佇む猫 (2) Dr.ロミと助手のアオの物語

気位の高いロシアンブルー(Dr.ロミ)と、野良出身で粗野な茶白(助手のアオ)の日常。主に擬人化日記。

これまでの画像22 家庭教師

2019年06月25日 | 主に画像(ロミ)
のり丸が今、試験勉強をしとる。
ハッキリ言って、ものすごく迷惑じゃ。
 
 
 
 のり丸の勉強方法は一言でいうと「うるさい」。
 
 
 
のり丸は(姿の見えない)透明な誰かに向かって「授業(説明)をする」というやり方で記憶を強固にしておる。
(人には見せられない姿じゃの)
 
「自分が把握していないことは人に教えることはできない」という原理を応用しとるらしいが…。
 
 
 
 
「ここまでで何か質問はありますか?…では、そこのロミさん」
(やめてけれ)
 
 
【逃げるに限る】
 すたこらサッサとウチは逃げていく。
 
 
【ん。窓の外には…】
 
 
【窓のすぐ側まで近づくこともあるカラス】
 
このカラス、ウチが外に出れないことを知っている上で、ウチをおちょくっている。
 「ぐぐぐぐぐぐ…うるるるるる…んけけけけけけ……」
カラスを見つけるとウチの喉から変な音が出る。
 
 
 
「ねぇ、のり丸、ちょっとお願いがあるんやけど」
ある日、知人の舞さん(仮名)が唐突にのり丸に言った。
「太郎(仮名)の数学を見てやってくれへん?」
 
太郎というのは舞さんの息子で、不登校気味の中三じゃ。
「えぇーっ…いやだよ。無理だよ。そもそも自分がバカだったのに人に教えられるわけないよ」
のり丸の率直な気持ちである。
 
「だからよ。のり丸がバカだったのがいいんや。できない子がどこでつまずくか、すぐにわかるやろ?」
 
舞さんが言うには、何度か優秀な大学生の家庭教師を雇ったけれど、全員太郎と合わなかったらしい。
 
そんなこんなで太郎の家庭教師?を始めたのり丸じゃったが、ひどい先生じゃった。
 
まず太郎に薄っぺらい「自由自在中学数学問題集」を与え、「これだけを完璧にすればいいからな」と言う。
そして自分は「わからんところあったら聞いて」と言いながら、太郎のベットに寝転がってマンガを読む。
ちょうどヤングジャンプで『ゴールデンカムイ』が連載を始めた頃じゃ。
 
「ここわからん…」
と太郎が言えば、のり丸は毎回のように変な図を描いて説明する。
 
(変な図の例:マイナス×マイナスがプラスになる図。)
🌓マイナスを半月に例え、🌕プラスを満月に例える。
🌓×🌓=🌕
🌕×🌕=🌕
🌓×🌓×🌓=🌓
 
「それ、全くつじつまが合ってないけど。ただのイメージで捉えろってこと?」
と太郎に言われる。
「んじゃ、太郎だったらどう説明する?」
と聞くと、グラフを書いてマイナスがこう移動するから、こっちになっていく、などと言う。
「太郎、めちゃくちゃ説明うまいな~」
 
どうやら太郎は原理をわかっていたようじゃ。
いつもすごくいい所まで解いているが、最後ら辺でつまづいていたようじゃ。
もともと自力でクリアできる能力を持っておったらしい。
 
のり丸がしていたことは、太郎の部屋でマンガを読んだり、寝たり、おやつを食べたりしながら、
太郎が問題を解くと「(どういう風に解いたか)説明して」と言葉をかけていただけじゃ。
 
太郎はほぼ自力で成績がアップした。
 
のり丸はその時の経験から、自分が勉強する時は「説明する」ようになったのじゃ。
まぁ、だれも聞いてないのじゃが…。
 
 
 
【隙間にネズミを置かれると】
 
 
【狩猟本能が刺激される】
 
 
 【ウチも単純じゃの】
 
 
 【それにしても、今日は特にのり丸がうっとおしかったの~】
 
 
【…やれやれな一日じゃったわい。(トイレ初公開)】
 
 
じゃあ、またの。

これまでの記録21 原始の勘について

2019年06月21日 | 主に画像(ロミ)

先日ウチはワクチン接種をする為、動物病院に連れていかれた。
のり丸が部屋に入ってきた瞬間、動物病院に行くことがわかった。

 

【これは以前の写真。瞬間移動ごっこをしている時】
ウチが入ると、自動的にあちこち?の場所に移動する魔法のバック。
 
しかし先日はそんな単純な遊びをする為に出されたキャリーではないとすぐに気づいた。
なぜ一瞬でわかったのか?
 
【動物病院の待合でハードキャリーの中にいるウチ】
 
【心臓バクバク…瞳孔が開いている】
 
↑キャリーバックの種類が違うから?
どちらのキャリーでも瞬間移動ごっこをしておったからそれも違うのじゃ。
 
 
 

…しいていえば、のり丸の雰囲気かの。

 

猫の勘は人間より鋭いのか?
そうではない…本当は人間だって「猫と変わらないぐらい」鋭いのじゃ。

人間は大脳新皮質が発達しているが、古い爬虫類の脳も持っている。

ひとりひとりの人間が、いろんなものが寄り集まった集合体でできているのじゃ。
人間も猫と同じように本能の研ぎ澄まされた原始的な感覚を持っているが、ただそこにフォーカスしてないだけじゃ。
 
人間は潜在意識で「嘘」に気付いていても、顕在意識ではそれを見事に無視して「信じたいものに浸りたい」欲求を通すことが多々あるようじゃ。
その上、言葉という「非常に狭いもの」を使って世界を限定した枠の中で捉えておるしの。
…人間は自分に制限をかけるのが好きで…自分を騙すことにおいてはトップクラスの能力を持つ生き物じゃ。
 
 
今回の件では
 「ワクチン注射でアナフィラキシーショックがおこることもあるらしい…」
と、のり丸はリスクも考えていた。
 
「いや、しかしワクチン注射をしていなかったら(いろんなシーンを想像して)…困るしなぁ。
それについでに血液検査をしてもらうこともできるから…耳の中も見てもらって…うん、そうしよう。
朝一番で病院に行き、注射後30分経ってから帰ろう…。
帰ってから具合が悪くなったらすぐ対処できるように、病院が午前中だけの日は避けよう…」
…のり丸の頭の中はざっとこんな感じ。
頭の中がいつも「考え」の運動会なのじゃ。
 
 
そんなのり丸が、変な迷いを全身に漂わせながらキャリーを出し、
「ロミ氏、瞬間移動ごっこしようか」
と言う。
(気付くに決まっとろうが)
 
 
さて、動物病院への道すがらウチはずっと叫んでいた。
「あああああ、おおおおお、ももももも…」
(訳:のり丸のバカ、バカかのり丸、もういやじゃもういやじゃ…)
 
 
そういえば、約一年前、避妊手術をするために病院に行った時はスーンとして一言も発しなかった。
あの頃はのり丸をよく知らなかったからじゃ。
 
今のウチは(良く言えば)のり丸に対してそのままの自分をさらけ出している。
 
 
 
【帰ってきてから、顔が少しこわばっている】
 
 
【怒りがまだ残っている】
 
 
【耳の中に薬を入れられ、耳毛が濡れている…】
 
 
【まぁ、でも昼寝をすると…】
 
 
【気分も良くなり…】
 
 
【ワクチンで具合が悪くなることもなく…】
 
 
【壁引っ掻き防止で設置された爪とぎでガリガリして…】
 
 
【大好きな風呂場で遊び】
 
 
【いつもの日常に戻り、おなじみのポーズで】
 
 
 バタフライ・エフェクト……というか、個々のすべての動きが何かしら世の中に影響を与えている。
生命エネルギーはすべて関係し合っており繋がっている。
 
だから心の中でわずかながら何かがザワザワする時、人間はその勘を信じた方がいい。
(別に無視しても現代生活に差し支えないのじゃが)
 
ザワザワ…そこに何らかのキーポイントがあるような気はするけどの。
 
(…ウチは毎回、心の信号に従っておるが)
 
 
じゃあ、またの。
 

これまでの記録20 猫の飼い方

2019年06月12日 | 主に画像(ロミ)

「知人に猫嫌いがいたらどうするんじゃ?」
とウチが尋ねると、のり丸はこう答えるだろう。
「わざわざ猫の話をしない」
 
そして、決して「猫好きの価値観」を相手に押し付けることはないじゃろう。
 
たぶんのり丸は、相手が「いかに猫の事が嫌いか」を語ったとしても、そのことで不快になることはない。
あれが好き、これは嫌い、こういう風に感じる、こういう風に思っている…それは誰もが持っている自由な感性じゃ。
 
のり丸が気を付けていることは、ルールやマナーを守って暮らすことを前提に、「ウチに危害を加えるものからは遠ざかる」ということだけである。
それでも想像もできない理不尽な「何か」が襲ってきた時は、のり丸はウチを必死で守ろうとするじゃろう。
 
 
のり丸の親(から上の世代)は猫を自由に外出させている人が多かった。
猫を閉じ込めて飼う、という発想がのり丸の親にも(ほとんど)なかった。
 
のり丸が成長するにつれ、周囲の環境は変わっていった。
山がどんどん切り崩され、巨大な建物がたくさん建ち、車はビュンビュン走るようになった。
もはや田舎ではなくなり、のんびりと猫を放し飼いにはできない環境になっていった。
 
自然環境は目まぐるしく変わっていったが、猫もまたペットとして人間社会に組み込まれないと生きにくくなっていった。
 
 
のり丸が子供の頃、近所で猫嫌いによる残酷な事件があった。
のり丸家も攻撃された。
 
のり丸も妹も、子供の力ではどうしようもできないことに対面したのじゃ。
それは動物と暮らす環境にいなければ経験することのなかった「悪意」との対面じゃ。
 
その経験から「憎い」「許さない」のなどの強い感情に支配されないようにしながら、「どうしたら相反するものと共存していけるか」ということを考えるようになっていったのじゃ。
(のり丸きょうだいの場合)
 
 
 
 

「ウチを守る」それがのり丸のミッションじゃが、なにが正解かは模索中。

 

ウチには人間界のルールはわからん…ま、知るわけもない。

 

以前、のり丸は東京でチビとピキャンという2匹の猫と暮らしていた。
時々お隣の猫がベランダ伝いにやって来て「入れてくれ、入れてくれ」とのり丸の部屋の窓を引っ掻いたそうじゃ。
 
のり丸は猫をいったん自室に入れて確保し、お隣のピンポンを押して猫を渡していた。
いつも「あーすんませ~ん」と隣人が猫を受け取っていた。
 
お隣の猫を部屋に入れて、玄関で手渡すのはなぜか?
部屋が11階だったからじゃ。
 
 
『What's Michael?』小林まこと 
 
 
ベランダの手すりの幅は8cmぐらいじゃったらしい。(…しかも手すりの上は平面ではなく若干丸みを帯びていた)
猿も木から落ちる、猫だって万が一滑ったらアスファルトの道路側に落下する可能性もゼロではない。
 
 
隣の猫は綱渡りのような絶妙なバランス感覚で手すりを渡って来ていたのじゃ。
もしのり丸ではない別の人が住んでいて、モップなどでシッシと激しく猫を追い払うタイプだったら…猫は手すりの上で方向転換できたじゃろうか、或いは上手に後ずさりできたじゃろうか…。
 
のり丸は猫が手すりの上を歩くのを見るとドキドキした…きっと隣人はドキドキしないタイプだったのじゃろうな…。
のり丸は心配しすぎなのじゃろうか…。
 
のり丸の性格上、これからもあらゆることを想定して考えてしまうとは思うのじゃ。
 
 
いまのところ、ウチは未知の世界が怖いので脱出することはないのじゃが…最近、玄関の外が少し気になっとる。
のり丸の警戒網は突破できないと思うが…。
 
 
 じゃあ、またの。
 
 
 
 
 
 
続(古いネガフィルムから再現された、昔の実家の猫など)
 
(恐る恐る庭に出てみた猫…)
 
 
(庭で遊び、一通り庭を探索すると家に帰って来る子猫)
 
 
 
(子猫が生まれると、ほとんどが引き取られていった。)
 
 
 
(このハチワレ猫に出産経験はない)
 
 
(ハチワレはグレー縞の最初の子供である。ハチワレだけが家に残った。)
 
 
親子、そっくりじゃ。
 
 
もらわれた先で、どんな猫生を送ったのか……。
遺伝子は受け継がれているじゃろうか。