「これ手伝って」とお願いをしてほいほい手伝ってくれるような子なら,こんな苦労はありません。一般的な子どもがよく反応する「ごほうびシール」も反応なし。先の見通しの苦手な自閉症児,シールを貼って貯めたところで得られる報酬がわかりにくかったのでしょうね。
そこでうちでは現金報酬を導入しました。1回のお手伝いにつき内容に応じて30〜50円の報酬を即時現金払い。この金額だと2〜3回お手伝いをすると保育園の帰り道にある100円ショップで好きなおもちゃを自分で買えるので,それがモチベーションとなり,家事を手伝ってくれるようになりました。
ただ,これを成功させるにはいくつかポイントがあるので以下に記します。
・ 欲しいものは必ず自分のお金で買わせる
「あとでお手伝いするから買って〜」などの要求をしてくることがありますが,一度をそれ許可すると子どもは学習し,同じ戦法を何度も使ってきます。ここは毅然とした態度で臨み,ルールを絶対に曲げないようにします。お店で1時間以上大泣きされたこともありますが,「母は絶対にゆずらない」ことをひとたび学習すれば,大泣きされることは減ります。ある程度わかるようになってからは,出先で手持ちがないときの家での後払いを許可しました。クリスマスプレゼントや祖父母からのプレゼントは普通にあげていましたが,自分のお小遣いで自分の好きなものを買うのには十分有効でした。
・ 報酬を明示する
「この洗濯物を干したら50円あげる」と,口で説明してもよいのですが,報酬表を作って「せんたくものほし 50えん」などと書いた紙を壁に貼っておくのも手です。明文化すると,たとえ字が読めなかったとしても,そこに書かれた内容が自分だけでなく母も守るべき平等なルールとして認識されるのか,口約束以上の効果があるように感じました。本人にとってもその紙を指差せば報酬を請求しやすくなり,お手伝いに対するやる気がアップします。
・ イレギュラーで桁違いなお小遣いをあげないよう,家族に伝えておく
私としてはお手伝い1回50円の報酬は高すぎるかな?と悩む額なのに,夫や祖父母がちょっとしたことで数百円,数千円のお小遣いをあげてしまうとすべて台無しに。なので,家族にはあらかじめその旨を伝え,子どもに対するごほうびは別の形であげてもらうよう相談しておくことをお勧めします。