日日是好日

「アナザー・カントリー」について、実に主観的に書き散らしてます。
たまに身辺の雑記も。

「子供だから…?」

2013-09-25 10:31:35 | ぼくの地球を守って
シオンの一番古い記憶。
飢えに耐えかねて小屋に忍び込んだ時、
銃で撃たれた、

と、あります。

このシーンを読者はどう捉えるべきなのか。

シオンは、銃口と、闇と、銃声とおぼしき擬音と、
「待て、子供だ」の叫びしか見せてくれません。

彼の行為はいったい、
正当防衛だったのか、過剰防衛だったのか、緊急避難だったのか、はたまた殺人なのか。
法廷だったら喧々囂々と議論されるところでしょう。

検察:「待て、子供だ」の声は被告もはっきりと聞いています。
被告は、自分への攻撃が仲間内で躊躇されていると判断できたはずです。

弁護士:被害者のうち一人は実際に被告に発砲しています。
「待て、子供だ」という叫びが、銃を構えた仲間の行動を止めるにいたらなかったと被告が考えたのも無理からぬことです。

なんて。
(往年のNHKドラマ「事件」の影響で、色々妄想しちゃう)


いや、問題は量刑じゃない。
「待て、子供だ」の声を聞いたにも関わらず、
シオンが「子供だからって手加減してくれない」と思った、
その捻れです。
その場に何人の人間がいたのかわかりませんが、
少なくとも一人は「子供だから手加減しろ」と咄嗟に口にした。

シオンはなぜ「そっち」を自分の意見に採用しなかったのか。
なぜ他人の中に、暖かさではなく冷酷を見出だすことを選んだのか。

「ぼくの地球を守って」の全てがそうであるように、
答えは無数に出てきます。
というより幼いシオンが読者に見せてくれた「無数」が、
ページを巻き戻して「ぼくたま」の視点の多様性につながるのかもしれません。