Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2010年7-10月号 カナダへの再定住と高等教育へのチャンス

2011年01月02日 | 教育

今年の8月、28名の難民がカナダに向けてカクマ難民キャンプを旅立った。一年前、彼らは「カナダ世界大学サービス」(WUSC)の 「学生難民プログラム」(SRP)に選抜され、外国で勉強する大きな機会を得た。 

WUSCプログラムは1978年に開始され、多くの学生難民がカナダに再定住し高等教育を受けるのを支援してきた。WUSCのウェブサイトによると、このプログラムが受け入れてきたのは、アフガニスタン、ビルマ、ブルンジ、コモロ諸島、コンゴ民主共和国、エチオピア、エレトリア、ガーナ、グアテマラ、イラン、ケニア、レソト、リベリア、モザンビーク、ナミビア、ナイジェリア、パキスタン、ルワンダ、シエラレオネ、ソマリア、南アフリカ、スリランカ、スーダン、トーゴ、ウガンダ、ザイール、ジンバブエなど出身者だという。このプログラムのユニークな点は、学生に再定住の機会を与えるだけでなく、高等教育を無償で受けられる奨学金を与える点だ。

WUSCは、カクマキャンプの学生達が一緒のクラスで学んでいる、ナイロビ首都圏の難民学生も受け入れている。有資格学生は主要な三段階の学習、すなわち研究、TOFEL、そして基礎的なコンピューターの勉強を受ける。カクマキャンプでは大学の選考手続きは、地元のNGO、ウィンドルトラスト・ケニア(WTK)が監督している。WTKの職員はKANEREに次のように説明しが。「大学の選考は我々の任務ではない。TOFELの後、WUSCによって成績の順位が決められる。WUSCは、ケースによっては各大学に応募する際の全過程も支援している」

 WTKのカクマ駐在職員の話とWUSCのウェブサイトによると、WUSCは世界中の難民の支援を行うため、カナダの大学生によって設立され、学生が運営しているプログラムである。カナダの学生の献身的な寄付金の支援も受けている。カナダの総合大学やカレッジの教師陣やボランティア達も、支援する学生達の最初の一年間の生活を向上させるため、金銭的な支援を行っている。世界全体のニーズを思えば、このプロジェクトは小さい。世界には能力のある学生が沢山いて、このようなチャンスを求めているのは常に膨大な人数なのだ。

選ばれた難民達にとって、これは素晴らしいチャンスだ。しかし、新しい文化や環境への適応に関して課題がある。学生達は難民であるという経歴を決して忘れない。その上、キャンプや出身国に残してきた家族や友人からのプレッシャーもある。2010年のWUSCの学生、G.デング君は次のように述べている。「個人的には、WUSCは私に人生の可能性を取り戻してくれた。以前はこれまでの経験のせいで、世界を否定的な目で見ていた。輝かしい未来など見えなかった。しかし今は違う。私は再定住できるだろうし、大学へ通える。ただ家族と別れなければならない現実は寂しい。生きている間にいつまた一緒になれるかわからない」

 カクマにあるWTK支所が保管する資料によると、毎年数人の難民が、このユニークなカナダの奨学制度の恩恵を受けている。応募する学生の数は多い。その中で、要求基準に合ったごく少数に、奨学制度のチャンスが与えられる。2009年には30人の学生がカクマからカナダに行った。2010年には28人、2011年には30人の学生が旅立つことになっている。WTKの職員はKANEREのジャーナリストとのインタビューで次のように語った。「このプログラムは学生によって運営されている。そして出資者もカナダの大学の学生達だ。カクマでは8月から翌年8月を1年度として運営され、今年は30人を運営担当者に採用している」



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