Ri7beatのブログ・MHF狩猟生活Z!

MHF-Zのプレイ日記や情報記事、メッタギリガール達の会話劇など、ブレまくりのMHFブログです。たまに道東写真もあるよ♪

四方理の妹

2015年02月03日 21時36分19秒 | MHF日記



「ねえ冴棘さん?この前、部屋にいた子って、本当に妹さんなの?」

高地で四方理をしていたら、凛殻がいきなりそんなことを聞いてきた。

「いくら妹さんだって、お兄さんの家でシャワー浴びるのっておかしいわ」

猜疑の眼差しで冴棘を見つめる凛殻。

冴棘は答えた。

「君が何を言ってるのか分からないな、僕は」

それは昨夜のこと。

あの時、荒天の高地でいよいよコトに及ぼうとしたその時、凛殻は急に訪ねてきたのだ。

「あの子は僕の妹、筆尾さ」

もちろん妹なんかじゃない。






「あの日はほら、雨が降っていただろ?今日みたいに穏やかな天気じゃなかった。だから筆尾、びしょびしょになってやってきてさ。風邪でも引いたら大変だからとシャワーを使わせたのさ」

冴棘は声で動揺を悟られぬよう、なるべく平坦に、何でもない事のようにそう答えた。

その言葉を聞いても、凛殻の目からは強い猜疑の色が消えない。

「冴棘さん、最近なんだか付き合いが悪いわ。今日だってしっかり尻尾破壊してくれない時あるじゃない?」

「今日は四方理だからね、そこまで部位破壊に拘らなくてもいいんじゃないかな」

「ええっ、それじゃ私は本体剥ぎ3%だけで満足だって言うの!?」

凛殻は冴棘の言葉に信じられないという声を上げた。

「そんなんじゃないさ。第一、四方理の報酬でも2%の確率で出るだろ?」

「それは、いつものでもそうじゃない!そんなのじゃ私、満足出来ないわ!」






「だいたいその妹さん、筆尾さんでしたっけ?最近やたらと会ってるみたいじゃない?それもこれも四方理のせいなの!?」

「ああ、たまたま今週はブースト週と四方理のスケジュールが重なっていてね。1度会えば2度会うことになっているのさ」

「・・・それだけじゃないわ。お守りも使っているでしょ?」

凛殻の探る言葉に、ここは正直に答えたほうがいいと判断した冴棘は、歯切れ悪く申し訳なさそうに答える。

「うんまあ・・・そりゃ効率を考えるとそうなっちゃうよね・・・」

「くやしいっ!なんで私を増やしてくれないの!」

「しょうがないじゃないか、四方理なんだし・・・それに相手は妹だぞ?なんだか今日の君はおかしいよ」

冴棘は少し呆れたように、癇癪を起こす凛殻をなだめる。






本当は、筆尾と会ったのは8度目だった。

いや、それ以前、凛殻とこんな関係になる前、年末のギルド優先依頼では10回ほど。

彼女は特異な存在だった。

彼女はハードコアなプレイでしか、本当の姿を見せない。

冴棘は、すっかり筆尾の魅力の虜となっていた・・・お守りを使うほどに。






沼地の四方理はそこそこに切り上げた。

毒怪鳥の尻尾はそこまで胸に響く子じゃないし、横にはまだ凛殻がいる。

「四方理はあと一つ、砂漠の水竜ね。早く終わらせて、高地に戻りましょ」

凛殻が艶っぽい瞳の輝きで冴棘を見つめてくる。

冴棘はその視線を正面からは受け止めず、さらりとかわして次の四方理の地へと向かった。






水竜の四方理は狩猟こそ簡単なものの、報酬の方はどうにも奮わなかった。

冴棘にとっては泡玉など、どうでも良い相手だった。

はやり心躍るのは筆尾。






「報酬はダメだったけど、ほら、1つ取れたわよ!」

となりではしゃぐ凛殻を、やや遠くから見つめながら、冴棘は思った。

そろそろ潮時かもしれないな、と。

「なあ凛殻。僕の隣に居て欲しいのは3%じゃないんだよ。2%や1%。そう、僕と同じ、本当の希少素材なんだよ」

その言葉に、凛殻は動きを止めた。

みるみる青ざめていく彼女。

「頼むから、今日で終わりにしないか?・・・目障りなんだよ」

「・・・酷い・・・っ!」

凛殻はそれだけの言葉をやっと絞り出すと、おもむろに冴棘に向かってきた。

冴棘は彼女の手の平で頬を張られる覚悟をした。殴られる可能性もある。

だがそれで、彼女が自分のことをすっぱり忘れ、この不誠実な関係を解消出来るならそれでいいと思った。

それがお互いのためだと。

しかし、目を閉じた冴棘が聞いたのは、体に何かが、深く差し込まれる鈍い音。

「えっ・・・」

「本当は、高地に戻ったら殺るつもりだったんだけどね、しょうがないよね」

冴棘は急に力の入らなくなった足を折り、その場に崩れた。

薄れゆく視界の中、凛殻の声を聞く。

「ゲーム中の要求総数は209。これでも私、結構モテるんだけどね?もう聞こえてないかしら冴棘さん?」

「僕は、確かに107だが・・・貴重さでは僕の方が・・・」

消えゆく意識の中、冴棘はかろうじて凛殻にそう答えた。

そして、倒れた。自分の血溜まりの中に。

「そう言えばあの子、筆尾だけど、確かに冴棘さんの妹になったかもしれないわね、もしかしたらの未来の話だけど」

凛殻は動かなくなった冴棘を一瞥し、去っていった。

「だって、あの子、私の妹ですもの」


<終>