鍵穴ラビュリントス

狭く深く(?)オタク
内容は日々の戯言
イギリス、日本、リヒテンシュタイン、大好きです
プラトニックlove好き

宿酔 中原中也

2016-03-22 08:39:11 | 詩~中原中也など~
宿酔
    中原中也


朝、鈍い日が照つてて
  風がある。
千の天使が
  バスケツトボールする。

私は目をつむる、
  かなしい酔ひだ。
もう不要になったストーヴが
  白つぽく銹(さ)びてゐる。

朝、鈍い日が照つてて
  風がある。
千の天使が
  バスケツトボールする。

雪の賦

2013-12-21 07:42:17 | 詩~中原中也など~
雪の賦
                 中原中也


雪が降るとこのわたくしには、人生が、
かなしくもうつくしいものに――
憂愁にみちたものに、思へるのであつた。

その雪は、中世の、暗いお城の塀にも降り、
大高源吾の頃にも降った……

幾多々々の孤児の手は、
そのためにかじかんで、
都会の夕べはそのために十分悲しくあつたのだ。

ロシアの田舎の別荘の、
矢来の彼方に見る雪は、
うんざりする程永遠で、

雪の降る日は高貴の夫人も、
ちつとは愚痴でもあらうと思はれ……

雪が降るとこのわたくしには、人生が、
かなしくもうつくしいものに――
憂愁にみちたものに、思へるのであつた。



*『在りし日の歌』から

落葉

2013-12-20 20:23:53 | 詩~中原中也など~
落葉

       ポオル・ヴェルレエヌ


秋の日の
ヴィオロンの
ためいきの
身にしみて
ひたぶるに
うら悲し。

鐘のおとに
胸ふたぎ
色かへて
涙ぐむ
過ぎし日の
おもひでや。

げにわれは
うらぶれて
こゝかしこ
さだめなく
とび散らふ
落葉かな。


*『海潮音』から

20周年おめでとう

2013-10-13 06:44:44 | 詩~中原中也など~
横浜の詩です💙
私、時鳥飛宵が作りました!



あなたと初めて手をつないだの
夕方、桜木町駅から降りて
動く歩道乗って
海の貴婦人、日本丸みえる
ランドマークタワーはね
今年で20周年迎えるのよ
あなたとおんなじね

ランドマークタワーの中で
アイス食べようって
それでラズベリーアイス食べたの
そのまま海辺の遊園地行って
海に落っこちそうになりながら
いろんなアトラクション乗ったわ

夜になって
観覧車が光を発して
優しく海を照らすの

帰りは汽車道
ふれる指
握られる手
抱きしめられる、からだ
とろとろに溶けてしまいそう
でも、キスはまだなのね
あなたの頬が紅い
海辺の恋心道
大好きよ、あなたが


and so are you

2013-06-08 13:40:00 | 詩~中原中也など~
クリックで拡大↓


The rose is red, the violet is blue,
The honey's sweet, and so are you,
Thou art my love and I am thine;
I drew thee to my Valentine:
The lot was cast and then I drew,
And fortune said it shou'd be you.



薔薇は赤い 菫(スミレ)は青い
蜂蜜は甘い そうだよきみも
きみはぼくの恋人 ぼくはきみの恋人――
ぼくは籤(くじ)でひいたのだ きみを恋人ヴァレンタインに――
賽(さい)は投げられ そしてぼくがひいたのだ
賽は告げたのだ 恋人はきみだ、と


  買ってきた薔薇の写真から。
  真っ赤な薔薇じゃありませんけどね^^;
  深紅の薔薇をお求めなら、
  「薔薇園ってGO!」をみてくださいませ。

中原中也誕生日

2013-04-29 18:29:00 | 詩~中原中也など~
わたしが一番大好きな、
「思ひ出」
  お天気の日の、海の沖は
  なんと、あんなに綺麗なんだ!
  お天気の日の、海の沖は、
  まるで、金や、銀ではないか

  金や銀の沖の波に、
  ひかれひかれて、岬の端に、
  やつて来たれど金や銀は
  なほもとほのき、沖で光つた。

  岬の端には煉瓦工場が、
  工場の庭には煉瓦干されて、
  煉瓦干されて赫々してゐた
  しかも工場は、音とてなかつた

  ~続きたっぷりあります~

を紹介します☆↑

あと好きなのは「雪の賦」とか「むなしさ」とか「一つのメルヘン」とか。

みなさんの好きな詩人は誰ですか?

春の思ひ出~中原中也~

2013-03-31 20:55:01 | 詩~中原中也など~
春の思ひ出

   中原中也


摘み溜めしれんげの華を
  夕餉(ゆふげ)に帰る時刻となれば
立迷う春の暮靄(ぼあい)の
    土の上(へ)に叩きつけ

いまひとたびは未練で眺め
  さりげなく手を拍きつつ
路の上(へ)を走りてくれば
    (暮れのこる空よ!)

わが家へと入りてみれば
  なごやかにうちまじりつつ
秋の日の夕陽の丘か炊煙か
    われを暈(くる)めかすもののあり

      古き代の富みし館(やかた)の
          カドリール ゆらゆるスカーツ
          カドリール ゆらゆるスカーツ
      何時の日か絶えんとはする カドリール!


*カドリール・・・4組の男女のカップルがスクエアになって踊るダンスで、伝統的スクエアダンスの先駆けとなったもの。

*「山羊の歌」から

春の漢詩

2013-03-19 08:31:40 | 詩~中原中也など~
今日は漢詩を紹介します。
もう春の訪れがささやくころとなりましたので、
「春暁」「春夜」
この二つの漢詩を以下に載せたいと思います。



春暁

   孟浩然


春眠不覚暁
処処聞啼
夜来風雨声
花落知多

[五言絶句]

【書き下し文】
春眠暁(しゅんみんあかつき)を覚えず
処処啼鳥(しょしょていちょう)を聞く
夜来風雨(やらいふうう)の声
花落つること知んぬ多少ぞ

【訳】
春は朝が来たのも知らず(朝が早いので)つい寝過ごしてしまう。
あちらこちらで鳥のさえずりが聞こえる。
昨夜は嵐の音がすごかった。
花もいくらか散ってしまったことだろう。

*「声」…音
 「音」…声
   と訳すことが多い



春夜

   蘇軾

春宵一刻直千
花有清香月有 
歌管楼臺聲細細
鞦韆院落夜沈

[七言絶句]

【書き下し文】
春宵一刻直千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)
花に清香(せいこう)有り月に陰(かげ)有り
歌管楼臺聲細細(かかんろうだいこえさいさい)
鞦韆院落夜沈沈(しゅうせんいんらくよるしんしん)

【訳】
春の宵はほんのわずかな時間が千金もの価値がある。
花には芳香がただよっており、月はおぼろにかすんでいる。
先ほどまで歌を歌ったり、楽器を奏したりして、にぎやかだった高殿も、今はかすかに聞こえるばかり。
ぶらんこが一つある中庭に、夜は静かにふけていく。

*「鞦韆」…ぶらんこ
 「院落」…中庭


*オリーブ色の字がそれぞれ韻





よくみるゆめ~ヴェルレーヌ~

2013-03-08 13:13:00 | 詩~中原中也など~
*『海潮音』(上田敏訳詩集)から

よくみるゆめ

     ポオル・ヴェルレエヌ


常によく見る夢ながら、奇(あ)やし、懐かし、身にぞ染む。
曾(かつ)ても知らぬ女(ひと)なれど、思はれ、思ふかの女(ひと)よ。
夢見る度のいつもいつも、同じと見れば、異(ことな)りて、
また異らぬおもひびと、わが心根や悟りてし。

わが心根を悟りてしかの女(ひと)の眼に胸のうち、
噫(ああ)、彼女(かのひと)にのみ内証の秘めたる事ぞなかりける。
蒼ざめ顔のわが額、しとゞの汗を拭い去り、
涼しくなさむ術(すべ)あるは、玉の涙のかのひとよ。

栗色髪のひとなるか、赤髪(あかげ)のひとか、金髪か、
名をだに知らね、唯思ふ朗ら細音のうまし名は、
うつせみの世を疾(と)く去りし昔の人の呼名(よびな)かと。

つくづく見入る眼差(まなざし)は、匠が彫(ゑ)りし像の眼か、
澄みて、離れて、落居(おちゐ)たる其音声の清(すず)しさに、
無言の声の懐かしき恋しき節の鳴り響く。



  みなさんのよくみるゆめはなんですか?

  私はこのごろ、夢ばっかり見てるとは自覚しているのですが、
  起きるとたいてい覚えておりませぬ。
  一昔前は、バーバパパみたいなでかいピンクのお化けがナウシ
  カの巨神兵ように町を荒らしていて逃げようとするのですが、
  靴がなくて困ってるといったような夢ばかりみてました。
  ・・・こないだ靴をほっぽって裸足で家出したひとが、なにを
     言ってんでしょうねw
  それとかどこかの学校の、裏側にそびえ立つ坪の細い階段塔を
  だれか怖い女の子と追いかけっこしてる夢とかw


 上田敏はとても美しい訳をすると思います。素晴らしいです。

 よければ感想くださいね。