トランプ大統領が早くも危機管理能力ゼロなことを証明。ワシントンの旅客機事故について民主党政権の多様性重視が原因だと攻撃に利用。「連邦航空局は重度の知的障害や精神疾患を抱える職員を積極的に採用している」
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2020年の第1期トランプ政権で始まった新型コロナ禍で、トランプ大統領が中国のせいにしたりWHOのせいにしたりするだけで無能さを発揮。
まだ感染力が高く世界中で多数の死者を出したオミクロン株になる前なのに2020年の1年間で30万人以上の死者を出し、アメリカ合衆国が地球上でコロナ死者最多となった悪夢を思い出しました。
米国の首都ワシントン近郊で2025年1月29日に小型旅客機と米陸軍ヘリコプターが衝突して墜落し、たぶん両機の乗客乗員67名が皆さん亡くなられたという悲劇が起こりました。
さらなる悲劇はここからで、トランプ大統領がまだ事故原因の究明も始まったばかりなのに、死者への追悼もそこそこに、この事故を民主党政権とその多様性政策批判に悪用し始めたのです。
まさに、復讐の鬼、トランプ2.0です。
第一次安倍政権よりも第二次安倍政権の方がはるかにタチが悪かったことを思えば、復讐心に燃えるドナルド・トランプ氏が復権した第2次トランプ政権がどれだけ危険なものになるかは容易に予想がつく。心して備えよ!
トランプ大統領は事故の翌日の1月30日に記者会見したのですが、
「残念ながら生存者はいない」
「米国の首都にとって、暗く耐えがたい一夜だった」
と一応犠牲者に哀悼の意を示したのもそこそこに、バイデン前政権やオバマ政権という民主党政権への批判に多くの時間を割きました。
トランプ大統領が主張したのは、民主党政権で進められた「DEI」(多様性・公平性・包摂性)の推進が、航空管制官らの人材レベルの低下につながったという政治的な批判です。
どういう屁理屈かというと、民主党が連邦航空局(FAA)などの職員に求める能力基準を引き下げ、代わりに人種やジェンダーといった多様性を重視したと問題視して、
「私は安全を第一に考えたが、民主党は政策を優先させた」
「連邦航空局(FAA)は重度の知的障害や精神疾患を抱える職員を積極的に採用している」
「最高の知性を有し、精神的に優れた人だけが航空管制官の資格を得られる」
と述べて、67人も亡くなっているのに、その死に関する35分間の会見の大半を民主党とDEI攻撃に使ったのです。
そもそも今回の事故の原因究明はまだ始まったばかりで、翌日の記者会見の時点ではまだ何もわかっていないも同然です。
ですからトランプ大統領が
「(管制官からの)警告はもっと早くあるべきだった。だがヘリコプターからは進行方向が見えていたはずだ。
(旅客機と)同じ高度にもいるべきではなかった」
などと述べて、ヘリ側に事故の原因があったと示唆するような発言も繰り返したこと自体がおかしいのです。
ましてそれが民主党政権の多様性政策のせいだというこじつけの具体的証拠は一切あげられず、トランプ大統領は事故とDEIとの直接的な因果関係を問われると
「常識があるから分かる」
とのみ答えたんです。
いやいやいや、あなたに「最高の知性」どころか「常識」もないのは、新型コロナの時に記者会見で漂白剤のブリーチの注射を勧めたこと1点で丸わかりです。
よく考えたら事故原因ではなく、ヘリコプターがどういうものかの説明をしているだけ。
「消毒剤でも新型ウイルスが1分で死滅するらしい。たった1分で。消毒剤を注射するとか、そういうのを可能にする方法はあるんだろうか」
「試してみたら面白いだろう」
「私は医者じゃないが、いいことを知っている人間なんだ」
と記者会見で述べている2020年4月のトランプ大統領。。。
同時期にイソジンでうがいしろと言って日本最悪のコロナ死者を出した日本維新の会代表の吉村洋文大阪府知事と同様に、「いいこと」知りすぎだよ!
11月決戦、トランプ大統領とイソジン吉村府知事は双子。トランプ「数週間中にワクチンができる」・吉村「9月にはワクチンを実用化」。トランプ「コロナ対策に消毒液を注射しろ」・吉村「イソジンでうがいしろ」。
しかも、トランプ氏の熱烈な支持者だというだけで選ばれたバンス副大統領やヘグセス国防長官、ダフィー運輸長官らも同席し、トランプ氏に同調する主張を繰り返しました。
3人は異口同音に
「トランプ氏のリーダーシップ」
を称賛し
「最も優秀な人材を任務に就かせる」(ダフィー氏)
「肌の色ではなく、実力に基づいた人材を求める。DEIの時代は終わった」(ヘグセス氏)
などと述べたんです。
こんな茶坊主ばかりではまた発足して1か月も経たないトランプ政権の暴走は加速するばかりです。
トランプ氏同様のトンデモ副大統領候補バンス氏が「この国のすべての子どもたちに投票権を与えよう。その投票権は子どもたちの親に委ねよう」と、日本維新の会の吉村府知事の「0歳児投票権」とクリソツ発言(笑)。
ドナルド・トランプ次期米大統領の政権スタッフが史上最低。国防長官候補は性買春疑惑で辞退。司法長官に強姦疑惑。教育長官に児童の性的搾取疑惑。反ワクチン陰謀論者が保健福祉長官で政商納言マスク氏も参戦。
しかし、民主党政権の多様性重視政策と今回の事故が関係している証拠など今後も出るわけがありません。
民主党政権の多様性重視によって
「連邦航空局(FAA)は重度の知的障害や精神疾患を抱える職員を積極的に採用している」
になったわけがありませんし、今回の事故時の航空管制官がそのような障害や疾患を持つなどということもあり得ません。
こんなこと言ってる本人が一番実力がないという悲劇。
地球温暖化否定の陰謀論者トランプ大統領が就任初日にパリ協定からの離脱を表明。莫大な献金を受けている石油関連業者のため化石燃料や鉱物などの開発を大幅規制緩和。これはまだ「トランプの悪夢」の序章に過ぎない
むしろ、今回の事故時に本来であれば2名いるはずの航空管制官が1人しかおらず、周波数の違う旅客機と軍用ヘリコプターとの連絡を1人でやらねばならなかった事実が指摘されています。
ちなみに、トランプ氏は大統領就任初日の1月20日に政府のDEI事業撤廃を表明、政府効率化省のトップになったイーロン・マスク氏は関係部署を事実上閉鎖しています。
そして就任2日目の1月21日にトランプ大統領は連邦航空局に対し、DEIを重視した人事評価をただちに廃止するよう命じる覚書を出しており、人種や性別、障害の有無などに配慮したDEIに基づく採用は「安心な飛行」の実現に有害だと指摘して、実力主義の採用に戻すように求めました。
そこで、同性愛者であることを公言してきたバイデン前政権の運輸長官だったブティジェッジ氏はトランプ氏のこの記者会見での多様性攻撃を批判して
「卑劣だ。私たちの政権で民間機の墜落による死者はなかった」
とXで反論し、
「トランプ氏が空の安全を維持する幹部職員の一部を解雇、停職処分にした」
と追及しているのです。
ヨーロッパ諸国に不当な内政干渉を続けるイーロン・マスク氏。トランプ新大統領に屈してファクトチェックを止めるFacebookのザッカーバーグ氏。米国大富豪の姿が、強欲資本主義の非人道的な本質を表している
このカテゴリの次の記事で詳述するつもりですが、トランプ大統領は「不法」移民を「本国」に送り返す政策を強行しており、日本を含む内外の排外主義の極右に熱烈に支持されています。
さらに1月29日の記者会見でトランプ大統領はあの悪名高きグアンタナモ基地に「不法」移民収容所を建設し約3万人を収容する計画を発表。
「米国民を脅かす最悪の犯罪者である不法移民を収容する」
「これで即座に収容能力が倍増する」
と述べています。
グアンタナモ基地は1903年にキューバが租借を認めて以来、米軍が使用している基地ですが、2001年の米同時テロ後にはテロ容疑者の収容施設も設置し、そこでのブッシュ政権によるイラク人に対する拷問や処刑が問題になった場所です。
このようなトランプ政権の排外主義と人権抑圧の例はまだ発足1か月でも事欠かないのですが、今回の飛行機事故での民主党政権の多様性重視が事故原因だというぶっ飛び発言で露呈したトランプ大統領とその取り巻きの無能さは第一次政権以上の惨状です。
トランプ大統領はガザのパレスチナ人にパレスチナの地から出て行けと言っていますし、もうこれは国際的なトランプ包囲網を構築するべき時だとしか言いようがありません。
「ヒトラーは良いこともした」と語ったトランプ米大統領候補が、イスラエルからイランへの報復攻撃について「核施設こそ攻撃対象ではないか」と語り、ネタニヤフ首相に「あなたがやるべきことをやればいい」(呆)
参考記事
村野瀬玲奈の秘書課広報室さんより
米トランプ政権がアメリカ先住民を正統な市民ではないとして迫害を開始している。恐怖。 #TheDividedStatesOfTrump
BBCより
中央日報日本語版
トランプ大統領、航空機事故「バイデンのせい」…「採用基準を低くした」
編集後記
例えばNATO加盟国に軍事費をGDP5%にしろと要求しているトランプ政権が日本にも同じ要求を突き付けてくる可能性はあるでしょう。
今日本は「防衛費はGDP1%以内」という国是をかなぐり捨てて2027年に2%にしようとしている最中なのですが、そうなると2022年には年間5兆4千億円だった軍事予算が11兆円にもなり、6兆円近い財源が新たに必要になります。
それが5%だったら防衛費は30兆円近く。
日本の1年間の税収70兆円の3割以上になり、ウクライナを侵略戦争中のロシアみたいな状態になってしまいます。
日本の政府は真剣にトランプ米政権と距離を置くことを考えないといけない時なのです。
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アメリカで新型コロナウイルスによる死者の数が30万人を超えました。トランプ政権でウイルス対策に当たるファウチ博士は「この100年で最悪の公衆衛生上の大惨事だ」と述べ、危機感をあらわにしました。
アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、全米から報告された、新型コロナウイルスに感染して死亡した人の数の累計が、日本時間の15日午前6時現在で30万267人となり、30万人を超えました。
全米の死者の数は、ことし5月下旬に10万人に達してから9月下旬に20万人に達するまでおよそ4か月かかりましたが、そのあと2か月半余りでさらに10万人増えて30万人に達しました。
アメリカでは、人の移動が多かった先月下旬の感謝祭を境に、1日の感染者数が20万人を超える日が相次ぐようになり、死者の数も直近の7日間で1日平均2000人を超えています。
トランプ政権のウイルス対策チームの中心メンバーであるファウチ博士は14日、オンラインのセミナーで「この100年で最悪の公衆衛生上の大惨事だ」と述べて危機感をあらわにしました。
アメリカでは14日からワクチンの接種が始まりましたが、今後、クリスマスの休暇を迎えるのを前に、再び人の移動が活発になり、さらに感染が拡大する懸念が高まっています。
多くの専門家は、ワクチンが多くの人に行き渡るには時間がかかるとして、移動や、大勢での集まりを控え、マスクの着用を続けるよう訴えています。
トランプ氏、「消毒剤」による新型ウイルス治療に言及 医師ら「危険」
2020年4月24日 BBC
アメリカのドナルド・トランプ大統領は23日、新型コロナウイルスの治療に消毒剤の注射が有効か研究するよう提案した。医療関係者からは「無責任」で「危険な行為」などと非難の声が上がっている。
トランプ大統領はこの日の記者会見で、患者の体に紫外線を照射することも提案。これは政府の新型ウイルス対策チームの医師に却下された。
トランプ政権幹部はこの直前、日光と消毒剤が感染防止に役立つと述べていた。
消毒剤は危険な物質で、飲み込むと中毒作用を引き起こす恐れがある。肌や目、呼吸器にも悪影響を及ぼす場合がある。
米公衆衛生当局は、漂白剤などは薬の代わりにはならないと警告している。
日光や漂白剤で死滅?
米国土安全保障省の科学技術局のウィリアム・ブライアン局長代行は23日、ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策タスクフォースの定例会見で、新型コロナウイルスが日光と熱にさらされるとより急速に弱体化する可能性があるとする、米政府の研究結果を説明した。
この研究はさらに、漂白剤では5分以内に、イソプロピルアルコールではそれよりも短時間で、唾液や呼吸器系の粘液の中の新型ウイルスを死滅させられる可能性があるとした。
この研究内容は慎重に扱うべきだとしつつ、トランプ氏はさらに研究を重ねていく可能性を示唆した。
トランプ氏は、「仮に我々が、紫外線だろうが非常に強力な光だろうが、とてつもない量の光を体に照射すれば」と、新型ウイルス対策の調整官、デボラ・バークス医師の方を向いて切り出し、「たしか、きみはまだ試してないけど、実験する予定だと言っていたよね?」と続けた。
「そこで僕はこう言ったんだ。皮膚を通すか、ほかのやり方でできるだろうが、もし体内に光をあてればと。きみは、これも試してみると言っていたよね。面白そうだ」
トランプ氏はまた、「消毒剤でも新型ウイルスが1分で死滅するらしい。たった1分で。消毒剤を注射するとか、そういうのを可能にする方法はあるんだろうか」、「試してみたら面白いだろう」と述べた。
トランプ氏は自分の頭を指差しながら、「私は医者じゃないが、いいことを知っている人間なんだ」と述べた。
熱や光による治療「聞いたことがない」
トランプ氏は再びバークス医師の方を向き、新型コロナウイルスの治療に「熱や光」を使うといった話は聞いたことあるか尋ねた。
バークス氏は、「治療では聞いたことがない。つまり、確かに発熱があるのはいいことだ。発熱しているということは、体の免疫力を上げるのに役立つので。ただ、熱や光による例は見たことがない」と答えた。
「調べるには最高なことだと思う」とトランプ氏は述べた。
会見に出席したあるジャーナリストは、トランプ氏の思いつきの発言が、米国民に危険で誤った情報を広めてしまうのではないかと疑問を呈した。
「無責任で危険な行為」
医師たちは、トランプ氏の提示した案は、致命的な結果をもたらしかねないと警告した。
呼吸器内科医のヴィン・グプタ医師は米NBCニュースに対し、「どんな種類の洗浄剤でも、人体に投与したり摂取したりするという概念は無責任だし、危険な行為だ」と述べた。
「これは、自殺したい時によく使われる方法だ」
ウェストヴァージニア州・チャールストンのカアシーフ・マフムード医師は、「内科医の立場として、肺に消毒剤を注射したり、COVID-19(新型ウイルスによる感染症)治療のために体内に紫外線を使うのは推奨できない。トランプ氏から医学的助言は受けてはいけない」とツイートした。
カリフォルニア州のザッカーバーグ・サンフランシスコ総合病院の呼吸器内科医、ジョン・バルメス医師は、「塩素系漂白剤を吸い込むのは、肺にとって確実に最悪な行為だ」と、米ブルームバーグ・ニュースに述べた。
トランプ氏はこれまでも、 抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンが新型ウイルスの治療薬になり得ると、大々的に主張していたが、現在ではこの薬を大げさに宣伝するのはやめている。
今週、米国政府が運営する退役軍人専用の病院における、新型ウイルス感染者の調査結果が明らかになった。これによると、通常の治療を受けた患者よりもヒドロキシクロロキンを投与された患者の方が死者が多かった。
23日のトランプ氏の発言を受け、11月の大統領選でトランプ氏と争う見込みのジョー・バイデン前副大統領は、「紫外線? 消毒剤の注射? 大統領、こういうのはどうだろう? 検査を増やす。今すぐに。それから、本物の医療のプロのために防護具を用意してくれ」とツイートした。
バイデン氏はその後さらに、「こんなこと言わなきゃならないのが信じられないが、頼むから漂白剤は飲まないで」と呼びかけた。
米政府機関が注意喚起
米疾病対策センター(CDC)は今週、家庭用消毒剤の販売数が急増していることを受け、洗浄剤の使用に気をつけるよう警告した。
CDCの罹患率と死亡率の報告書によると、「洗浄剤と消毒剤に関連した中毒センターへの通報が、2020年3月初めに急増」していた。
米食品医薬品局(FDA)も消毒剤を摂取しないよう警告。また、 自閉症やエイズ(後天性免疫不全症候群)、肺炎に至るあらゆるものに効果があると称する、漂白剤を含んだいんちきな妙薬が販売されていると指摘している。
FDAはホームページで、「これらの製品を飲んだ後に、重度の嘔吐(おうと)や重度の下痢、脱水による生命を脅かすほどの低血圧、急性肝不全に見舞われたとの報告が、消費者から寄せられている」と説明している。
アンソニー・ザーカー北米担当編集委員
ドナルド・トランプ米大統領は30日、ホワイトハウスの記者会見室のカメラの前に立ち、伝統的な大統領の役割である「悲劇の時の慰め役」を果たした。
29日夜にアメリカの首都ワシントンの近郊でアメリカン航空の旅客機と米軍のヘリコプターが空中衝突した事故について、トランプ大統領は国が悼んでいると述べ、「苦悩の時間」における哀悼の意を表し、初動対応者と犠牲者に敬意を示した。
しかしその後、大統領は急に話題を変え、新しい政権がこれまでとは大きく異なることをあらためて示した。
それは好戦的で、原稿にはない内容で、そして速やかに責任を追及するものだった。
トランプ氏は、「この事故の原因はまだ分かっていないが、我々は非常に強い意見と考えを持っている」と発言。
続けて、ジョー・バイデン前大統領とバラク・オバマ元大統領の政権下で、連邦航空局(FAA)の航空管制官の採用基準が引き下げられたことが、この悲劇の一因である可能性があるとの見方を示したのだった。
トランプ大統領と共和党の同僚たちは、連邦政府の「DEI(多様性、公平性、包摂性)」プログラムを繰り返し攻撃している。こうしたプログラムがアメリカ国民を分断し、国を弱体化させたと主張し、トランプ大統領はその撤廃を就任初日の重要な仕事とした。
そして、アメリカでは10年以上ぶりとなる大規模な航空事故から24時間もたたないうちに、トランプ大統領は運輸長官、防衛長官、副大統領と共に、連邦政府の採用慣行がこの事故に関係しているとの主張を、証拠を示さないまま繰り返した。
調査が始まったばかりの段階で、どうやって多様性プログラムを事故の原因だと言えるのかと問われると、大統領は「自分には常識があるからだ」と答えた。
一方で、これまでに確認された原因はないことを認め、「すべては調査中だ」と大統領は述べた。
トランプ大統領は、FAAの多様性・包摂性プログラムの採用指針には、「聴覚、視覚、四肢欠損、部分まひ、全身まひ、てんかん、重度の知的障害、精神障害、低身長症」を含む障害のある人々を優先することが含まれていると述べた。
昨年12月に削除されたと思われるFAAの多様性・包摂性採用プログラムのウェブサイトのアーカイブ版には、同様のリストが含まれていた。これは当時、連邦政府が採用を優先していた「特定の障害」がある人々を求めるものだ。
しかし、トランプ大統領が「生まれつき才能のある天才」である必要があると述べた航空管制官の数に、採用の多様化がどのように影響したかは不明だ。FAAには3万5000人以上の職員がいるが、航空管制官はそのごく一部に過ぎない。
多様性採用慣行に対する批判を受け、FAAは昨年に声明を発表し、すべての新規採用者が「職位ごとに異なる厳格な資格」を満たす必要があるとした。
FAAは、特に新型コロナウイルスのパンデミックが民間航空路線に大規模な混乱を引き起こした後、長年にわたる航空管制官不足について批判を受けている。
報道によると、衝突のあった29日夜、レーガン空港は人員不足だった可能性がある。
トランプ大統領はまた、バイデン政権で運輸長官だったピート・ブティジェッジ氏を名指しで非難。侮辱的な言葉で呼び、運輸省を「地に落とした」と述べた。
ブティジェッジ氏はソーシャルメディアで自身の実績を擁護し、トランプ大統領のコメントを「卑劣だ」と非難した。また、「家族が悲しみに暮れるなか、トランプ大統領はうそをつくのではなく、指導力を発揮すべきだ」と述べた。
民主党のチャック・シューマー上院少数院内総務も、トランプ大統領の発言を批判。「インターネットの評論家が陰謀論をまき散らすのとは訳が違う。アメリカ合衆国大統領が、遺体がまだ収容されている最中に根拠のない憶測を述べるのは問題だ」と述べた。
しかし、準備された原稿から離れたトランプ大統領にとっては、憶測の提示こそが最も関心のあることのようだった。
トランプ氏はDEI政策への非難に加え、2機の航空機の飛行角度と高度、衝突当夜の天候、ポトマック川の水温、そして陸軍ヘリコプターの行動について詳しく語った。
そのうえで、「ヘリコプターはあの時点で停止することができたが、何らかの理由でそのまま進み続けた」と述べた。
トランプ政権はこの日、前任者とDEI政策を非難する姿勢をさらに強めた。大統領は、航空分野での多様性政策を終了し、バイデン政権下で行われたすべての採用決定と安全手順の変更を見直すための文書に署名した。また、FAAの新しい長官を任命するための大統領令にも署名した。
この日のトランプ大統領の発言から明らかになったことが二つある。
一つ目は、主要なニュースに自ら関与しようとする熱意が、新任期でも衰えていないこと。そして二つ目は、国家的な悲劇に政治を持ち込み、対立相手を攻撃し、自身の政策を推進することにおいて、早すぎることはないと大統領は思っていることだ。
トランプ氏は「さまざまな報道によると」と前置きした上で、「連邦航空局(FAA)は重度の知的障害や精神疾患を抱える職員を積極的に採用している」と指摘。「最高の知性を有し、精神的に優れた人だけが航空管制官の資格を得られる」と述べ、35分間の会見の大半をDEI攻撃に割いた。
事故の原因究明は緒に就いたばかり。DEIとの直接的な因果関係を問われると「常識があるから分かる」とのみ答えた。会見には事故調査に当たるヘグセス国防長官とダフィー運輸長官、バンス副大統領が同席。それぞれが大統領を礼賛し、DEI批判を重ねた。
ゲイであることを公言するブティジェッジ前運輸長官は「卑劣だ。私たちの政権で民間機の墜落による死者はなかった」とX(旧ツイッター)で反論。「トランプ氏が空の安全を維持する幹部職員の一部を解雇、停職処分にした」と追及した。トランプ氏は就任初日の20日に政府のDEI事業撤廃を表明、関係部署を事実上閉鎖している。
墜落現場のポトマック川では同日、遺体の捜索や、フライトレコーダー(飛行記録装置)や機体の残骸の回収に向けた作業が続いた。
会見でトランプ氏は「何が墜落につながったのかは分からないが、とても強力な意見と考えはある」とした上で、「FAAは知的障害者や身体障害者らを積極的に雇用していた。考えられないことだ。頭が良い天才にしかできない仕事なのに」などと主張。少数派の活躍の場を増やすことで社会の活性化を目指す「多様性・公平性・包括性(DEI)」を推進したバイデン前政権やオバマ元政権を非難した。
トランプ氏は同日、運輸省とFAAに対し、職員の採用基準を見直すよう指示する文書に署名した。トランプ氏は、DEIを推進する取り組みの排除を掲げており、今回の事故をそのために利用する狙いがあるとみられる。
これに対し事故原因を調査する運輸安全委員会(NTSB)の幹部は同日の記者会見で、「調査は事実に基づいて行う。(事故原因について)何らの推測もしない」と述べるにとどめた。
またトランプ氏は、FAA副局長にクリストファー・ロシェロ氏を任命。上院の人事承認が必要な局長ポストは空席のため、同氏が局長代理として航空行政の司令塔となる。
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