2016年12月号 笑いによる癒し 執筆：トラサ・ショーメ、カバタ・ボル

国境なき道化師たちがカクマの子どもに喜びをもたらした。

アメリカの非営利団体、国境なき道化師たち（CWB）は、危機に面した人々の苦しみを笑いに変えている。CWBアメリカは３０ヶ国以上で活動してきた。2016年には、165,000ドルの予算で少なくとも261,890人に奉仕してきた。限られた予算にも関わらず道化師たちの目的はすべての人々の苦しみを救うことだ。特に難民キャンプや戦闘地域などの危険地帯に住む子どもたちにとって、笑うことは癒しになると主張している。

2016年CWBはカクマの子どもたちや青年たちを対象に、サーカスやセリフに頼らない劇などのワークショップを行った。８月と９月の１７日間で、1２の劇と１３のワークショップを、主催者集団の人々を含む5000人の子どもや大人に提供した。ボランティアが一つのショーに200人から300人の子どもたちを迎えて、曲芸や漫才、手品などで遊ばせた。

KANEREはCWBの４人のメンバーに会った。彼らはちょうど、カクマ難民キャンプの一部であるカクマ２のフジ小学校の生徒たちを楽しませ、遊ばせているところだった。代わる代わる演じる芸達者な俳優たちのショーが、笑いと幸せの渦を巻き起こしていた。

CWBのリーダー、ヘンリックは次のように語っている。「道化師とは世界中でショーや興行を行うことにより人々を笑いに誘う人間です。道化師たちはエルサルバドル、カクマ、ハイチ、地震跡地のエクアドル、レバノンなど、世界中で特に強いストレスやトラウマにかかっている子どもたちがいるところに出かけていきます。こうした状況下では、笑いを提供するのは非常に重要なことで、一種の治療にもなるのです」


【写真】　とても背の高い道化師

道化師に扮したボランティアたちが、カクマ１，２，３、４の４ヶ所でワークショップを行った。「カクマのいたるところで毎日ショーを行って笑いを届けていますが、人々が笑っているのを見ると、こちらまで嬉しくなります」　ガビ・ウィンターという女優がキャンプ３でKANEREのレポーターに語った。

彼女はさらに、「言葉の壁に直面しましたが、ボディ―ランゲージを使って子どもたちを笑わせています」と付け加えた。

これらのショーは子ども向けだが、道化師たちは大人向けのショーも予定している。

2015年以来、CWBチームがカクマで上演するのは２回目だ。芸術療法が限られていて２５年以上難民が不安定な状態に置かれているカクマで芸術療法の機会は乏しい。チームはUNHCRと共に、今後もこの活動をカクマで続けていきたいと考えている。

カクマは1991年に設立されたが、現在も、隣国の戦火や激しい衝突から逃れてきた２０万人もの人々が暮らしている。

いつまでも続くこうした状況下に置かれている難民は、自分たちの未来には何の変化もなく、ただの数として何年も据え置かれている、と感じている。

KANEREは、こうした道化師の仕事を歓迎する。その多くの観客は学校へ通う子どもや青年たちであるが、難民メディアとして、またキャンプ住民の意思として、彼らとパートナーシップを構築したいと考えている。
　


【写真】　それとも二人だったとか？

カクマ２で行なわれたショーを見た人は、日が暮れてキャンプの家に戻らなければならない人達は、こうして笑うことで元気になると言っていた。ソマリア出身の若い女性、シュクリアさんも、「ショーを見て幸せな気持ちになりました。よく眠れるようになり、元気になります」と話してくれた。

カクマでの演劇ワークショップは独創性を養う機会で、子どもたちは他の子どもといっしょに何かをしたり遊んだりすることを学べます。コミュニティー内でも、演じることにより、分断されているグループに一体感をもたらすだけではなく、いっしょに笑える安心感のある場が生まれる。

「セリフなしのコメディーのすごいところは、言葉の壁を乗り越えて人々に届くことです。夜寝るときも、人々が笑っている姿が、瞼によみがえります」ヘンリック・ボーズはがカネレの取材にこう答えている。

キャンプにいる時間が長引くなかで、子どもは成長し、大人は老齢化し、生活手段もなく、生活がよくなる機会にも恵まれないと、何らかの癒しがどうしても必要だ。

ボランティアの道化師には、一年に1回、カクマに来てもらいたい。