の百合だのセキチクだのを育ててます。

お花は好きなんですけどね~
ということで、続き物の妄想話を書いてみようかと思います。


都で萬華楼といえば、遊び人には知られた少年ばかりを集めた郭でした。
楼の名に因んで少年達は花の名前を付けられました。
萬華楼の主・松風というのはは不思議な男で、少年の面相を見てぴたりと合う名を付けることができたのでした。


「顔立ちは、悪くはないだろう。今回の旅では一番の上玉だ」
女衒の貞二郎は田舎から連れて来られたばかりの少年の顎を上げさせました。
萬華楼の裏口、松風は縁側に座り煙草を嗜みながら貞二郎が連れてきた少年をながめました。
秋から冬にかけて、収穫が終わり税を納める頃に女衒は子供を買いに山村を歩くのです。
不作の年ほど大勢の子供や娘が安く売られてきます。
「これで一番の上玉かい?今回は不作だな」
松風の言葉に少年は憤りを込めた目で松風を睨みました。貞二郎はそんな少年の様子を咎めるわけでもなく松風に頷きます。
「ああ、今年は稲が豊作だったからな」
今年は実りが良かったために子供を手放す家には相応の事情がありました。父親が亡くなったり、家族の誰かが病気になって薬代が必要になったり。少年は好きで売られてきたわけではないと頬を膨らませています。そんな態度を示す子供も少なくないのか松風は呟くように言いました。
「まあ、新顔がいないと客も退屈するからな」
「そう言うと思っていたよ」
貞二郎は松風だけに分かるホッとした顔をのぞかせました。女衒といっても貞二郎は買ってきた子供を余り酷い店には売りたくはないと思っておりました。萬華楼は面倒見のよい郭で、少年たちが大人になってしまった時には身の振り方まで考えてくれる場所でした。
「歳はいくつだ」
松風に訊ねられても少年は憤りの表情のまま、口を開こうとはしませんでした。
「お前、旦那様に挨拶も出来ないような親に育てられたのかい?」
貞二郎が少年に注意しました。長く少年、少女を扱ってきた貞二郎は子供の心の内を良く心得ています。自分を売った親でも、子供は親を庇うものです。
「・・・七歳」
「何でも教えるには丁度良いころだ。学校か寺子屋には行っていたのかい?」
少年は首を振りました。
「ここで読み書きを覚えるがいいよ」
松風の言葉に少年は少し表情を緩めました。
「お前の名は・・・そうだねえ・・」
松風は煙草に火をつけてぷかりとふかしてから言いました。
「そうだ、お前はナズナがいい」
「ナズナか、いい名だね。お前は今日からこの郭で働くんだよ」
貞二郎はナズナの肩を叩きました。
「おい、アトリ」
松風が奥に向かって呼ぶと、地味な紬の着物を身に着けたほっそりとした美人が姿を現しました。
ナズナは数秒その美人に見ほれ、それから先ほどの松風の言葉を理解しました。田舎では綺麗な顔立ちの子供と言われていたナズナですが、都にはこれだけの美貌の者が大勢いるのでしょう。途端に『不作』といわれて不貞腐れていた自分が恥ずかしくなりました。
「アトリ、新入りだ。名はナズナ。細かいことは教えてやってくれ」
「はいよ」
そう言いながら、アトリは自分のあとに付いてくるように促しました。
「さて、旦那達は久しぶりにこれから一緒に酒でも飲みに行くだろうサ。あんたは今日からここで働く。一番下っ端だからたくさん用事を言い付かるだろうが、みんな一番下からはじめたんだから」
長い廊下を歩きながらアトリはナズナに説明します。美人だが、言葉はそれ程良くないなとナズナはアトリを見上げて思いました。
「ここが台所、店でたくさん使うからいつも湯は沸かしてる。最初の仕事は糊焚きの手伝いさ」
そう言ってアトリは竃の前に立っている男を呼びました。
「ナズナだ。見習いだからいろいろ教えてやっとくれ」
「分かった、新入りだな。元気が良さそうだね。オレはヤマネ。年期が明けてからも萬華楼(ここ)においてもらっている」
男は身体は大きいが愛嬌のある顔をしていました。
「言っとくけど、ヤマネ。教えるのは雑用仕事だけだからな。若くて可愛いからって商品に手を出すんじゃないぞ」
アトリの言葉にヤマネは笑って言い返しました。
「なんだ、アトリ。旦那様だってお前に手を出したじゃないか」
「旦那様とオレとは相思相愛だ」
ヤマネを睨みつけるアトリを見て、ナズナはこの綺麗な人が男だということに初めて気がついたのでした。
「言っておくがな、ナズナ。旦那様はオレのものだからな」
「相思相愛といいながらナズナを脅すのか?」
「何も知らない新入りに、『旦那様を籠絡すれば故郷に帰れる』と誰かが嘘を教えて大騒ぎになったのはいつだっけ?先に教えておいたほうが良いだろう」
アトリはそう言うとナズナをヤマネに預け、もときた廊下をすたすたと帰ってゆきました。
「アイツももう少し色っぽくしときゃあ旦那様も目移りしないのにな」
独り言のように呟くヤマネにナズナは疑問を投げ掛けました。
「旦那様って、あの綺麗なアトリさん以外に目移りするの?」
「まあ、アトリがあの通り跳ねっ返りだからな。旦那様は男っぷりも良いし優しいしで、郭の妓たちも口説かれれば靡くだろう。ま、旦那が浮気するのはアトリが強情張ってごねたときだな」
「ふうん」
「お前には未だ分からないかもしれないが、誰かに優しく慰めて貰いたいときが男にはあるのさ」
そう言ってから、ヤマネはナズナに最初の仕事・火の番をすることを教えました。



続く~です。
こんな妄想書いてないで、同人誌書けと言われそうです。
私もそう思います・・・。


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