今年6月、カクマキャンプでは統一選挙が実施されたが、いまだに選挙結果は出ていない。
カクマ難民キャンプでは、準備に十分な時間をかけ、2012年6月30日に選挙が行われた。21年前にこのキャンプが設立されて以来、初めての選挙だ。カクマはこれまで、部族を基盤とした指導体制をとっていたが、今回の選挙はこれを変えるのが目的で、無記名投票で行われた。
【写真】 カクマ難民による選挙
選挙はブロック毎に行われ、144ブロックの住人はそのブロックの議長(リーダー)を選出する。これまでは国籍ごとに一人の指導者を立てていたのだが、今回はブロックレベルという底辺に非常に多くの指導者を出す結果になった。
【漫画】選挙めがけて、すっ飛んでいくブロック・リーダー
ゾーン・リーダーとキャンプ・リーダーの選挙は、政治的理由から、ブロック・リーダーの選挙と同時には行われなかった。少数派国籍の人々は、自分達からはゾーン・リーダーやキャンプ・リーダーは選出されないだろうと感じていた。ブロック選挙委員会の話では、選挙全体の進行は遅れ、混乱状態がたびたびあったという。原因はUNHCRだ。「ゾーン・リーダーの選挙は12月に始まったが、まだキャンプ・リーダーが選ばれていない。遅れが出て混乱している」と、選挙委員会のメンバーはKANEREに語っている。
KANEREのインタビューにたいして、ブロック・リーダー達は何の変革も行われていないと、否定的な意見を述べている。 支援機関や支援団体は新しいルールを押し付けているが、キャンプ規約はルール通りに実施されていないと彼らは主張している。「以前と全く変わらない。我々とすれば、報酬ももらえない仕事が増えただけだ」と言うのは、カクマ1のリーダーの一人だ。
KANEREがインタビューした元コミュニティー・リーダーの中には、変革があったと言う人もいるが、多くは、当局がダメだと決めつけた古いリーダー制の方がまだ良かったと考えている。ある人たちに言わせると、現在のブロック・リーダーは、当局に認められていないので、本当の指導者とはみなされない。「以前のほうがまだ良かった。部族リーダーは、個々のコミュニティーに影響する問題について発言が認められていたが、今のブロック・リーダーは支援機関に近づくことさえ拒否されているのだから」と、ソマリの元コニュニティー・リーダーは言っている。
キャンプのいくつかの地域からは、支援の提供に関して誤解や利害衝突がひんぱんに起きているという報告がある。ブロック・リーダーの多くはゾーン・リーダーになりたがっているが、関係当局は、コミュニティーやリーダーにとって何ら利益にならないことでリーダーを忙殺するような仕組みを作り上げているのではないか、という不安を抱いている。「住居割り当てや水の分配でいつも問題を抱えているし、ブロックごとに給水地点が置かれていない」と、難民のリーダーがキャンプ1で説明してくれた。
コミュニティー運営の観点から言っても、以前のほうが良かった。新しいブロック方式だとリーダーの数が多く、秩序が乱れ、しかも何の権限も与えられていない。新リーダーが選出された時、ブロックの住民は、もっとまとまりのあるキャンプになるよう、このリーダー達が意志決定権を持つのだろうと希望を抱いたが、そういうことにはなっていない。ブロック・リーダーがUNHCRに連絡を取ることも、その敷地に近づくことも認められず、ブロック・リーダーや住民の反発をかっている。「私達リーダーは他の誰かさんのために働く操り人形としか見られていない。残念だ」と、あるリーダーが意見を述べている。
ブロック・リーダーによれば、UNHCRと政府難民担当局は、キャンプに統制力を持たせるため、このような組織化を進めてきた。「リーダー達はこうした動きに理解を示してきたが、変革に手間取るようなら、ボイコットも計画している。われわれキャンプの住民には基本的権利も自由もない」と、カクマ1ゾーン4のイブラヒィムは言っている。
実は、ブロック・リーダー全員に「リーダー身分証」が発行されているのだが、これには何の価値もない。身分証を持っていても支援機関や政府の関係事務所に近づくことすらできないのだから。つまり、新しいリーダー体制は2011年に当局から押し付けられたものなのに、そのリーダー達が当局に認めてもらえないという矛盾を露呈している。
KANERE記者がインタビューしたリーダー達は、身分証にリーダーの身分と任務は認めない、と赤字で書いてあることに、不満を述べている。「これは通行証ではないから、面会の約束なしに支援当局の事務所に出入りすることは許可しない」との警告も書かれている。
「リーダーは単なる操り人形で、目隠しをされたまま仕事に熱中して何も口を出すなということか。お題目の変革がコミュニティーに恩恵をもたらすか、それとも拒絶申し立てをされるか、見てみようじゃないか」と、ナイアルは言っている。
キャンプの住人はリーダー選挙を熱心に待っている。選ばれた代表者に公式の決定権が与えられるのか、興味津々だ。それだけではない。重要なのは、その代表者が誰のために、また誰の課題に取り組むかが問われている。
カクマ難民キャンプでは、準備に十分な時間をかけ、2012年6月30日に選挙が行われた。21年前にこのキャンプが設立されて以来、初めての選挙だ。カクマはこれまで、部族を基盤とした指導体制をとっていたが、今回の選挙はこれを変えるのが目的で、無記名投票で行われた。
【写真】 カクマ難民による選挙
選挙はブロック毎に行われ、144ブロックの住人はそのブロックの議長(リーダー)を選出する。これまでは国籍ごとに一人の指導者を立てていたのだが、今回はブロックレベルという底辺に非常に多くの指導者を出す結果になった。
【漫画】選挙めがけて、すっ飛んでいくブロック・リーダー
ゾーン・リーダーとキャンプ・リーダーの選挙は、政治的理由から、ブロック・リーダーの選挙と同時には行われなかった。少数派国籍の人々は、自分達からはゾーン・リーダーやキャンプ・リーダーは選出されないだろうと感じていた。ブロック選挙委員会の話では、選挙全体の進行は遅れ、混乱状態がたびたびあったという。原因はUNHCRだ。「ゾーン・リーダーの選挙は12月に始まったが、まだキャンプ・リーダーが選ばれていない。遅れが出て混乱している」と、選挙委員会のメンバーはKANEREに語っている。
KANEREのインタビューにたいして、ブロック・リーダー達は何の変革も行われていないと、否定的な意見を述べている。 支援機関や支援団体は新しいルールを押し付けているが、キャンプ規約はルール通りに実施されていないと彼らは主張している。「以前と全く変わらない。我々とすれば、報酬ももらえない仕事が増えただけだ」と言うのは、カクマ1のリーダーの一人だ。
KANEREがインタビューした元コミュニティー・リーダーの中には、変革があったと言う人もいるが、多くは、当局がダメだと決めつけた古いリーダー制の方がまだ良かったと考えている。ある人たちに言わせると、現在のブロック・リーダーは、当局に認められていないので、本当の指導者とはみなされない。「以前のほうがまだ良かった。部族リーダーは、個々のコミュニティーに影響する問題について発言が認められていたが、今のブロック・リーダーは支援機関に近づくことさえ拒否されているのだから」と、ソマリの元コニュニティー・リーダーは言っている。
キャンプのいくつかの地域からは、支援の提供に関して誤解や利害衝突がひんぱんに起きているという報告がある。ブロック・リーダーの多くはゾーン・リーダーになりたがっているが、関係当局は、コミュニティーやリーダーにとって何ら利益にならないことでリーダーを忙殺するような仕組みを作り上げているのではないか、という不安を抱いている。「住居割り当てや水の分配でいつも問題を抱えているし、ブロックごとに給水地点が置かれていない」と、難民のリーダーがキャンプ1で説明してくれた。
コミュニティー運営の観点から言っても、以前のほうが良かった。新しいブロック方式だとリーダーの数が多く、秩序が乱れ、しかも何の権限も与えられていない。新リーダーが選出された時、ブロックの住民は、もっとまとまりのあるキャンプになるよう、このリーダー達が意志決定権を持つのだろうと希望を抱いたが、そういうことにはなっていない。ブロック・リーダーがUNHCRに連絡を取ることも、その敷地に近づくことも認められず、ブロック・リーダーや住民の反発をかっている。「私達リーダーは他の誰かさんのために働く操り人形としか見られていない。残念だ」と、あるリーダーが意見を述べている。
ブロック・リーダーによれば、UNHCRと政府難民担当局は、キャンプに統制力を持たせるため、このような組織化を進めてきた。「リーダー達はこうした動きに理解を示してきたが、変革に手間取るようなら、ボイコットも計画している。われわれキャンプの住民には基本的権利も自由もない」と、カクマ1ゾーン4のイブラヒィムは言っている。
実は、ブロック・リーダー全員に「リーダー身分証」が発行されているのだが、これには何の価値もない。身分証を持っていても支援機関や政府の関係事務所に近づくことすらできないのだから。つまり、新しいリーダー体制は2011年に当局から押し付けられたものなのに、そのリーダー達が当局に認めてもらえないという矛盾を露呈している。
KANERE記者がインタビューしたリーダー達は、身分証にリーダーの身分と任務は認めない、と赤字で書いてあることに、不満を述べている。「これは通行証ではないから、面会の約束なしに支援当局の事務所に出入りすることは許可しない」との警告も書かれている。
「リーダーは単なる操り人形で、目隠しをされたまま仕事に熱中して何も口を出すなということか。お題目の変革がコミュニティーに恩恵をもたらすか、それとも拒絶申し立てをされるか、見てみようじゃないか」と、ナイアルは言っている。
キャンプの住人はリーダー選挙を熱心に待っている。選ばれた代表者に公式の決定権が与えられるのか、興味津々だ。それだけではない。重要なのは、その代表者が誰のために、また誰の課題に取り組むかが問われている。
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