―はじめに―
これは「テニスの王子様」の二次創作小説です。
BLが苦手な方・BLの意味が分からない方は今すぐ引き返してください。
設定も随分変えています。
設定についてはこちらをお読みください
では、2月28日と3月1日の2日間にわけて連載します。
お楽しみくださいませ。
今日は2月28日。
僕の誕生日は2月29日。
手塚は今年もまた、2月28日の24時に僕に贈り物をくれるだろう。
何なのかな……楽しみだ。
くすっ、そのことを思うと自然に頬が緩んでしまうよ。
不二はバークリースクエアで肌寒い中、芝生に座り込みながらうたた寝をしていた。
目をこする。
もうすぐでお昼休みも終わりだ。病院へ戻らないと……。
夢を、みていた。
昔のことをつい思い出してしまった。
それは僕がまだ中二で幼かったころのこと――。
あれ。この低い心地よい音色は手塚?
「不二」
君の声ってなんでこんなにもあでやかに響くんだろうね?くすっ、嬉しいよ、君に名前を呼ばれるだけでこんなにも幸せ。
「不二!グラウンド30周だ!」
心のうちでため息をつく。
「もう。せっかく眠ってたのだから、キスくらいして目覚めさせてくれればいいのに」
そう呟いて瞳をあける。そして、自分の前に仁王立ちしている手塚をみて、くすりと笑った。
「意味わからないこというな。部活中だぞ!」
「意味わからないって何だよ、もう…」
そして手塚の眼を下から捕らえる。手塚がこころなしか少し詰まったのが分かった。
「僕の気持ち、知ってるくせに」
「おまえの気持ちに応えられる自信はないといっただろう」
「手塚のこと、僕が好きなのは、いくら君でも変えられないよ」
「おまえは、俺たちの友情を、恋慕だと勘違いしているんじゃないのか?」
「ちがうっていってるでしょ!やめて。僕は手塚に恋している。それは僕自身が一番よく分かっていることなんだから」
「…そうか」
「走ってくる」
「ああ」
不二は手塚から目をそむけるようにして、グラウンドを踏みしめて走り出した。
水のみ場でばしゃばしゃ顔を洗っていると、すっきりしてきた。横にあるタオルをとって拭こうとする――が、ない。
「ふっふっふ、だーれだ」
その瞬間、タオルが目にかぶさり、目隠しされた。
「……英二」
「……えへへ、不二だとすぐに当てちゃうにゃん」
「だってこんなことするの英二しかいないじゃない」
「えーっ、そうかなあー?乾とかもしそうじゃない?」
「ないない」
「桃ならするね!」
「あーそれはあるかもね」
不二はうなずく。と、菊丸はうれしそうに微笑んだ。えくぼができる。菊丸とは中一のころから、気のおけない友だちである。
「ちーす」
「あ、桃じゃん!」
「うわさをすれば、だね」
「不二先輩。手塚部長が呼んでいたっす。うわさ?」
「え?なんだろう?」
「そーいえば今日、不二の誕生日の一日前じゃん!それだよそれ!」
菊丸はしてやったりと笑う。その笑顔をみていると不二も微笑がこぼれてきた。
「そうだといいな」
たとえば…、プレゼントのこととかね。
「でも。ありえないって」
違った場合、虚しくなるだけだから、あらかじめありえないとしておく。
「そおかにゃ?」
「うん、だって去年くれなかったし」
「それは不二の誕生日を手塚が知らなかっただけみたいだよ?」
「まあね、そうだけど」
「俺明日不二にプレゼントあげるねー!」
「ありがとう英二。じゃ、ちょっといってくる」
「うんっ!」
だが、不二の期待がかたちとなったのか、手塚がまず口に出した言葉は
「明日?おまえ誕生日だろう」
だった。
「えっ」
細められていた不二の瞳がうるるんとして開眼する。
「その…何か、ほしいものとか、あるか?」
「―――手塚、僕、うれしい」
「そうか」
「君がくれるものならなんでも宝物にするよ」
不二はくしゃっと微笑んだ。
「……!」
その次の瞬間、不二は驚いた。
「どうした、不二」
「君が微笑んだ……、君が微笑むところ初めて見た」
「む。俺だって喜怒哀楽の感情はあるぞ」
「えー。そおかなあ?ふふふ、いつも怒ってばっかだよ、手塚は。でもそんな君が好き」
「おまえにそういわれると、このごろ胸の中がおかしくなる」
「えっ」
「病院にいったほうがいいだろうか?」
「そ、そんなことはないと思うよ…でも、嬉しいな」
「何がだ?」
「鈍いところも大好き」
「意味がわからんぞ」
「ふふふ、ね、見て、あの雲。鯨の形にみえない?」
「そう思えば、そうだな」
冬の空は天高く、飛行機が一機空に浮かんでいた。
「僕ね…新しい技を考えているんだ。今日、放課後、僕との練習に付き合ってくれない?」
「ほう。かまわないが」
~To be continued
これは「テニスの王子様」の二次創作小説です。
BLが苦手な方・BLの意味が分からない方は今すぐ引き返してください。
設定も随分変えています。
設定についてはこちらをお読みください
では、2月28日と3月1日の2日間にわけて連載します。
お楽しみくださいませ。
今日は2月28日。
僕の誕生日は2月29日。
手塚は今年もまた、2月28日の24時に僕に贈り物をくれるだろう。
何なのかな……楽しみだ。
くすっ、そのことを思うと自然に頬が緩んでしまうよ。
不二はバークリースクエアで肌寒い中、芝生に座り込みながらうたた寝をしていた。
目をこする。
もうすぐでお昼休みも終わりだ。病院へ戻らないと……。
夢を、みていた。
昔のことをつい思い出してしまった。
それは僕がまだ中二で幼かったころのこと――。
あれ。この低い心地よい音色は手塚?
「不二」
君の声ってなんでこんなにもあでやかに響くんだろうね?くすっ、嬉しいよ、君に名前を呼ばれるだけでこんなにも幸せ。
「不二!グラウンド30周だ!」
心のうちでため息をつく。
「もう。せっかく眠ってたのだから、キスくらいして目覚めさせてくれればいいのに」
そう呟いて瞳をあける。そして、自分の前に仁王立ちしている手塚をみて、くすりと笑った。
「意味わからないこというな。部活中だぞ!」
「意味わからないって何だよ、もう…」
そして手塚の眼を下から捕らえる。手塚がこころなしか少し詰まったのが分かった。
「僕の気持ち、知ってるくせに」
「おまえの気持ちに応えられる自信はないといっただろう」
「手塚のこと、僕が好きなのは、いくら君でも変えられないよ」
「おまえは、俺たちの友情を、恋慕だと勘違いしているんじゃないのか?」
「ちがうっていってるでしょ!やめて。僕は手塚に恋している。それは僕自身が一番よく分かっていることなんだから」
「…そうか」
「走ってくる」
「ああ」
不二は手塚から目をそむけるようにして、グラウンドを踏みしめて走り出した。
水のみ場でばしゃばしゃ顔を洗っていると、すっきりしてきた。横にあるタオルをとって拭こうとする――が、ない。
「ふっふっふ、だーれだ」
その瞬間、タオルが目にかぶさり、目隠しされた。
「……英二」
「……えへへ、不二だとすぐに当てちゃうにゃん」
「だってこんなことするの英二しかいないじゃない」
「えーっ、そうかなあー?乾とかもしそうじゃない?」
「ないない」
「桃ならするね!」
「あーそれはあるかもね」
不二はうなずく。と、菊丸はうれしそうに微笑んだ。えくぼができる。菊丸とは中一のころから、気のおけない友だちである。
「ちーす」
「あ、桃じゃん!」
「うわさをすれば、だね」
「不二先輩。手塚部長が呼んでいたっす。うわさ?」
「え?なんだろう?」
「そーいえば今日、不二の誕生日の一日前じゃん!それだよそれ!」
菊丸はしてやったりと笑う。その笑顔をみていると不二も微笑がこぼれてきた。
「そうだといいな」
たとえば…、プレゼントのこととかね。
「でも。ありえないって」
違った場合、虚しくなるだけだから、あらかじめありえないとしておく。
「そおかにゃ?」
「うん、だって去年くれなかったし」
「それは不二の誕生日を手塚が知らなかっただけみたいだよ?」
「まあね、そうだけど」
「俺明日不二にプレゼントあげるねー!」
「ありがとう英二。じゃ、ちょっといってくる」
「うんっ!」
だが、不二の期待がかたちとなったのか、手塚がまず口に出した言葉は
「明日?おまえ誕生日だろう」
だった。
「えっ」
細められていた不二の瞳がうるるんとして開眼する。
「その…何か、ほしいものとか、あるか?」
「―――手塚、僕、うれしい」
「そうか」
「君がくれるものならなんでも宝物にするよ」
不二はくしゃっと微笑んだ。
「……!」
その次の瞬間、不二は驚いた。
「どうした、不二」
「君が微笑んだ……、君が微笑むところ初めて見た」
「む。俺だって喜怒哀楽の感情はあるぞ」
「えー。そおかなあ?ふふふ、いつも怒ってばっかだよ、手塚は。でもそんな君が好き」
「おまえにそういわれると、このごろ胸の中がおかしくなる」
「えっ」
「病院にいったほうがいいだろうか?」
「そ、そんなことはないと思うよ…でも、嬉しいな」
「何がだ?」
「鈍いところも大好き」
「意味がわからんぞ」
「ふふふ、ね、見て、あの雲。鯨の形にみえない?」
「そう思えば、そうだな」
冬の空は天高く、飛行機が一機空に浮かんでいた。
「僕ね…新しい技を考えているんだ。今日、放課後、僕との練習に付き合ってくれない?」
「ほう。かまわないが」
~To be continued