先週、台風でしばらく停電と断水になっていた。
エアコンが停止したので、網戸にして部屋に風を通していた。
猫用の網戸脱走防止フェンスは取り除かれ、ただの網戸に戻っていた。
猫用の網戸脱走防止フェンスは取り除かれ、ただの網戸に戻っていた。
のり丸は停電していた4日間、窓を開けっ放しにしたままで外出していた。
【ランタンの光に照らされて】
ウチはのり丸を無視して、爪とぎダンボールでガリガリと爪を研いだ。
仕事を「狩り」に置き換えると語弊があるが、猫の言葉で仕事を「狩り」に置き換えてみる。
のり丸とウチが生きていく為には、どうしても「食べ物」が必要じゃからの。
…大阪府北部地震の時もそうじゃった。
のり丸は震源地方面に向かって狩りに出ていた。
【暗闇の中でもいつものように遊ぶ】
人間も自然からエネルギーをチャージできる。
そして帰宅するとすぐにバケツを持って出ていき、何度も往復しながら水をバスタブに運んでいた。
その間、ウチはいつもとは違う外界に触れていた。
夕闇が濃くなり、空が濃紺から漆黒に移り変わる様子を静かに観察していた。
夕闇が濃くなり、空が濃紺から漆黒に移り変わる様子を静かに観察していた。
夜はランタンの光の下で過ごした。
【ランタンの光に照らされて】
のり丸は外出中に通電し、火災が起こる可能性もゼロではないと考えていた。
(…来週から地震と台風で痛んだマンションの修復工事が始まるらしい)
「いいか、ロミ氏、もしマンションで火災が起こったら、ここの網戸を開けて逃げるんだよ」
のり丸は網戸をスライドさせながら、ウチに説明した。
のり丸は網戸をスライドさせながら、ウチに説明した。
「それに、ここにいると隣の婆さんが気付いて外から網戸を開けてくれるかもしれない」
ウチはのり丸を無視して、爪とぎダンボールでガリガリと爪を研いだ。
「ともかく…いざとなったら野生の力を思い出すんだよ!」
と言いながら、のり丸は(よしよし、いいコだ、いいコだ)とウチを抱き上げた。
と言いながら、のり丸は(よしよし、いいコだ、いいコだ)とウチを抱き上げた。
ウチは(やめてぇや!やめてぇや!)と大暴れし、のり丸の手首を噛んだ。
(…本気ではなく甘噛みだが…。本当に抱き上げられるのは嫌いなんじゃ)
(…本気ではなく甘噛みだが…。本当に抱き上げられるのは嫌いなんじゃ)
のり丸はため息をつきながらウチをそっと床に降ろした。
ウチは怒りが収まらず、(ホンマ、腹立つわ)と、のり丸の手首にもう一度噛みついた…加減しながらじゃが。
ウチは怒りが収まらず、(ホンマ、腹立つわ)と、のり丸の手首にもう一度噛みついた…加減しながらじゃが。
「じゃ、行ってくるよ。ロミ茶、後は頼んだよ!」
と言いながら、のり丸は出ていった。
と言いながら、のり丸は出ていった。
何が、後は頼んだよ、じゃ。
……時々、人間は意味のわからんことを言う。
……時々、人間は意味のわからんことを言う。
それに、最近はロミ氏とか、ロミ茶とか、(ツンツンしているから)ツン吉、とか、呼び方が無茶苦茶じゃ。
仕事を「狩り」に置き換えると語弊があるが、猫の言葉で仕事を「狩り」に置き換えてみる。
のり丸とウチが生きていく為には、どうしても「食べ物」が必要じゃからの。
「今から狩りをして獲物を捕ってくる。ロミは留守番だ」
などと言いながら、のり丸は外界に飛び出していく。
などと言いながら、のり丸は外界に飛び出していく。
…大阪府北部地震の時もそうじゃった。
のり丸は震源地方面に向かって狩りに出ていた。
【家具は倒れ、棚からモノは落ちる…固定が甘かったことを思い知る】
いつもより5時間遅れて、のり丸が帰ってきた。
「ロミーっ!ロミ茶ーっ!ツン吉ーっ!」
玄関を開けるなり、大声でウチを呼びながら入ってきた。
玄関を開けるなり、大声でウチを呼びながら入ってきた。
「…うにゃ…」
ウチがいつものように出ていくと、のり丸は「…ロミ…無事だったか…」と言いながらクタリと座り込んだ。
ウチがいつものように出ていくと、のり丸は「…ロミ…無事だったか…」と言いながらクタリと座り込んだ。
【確かに人間よりは地震を早くキャッチするが、恐怖は激しく感じる】
ある日突然、ベリっと山肌が削り取られて、木々が流れて、やがて山が崩れ、そこにあったものがなくなってしまう。
生きていると、無理やり日常を削り取られるような形で「変化させられる」ことがある。
生きていると、無理やり日常を削り取られるような形で「変化させられる」ことがある。
そういう変化に放り込まれ、のみこまれて流されていく度に、のり丸は自分の弱さを知る。
【暗闇の中でもいつものように遊ぶ】
そんなのり丸に、ウチは停電中ずっとメッセージを送っていた。
暗闇の中でいつもと変わらず遊ぶウチを見ながら感じて欲しい。
ウチには自然のエネルギーがある。
人間も猫と同じく、自然(地球)の産物ではないのか。
動物も植物も鉱物も、みんなエネルギーを持っている。
静かに絶望しながら生きているのなら、
後15年、小さな猫を守り抜く、そういうことに費やして生きても良いのではないのか。
無為を恐れなくても良いのではないだろうか。
何者にもなれなくても良いのではないだろうか。
ワイワイ騒いで絶望しながら生きている人間もいる。
人為的なもので充実しているように見せながら、心は餓死寸前のこともある。
選んでいる道と、真に欲している道が違うから、心が栄養失調を起こしているのじゃ。
あの時ランタンの光の下で、じわじわと湧き上がってきたリアルが、真に欲するものを照らしていたのではないだろうか。
……なんての。
(…ウチに比重がかかりすぎるのも、どうかと思うが)
じゃあ、またの。
【イラスト職人+MANGAkitで遊んでみました】
【一眼レフでちゃんと撮ろうと思いながらも、スマホが優秀なので依存しています】
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