22.5.28 NHK News WEB 中国外相 太平洋島しょ国歴訪 警戒感払拭させるねらいか
と題した以下のURLのNHKニュースのスクリプトを記録します。NHKはWeb Newsを1週間後には消してしまいますので:
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220528/k10013647881000.html
太平洋の島しょ国を歴訪中の中国の王毅外相は28日、3番目の訪問国サモアでフィアメ首相と会談し、この地域との関わりについて「他国の内政に干渉したり地政学的な利益を追求したことはない」と強調し、中国に対する警戒感を払拭(ふっしょく)させたいねらいがあるとみられます。
中国の王毅外相は26日から10日間の日程で、太平洋の島しょ国など8か国を訪問していて、ソロモン諸島、キリバスに続いて28日、3番目の訪問国サモアでフィアメ首相と会談しました。
中国外務省によりますと、会談でフィアメ首相は経済や貧困対策などの分野で中国との交流を強化したい意向を示したのに対し、王外相も島しょ国などの発展や振興を支持する考えを示しました。
そのうえで王外相はこの地域との関わりについて「中国は他国の内政に干渉したり地政学的な利益を追求したことはない。オーストラリアやニュージーランドなどとも意思疎通を強化し、それぞれの強みを生かして協力していきたい」と述べました。
今回の一連の訪問をめぐっては、アメリカや周辺国が中国がこの地域への影響力を一層拡大させようとしているとの見方を示す中、王外相としてはこうした警戒感を払拭させたいねらいがあるとみられます。
「一帯一路」を掲げ影響力拡大 台湾けん制のねらいも
中国の習近平指導部は巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げ、巨額の支援や投資をてこに太平洋の島しょ国への影響力を拡大してきました。
これらの国は広大な排他的経済水域を持ち、水産資源や海底資源なども豊富なことから、開発を支援することで、こうした資源を確保したい思惑があるとみられます。また、安全保障の面からもこの地域におけるアメリカの影響力を排除したいねらいもあるとみられます。
中国は先月、ソロモン諸島と安全保障に関する協定を締結しましたが、アメリカとオーストラリアのシーレーン上にも位置する重要な地域とされるだけに中国が軍の部隊を常駐させるのではないかという懸念が広がりました。とりわけ将来的な台湾有事も見据え太平洋地域でのアメリカ軍の活動を制限したい意図があるとみられていて、アメリカなどが警戒を強めています。
また台湾との関係も大きな要素です。この地域には台湾と外交関係を持つ国が多くありましたが「1つの中国」の原則を認めない蔡英文政権の発足以降、中国は切り崩しを強め、3年前には、ソロモン諸島とキリバスが相次いで台湾と断交して中国と国交を結びました。
太平洋地域にはパラオやマーシャル諸島など今も4つの国が台湾との外交関係を維持しており、中国としては、この地域への影響力を強めることで台湾をけん制するねらいもあるとみられます。
島しょ国 対中国で温度差
14か国ある太平洋島しょ国の中には、中国に接近する国がある一方でアメリカとの関係を重視する国もあります。
このうちソロモン諸島とキリバスは、3年前に台湾と断交して中国と国交を結び関係を強化しています。
ソロモン諸島は先月、中国と安全保障に関する協定を結んだほか、キリバスもおととし、中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」に関する覚書を交わし中国側と経済協力を進めていくことなどで一致しています。
その一方で、アメリカとの関係を重視する国もあります。
台湾との外交関係を維持するパラオやマーシャル諸島などはアメリカに国防を委ねています。
島しょ国の間に中国に対する温度差がある中、この地域を長年、主要な援助国として重視してきたのがオーストラリアです。
今月就任したばかりのアルバニージー首相は、気候変動が島しょ国にもたらす甚大な被害を軽減するためインフラ投資などの支援を行う方針を示しています。
海面上昇など気候変動に伴う危機にさらされる国々に支援を行っていくことで、島しょ国との関係をつなぎ止めようという思惑もあるとみられます。
専門家「島しょ国 自国に利益となる国を重視」
太平洋島しょ国の情勢に詳しい専門家は、太平洋地域が中国とアメリカのせめぎ合いの場となる中、島しょ国はあくまでもインフラ整備や気候変動対策など自国の利益となる分野への支援を提供する国を重視する立場だと指摘します。
オーストラリアのシンクタンク「ローウィー研究所」のミハイ・ソラ氏は「太平洋の島しょ国は『自分たちはアメリカと中国が繰り広げる地政学的な競争の当事者ではない』とのメッセージを発していて、自国にとって利益となる国との関係を強化したいとの立場だ。どの国と関係を深めるのかは島しょ国が主権国家として決めることだと考えている」と指摘しています。
そのうえで今月就任したばかりのオーストラリアのアルバニージー首相が太平洋島しょ国への支援を強化する姿勢を示していることについて「今、オーストラリアは気候変動対策や民主主義を強固なものにすることなど島しょ国の住民が求めている分野で支援を提供し、存在感を示そうとしている。オーストラリアが島しょ国との関係強化に乗り出している背景には、中国の影響力拡大という脅威があるとともに、オーストラリアがこれまでこの地域との包括的な関係を十分に築くことができていなかったという事実もあるだろう」と述べ、今後、島しょ国との関係をつなぎ止めようとするオーストラリアの動きが活発化するとの見方を示しました。
ーーー以上、NHKスクリプトですーーーー
このスクリプトの最後に「オーストラリアがこれまでこの地域との包括的な関係を十分に築くことができていなかったという事実もある」とあります。
一方、日本はJICAや世銀を通じて、この島嶼国地域への包括的な支援事業を、半世紀以上継続してきており、その実績の上で1997年から3年に1度太平洋・島サミットを9回開催してきており、日本首相は必ず議長役を受け持つなどの、努力を積み重ねてきています。
外務省・外務大臣におかれては、コロナ疫収束を睨んで、わが国の南太平洋地域へのさらなる支援テコ入れについて、ハイブリッド・エンジンを強力に噴かせて進めて頂きたいところです。