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笑い展

2007-02-09 00:49:47 | 美術[わ]
「日本美術が笑う展」&「笑い展」@森美術館

 美術作品の中の笑いに焦点をあてた展覧会らしいので、いったい何を見られるのかと、去年からちょいと楽しみにしていた。

 「日本美術が笑う展」は日本の芸術作品の中の笑いを集めた展示。まず、笑っている埴輪たちに迎えられる。とぼけた顔の動物ハニワ君にはマイッテしまう。それからいろいろな絵画のおもろい登場人物や、ひょうきんな顔した動物、円空、木喰の仏像まで出てきた。河鍋暁斎の「放屁合戦絵巻」のばかばかしさ。ギメ東洋美術館展にあった「釈迦如来図」の迫力に満ちた筆致とは大違いのグタグタな男どもが肛門丸出しで屁をこいて試合をする、そのカメハメ波みたいな屁爆弾に吹き飛ばされる敵陣、芋を食う、鼻をつまむ、逃げ惑う、がんばりすぎて実まで出ちゃった奴、それを真面目くさって評価する審査員たち、etcという、ろくでもない絵巻物2巻がビデオで流れていた。まったくろくでもないくせに長い。鳥文斎栄之「三福神吉原通い図巻」もいい。すけべそうな3人の神様が舟に乗って吉原に馳せ参じる絵巻物。ずっとおさえた色合いの風景が続き、最後に吉原の座敷ではしゃぐ神様たちを取り巻く、花魁たちの煌びやかな色合いへの大変化がすごい。

 「笑い展」は現代アートの中の笑いがテーマ。いろんな絵画、立体、ビデオ、イベントなどの「おかしみ」を世界中から集めた展示。すごいバカやってる人たちが世界中にいるのだ。鳥光桃代「Horizons」は、匍匐前進する原寸大のサラリーマン宮田二郎を作った人の作品、匍匐前進するスパイかな? けっこう広い枠の中で20センチくらいのスパイが100匹以上匍匐前進で右往左往していた。電池で動くんだろうけど、スパイが行き詰ると、係りのおねいさんがスパイをつかまえて別の方向に置きなおすために右往左往していた。まったく手のかかるスパイどもだ。会田誠「日本に潜伏中のビン・ラディンと名乗る男からのビデオ」・・・あのテロリストが日本に潜伏していたとは驚きだ。こいつは、こたつでイカを食いながら酒を飲みながら、ペヤングを食いながら、ぬるま湯の生活にうつつをぬかしていた。

 会場のあちこちで「うふ」「わは」「へへへ」「なにこれぇ」と笑いが起きる。腹から笑うこともあれば、腸のぜん動運動だけのときもある。鼻で笑うこともある。失笑を買うこともある。笑いのがすこともある。見てる人たちも笑顔である。なんかヘラヘラしながらフラフラと気楽に見て歩くのにちょうど良い感じの展覧会だった。「日本美術が笑う展」はそこはかとなく漂ってくる天然ボケ的な味がよい。「笑い展」は笑わせようという意気込みが空振りしてたりする作品もあった。ただ、どうでもいいけど「日本美術が笑う展」と「笑い展」に分ける必要性があるのだろうかと思った。何かオトナの事情でもあるのか。どうせ入場すればどっちも見なければ出口に着かないし。ともあれこれは面白い展覧会で、とりあえず笑っとこう。ひざも笑った。

 勝手に決めたこの展覧会のテーマ 「だってバカなんだもん」

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