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あの高校時代の、馬鹿なオレ。

あの高校時代の頃、

倫理・社会のセンセの頭部には、

会計をする必要がないのに、バーコードが付いてた。


よく見ると、

整髪料で、その少ない毛髪を無理矢理、

右から左に貼り付けて、

頭皮には必要以上に振りかけた整髪料で、

脂を浮かべている。

それが商品価値をアピールする為のバーコードで、

なんとか、頭部に、倫理感を、保たせていたのだ。


そして、センセは、

いつも同じタイプの白い開襟シャツを着て、

狸のように、その立派なお腹を突き出していた。

それも、彼の、哲学であり倫理感だったんでしょうか。


高校の2年生だったと思う。

その狸のセンセの授業があったのは。



教科書を、読みあげるだけの

非常に、退屈な授業で、

クラス中が、睡魔と斗っていた。



その斗いに勝とうとする倫理感が、

こちら側には、毛頭(もうとう)なく、

負ける者が、多数、出没した。



「 コラッ、寝てんじゃない、起きろ! 」と、

授業の講義より、負傷した生徒への抗議の時間の方が、

長かったような気がする。



ある日から、

授業の前に、生徒を順番に、

最近、自分が思ったこと、感じたことを、

3分間、しゃべらす、スピーチの時間を、

狸のセンセは、始めた。



少しでも、緊張感を、生徒に持たせようと、

倫理的に、哲学的に、

狸のセンセは、思考したんだろうか。



オレの番が、まわって来た。

「中世のイタリア、ボローニャ大学とかでは、

生徒が、教授を雇っており、

ツマラナイ授業をする教授を、

生徒が教授をクビに出来たんだそうです。」と、

この夏、世界史の本で、

仕入れたばかりの話を、早速、披露してみた。



狸のセンセは、苦虫を噛みつぶしたような顔をした。

そんな時、狸は、なにに、化けるのだろうか。



高校の3年生も終わりに近づき、

大学受験のシーズンがすべて終わった。

オレは、すべての受験に、失敗した。



卒業式をキザに欠席したオレは、

今後のために、卒業証明書というものを、

受け取りに学校に行き職員室をおとずれた。



そこに、狸のセンセがいて、

「お前は、頭が良かったんじゃないのか、

どの大学も引き取ってくれなかったのか」と、

倫理的に、哲学的に、

オレを励(はげ)ましてくれた。


狸のセンセ、ありがとう。

狸のセンセが、おっしゃるような頭の良さは、

オレには、持ち合わせがなかったんですよ。

そして、一浪で、大学に、滑り込りこんだ。


刺激的な、ワクワクするような授業ができないなら、

自然と生理的に眠りたい生徒には、

自然と生理的に眠らせてあげたほうが、

倫理的にも、哲学的にも、

良い選択では、ないんでしょうか。

ねぇ、狸のセンセ。



センセ、センセッ、

ちゃんと、聞いているんですかぁ?



あれッ、寝ているよ、

センセは、やっぱ、狸だ。



ホントは、

オレって柄じゃないんだけどね。

 

(2017/08/29 07:17 再記載 一部改訂)

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